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きょう心にしみた言葉・2024年2月13日

 十一月八日、朝一度も目覚めずに1時間以上もぐっすり眠れた後はスッキリしている。昨日並べた食べもの、コーヒー、飲みものときれいに眼前に迫る。大型ノートを出し、二冊読み午前の時間をあせらず過ごすことができる時は心おちつく。あわい光輝いて、まるで春日のように暖かい。この地で夏過ごし、蚊にさされたのは一度のみだ。
 左のほほにニキビが出てきた。まだ若い。第二の青春なのだ。

「小山さんノート」(小山さんノートワークショップ編 編・エトセトラブックス)

10年前、手書きのノートを大量に残し65歳で亡くなったホームレスの女性「小山さん」。彼女が達筆な字でびっしりと綴ったノートはA6サイズで約80冊。有志の女性たちが書き起こすと、A4版用紙に3段組みで659ページにもなりました。それを編集して本にまとめたのが「小山さんノート」です。極貧の中、一緒に暮らした男性からの暴力に苦しみながらも、ノートを広げて自尊心を保ち続けた一人の女性の人生が鮮やかに浮かび上がってきます。

「小山さん」は、不安から逃れられない日々の中、喫茶店に行き、席に座り、ノートに文章を書き続けました。「書く」ことが、生きる支えでした。「書く」ことで、自分が自分らしく生きる人生をつくり上げていきました。

「小山さんノート」には、書き起こしを担った人たちのエッセイも収められています。ここにも、心にしみる言葉にあふれています。

「その頃、引きこもっていた私にとって、小山さんのノートは数少ない話し相手のような存在になっていた。働いて自立しなければならない、社会の役に立たなければならない、こんな人生であってはならない、そういった観念に飲み込まれ自分が無価値な人間のような感覚に陥りそうになったとき、ノートの中にも、同じように悩み苦しむ小山さんの姿があった
「悶々と思い悩む小山さん。しかし、最後は必ず『私は私自身でありたい』と自分を取り戻していた。その姿に何度励まされたことだろう」

「書くことってなんだろう、と改めて思う。何かを伝えたり残したりするためではなく、ただひとり、そこにいつづけるためにつづらなければならない言葉がある

「書く」ことの大切さを思います。

本の帯には、「小山ノート」のこんな文章が抜き出されています。

黄色のカサが一本、公園のごみ捨て場に置いてあった。
ぬれずにすんだ。
ありがとう。
今日の光のようだ。

「小山さんのノート」2001年3月18日から




 

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