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きょう心にしみた言葉・2024年4月17日

うつ病から回復するのは、40段の階段があります。
一段登るのは、力を使うので苦しいのです。登ると少し楽になります。この階段を40段登りきると、屋上のドアにたどり着き急に視界が開けるでしょう。でも、それまで、つまり39段までは、真っ暗ななかを一段一段登っていかなければなりません。自分では毎回同じ苦しみに耐えているだけで、ちっとも良くなっていないかと思うかもしれませんが、傍から見ていると着実に一段一段登っています。
 一気に治りたいと思うかもしれませんが、エレベータはありません。階段を登っていくしか回復する道はないのです。一回一回の波は、必ず通らなければならない苦しさなのです。近道はないのであきらめてください。しかし必ず一段一段登っていけます。いっしょに頑張りましょう。

「人はどうして死にたがるのか 『自殺したい』が『生きよう』に変わる瞬間」
(下園壮太・著 文芸社)

著者の下園壮太さんは、防衛大学校を卒業した後、陸上自衛隊入隊し、陸上自衛隊初の心理幹部として多くのカウンセリングを手がけました。大事故や自殺問題への支援で得た経験をもとに、陸上自衛隊衛生学校で教育に携わってきました。退官後は、NPO法人メンタルレスキュー協会理事長を務めています。
下園壮太さんは、陸上自衛隊時代、「9・11テロ」や自衛隊のインド洋派遣を受けて、全国の部隊に出張しストレスコントロールの普及教育などに努めてきました。一日がかりの講義の合間に、指揮官たちに隊員のメンタルヘルスについて助言し、夜は宿泊先で隊員のカウンセリングを行う過密スケジュールの日々でした。隊員が自殺で亡くなった時は、現地に飛んで原因を調査し、家族や同僚のケアも続けていました。そんなある日、突然、動けなくなりました。メンタルヘルスの専門家として多忙を極める日々が、心の疲労を蓄積させ、うつ状態に陥ったのです。回復には1年ほどかかったといいます。
「人はどうして死にたがるのか 『自殺したい』が『生きよう』に変わる瞬間」は、そんな自らの経験を振り返りながら、身近な人が心を病んだ時、どう寄り添うかを丁寧に解説しています。

下園壮太さんは、この本の最後をこう結んでいます。

自分の弱さを認める「勇気」、人を頼る「勇気」、話をする「勇気」を持ってください。最後に私の好きな言葉を引用します。

 神よ、私に変えられるものを変える「勇気」と
 変えられないものを受け入れる「冷静さ」と
 その二つを見極める「知恵」を与えたまえ
              神学者 二ーバー

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