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ヒストリー㉒その先へー2009年5月

足立区と結ぶ画期的連携


ライフリンクは、地域との連携をさらに深めていきます。

2009年5月26日、東京都足立区と自殺対策を総合的に推進するための協定書を締結しました。
自殺対策で、自治体とNPOが協定書を結ぶのは極めて珍しく、大きな注目を集めました。

足立区は、2006年に自殺者が東京23区で最多になるなど、都内でも自殺者が多い地域でした。
近藤弥生区長は締結にあたり「足立区では10年間で町会一つの人口にあたる1616人が自殺しています。生きたいという声にならない叫びを受け止められる区役所にしたい」と話しました。

ライフリンクは、「自殺実態調査1000人調査」を通して、人が自殺に追い込まれるまでには、失業や身体疾患、負債、うつ病など平均して四つの要因を抱え込んでいることを明らかにしました。
また、自殺者の72%は生前に何らかの専門機関に相談していた実態も浮かび上がりました。

これを受けて、足立区とライフリンクは、「都市型自殺対策モデル」の構築を打ち出しました。
行政や民間の複数の相談窓口が連携し、自殺の要因の連鎖を断ち切り、自殺を防ごうとする発想です。
自殺に至る問題を上流までさかのぼり、それぞれの要因を総合的に解決していくことを目指しました。
区長自らが参画して「自殺対策戦略会議」を設置し、全庁的な取り組みを推進します。全国のモデルとなる様々な事業が生まれていきました。

ライフリンクは翌2010年4月には、東京都荒川区と地域の医療機関と連携し、自殺未遂者の実態と支援のあり方について研究を始めます。
これら地域との連携はさらに大きく広がっていくことになります。
                                      =続く 次回は、㉓2010年9月・2011年7月編「民間つなぐネットワーク」です。

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