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きょう心にしみた言葉・2023年1月16日

自分の喜び、興味、理解、知識、ユーモア、悲しみなど、自分の中に息づいているものをすべて与えるのだ。
与えることで他人を豊かにし、自身を活気づけることで他人を活気づける。もらうために与えるのではない。与えること自体がこのうえない喜びなのだ。
与えることによって、かならず他人のなかに何かが生まれ、その生まれたものは自分に跳ね返ってくる。
与えることは、他人をも与える者にする。たがいに相手のなかに芽生えさせたものから得る喜びを分かち合うのだ。

「愛するということ」(エーリッヒ・フロム・著、鈴木晶・訳、紀伊国屋書店)

エーリッヒ・フロムは、精神分析学から社会心理学をつくり出しました。ナチスに台頭を許してしまった社会的心理に迫る「自由からの逃走」は、記念碑的な名著として知られます。そのフロムが「愛」について熱く語った珠玉の一冊が「愛するということ」です。愛するとは何か。どうすれば人を愛することができるのか。愛することで人生は何が変わるのか。愛とは、「与えることがすなわち与えられること」なのだと繰り返し語られています。
それは、愛だけではないと言います。「教師は生徒に教えられ、俳優は観客に刺激され、精神分析医は患者によって癒される。ただしそれは、たがいに相手をたんなる対象として扱うのではなく、純粋かつ生産的にかかわりあった時にしか起きない」
愛するためには、自身を鍛えなければならないと厳しく教示もしています。「愛」について、格闘するように全身全霊で向き合った「愛するということ」は、1956年、フロムが56歳になる年にニューヨークで出版され、今も世界で読み継がれています。


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