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きょう心にしみた言葉・2023年4月17日

絶望と見える対象を嫌ったり恐れたりして目をつぶって、そこを去れば、もう希望とは決して会えない。絶望すべき対象には、しっかと絶望し、それを克服するために努力し続ければ、それが希望に転化してゆくのだ。そうだ、希望は、絶望のど真ん中の、そのどん底に実在しているのだ。

「希望は絶望のど真ん中に」(むのたけじ・著 岩波新書)

むのたけじさん(1915ー 2016)は、朝日新聞記者として終戦を迎えました。「負け戦を勝ち戦のように報じて国民を裏切ったけじめをつける」と退社し、故郷の秋田に戻り週刊新聞「たいまつ」を創刊しました。101歳で亡くなるまで反戦・平和や人権の大切さを訴え続けました。「希望は絶望のど真ん中に」は、96歳の時の著作です。社会の事象から人生の哲学まで、広く深く、珠玉の言葉が続きます。むのさんが「絶望と希望は別個のものではない」と心の底から思ったのは90歳を超えてから、長い経験からやっとつかんだ真実だったといいます。どれほど平和を訴えても戦争はなくならない。どれほど人間の大切さを語っても、人権侵害はなくならない。絶望を繰り返し、心折れそうになりながらも語り続ける中で、めぐりあった言葉が「希望は絶望のど真ん中に」でした。この著書の最後はこう締めくくらています。「だから、希望は常に絶望のど真ん中の、そのどん底に輝いている。前夜がつらいと、必ず朝明けはそれだけあたたかい」

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