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きょう心にしみた言葉・2024年6月19日

自立とは、多くの人に依存することである

「生きる技法」(安冨歩・著 青灯社)

経済学者であり、生きづらさや人生についての論考で知られる元東京大学東洋文化研究所教授、安冨歩さん著書「生きる技法」には、生きるための多くの命題が綴られています。その冒頭に掲げられ、他の命題群を貫いている言葉が「自立とは、多くの人に依存することである」です。
多くの人は「自立するということは、誰にも頼らないことだ」と誤解しており、安冨さん自身、長くそう考えてきたと打ち明けています。

このコペルニクス的転換とも言える考え方は、経済学者の中村尚志さんから教えられたといいます。中村さんは、先天性脳性小児マヒの小島直子さんの自伝を読んで「自立とは、依存することだ」と確信したと述懐しています。小島さんは、多くの人に依存することで自立を果たし、一人暮らしを続けていました。ある時、友人から「ひとつだけ夢がかなうとしたら?」と聞かれた小島さんは、友人が想定していた「障害をなくしてほしい」ではなく、「口からうんちが出るように手術してください」と答え、友人を驚かせます。多くの人に依存することで、自分の障害を意識することがないほどに自立を果たしていたのです。

安冨さんは「自立とは、依存することだ」について論考を重ね、
 「依存する相手が増えるとき、人はより自立する」
 「依存する相手が減る時、人はより従属する」
 「従属とは依存できないことだ」
 「助けてください、と言えたとき、あなたは自立している」

と斬新な命題を次々と打ち出していきます。

人は、依存なしで生きていくことは不可能です。それなのに依存先を減らすことが自立だと誤解すると、結果として少数の他者に依存することになり、その他者に従属することになるというのです。

他にも、コペルニクス的転回のような命題が示されています。
 「自分は悪い子だ」と思い込まされていることが、自己嫌悪である
 成長とは、生きる力の増大である
 成長は、願うことで実現される

いらない思い込みを脱ぎ捨てることで、世界は変わります。

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