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ヒストリー㉓その先へー・2010年9月・2011年7月

民間つなぐネットワーク


 2010年の世界自殺予防デーの9月10日、「自殺対策全国民間ネットワーク」の設立総会が開かれました。
ライフリンクは地域との連携を広げていきましたが、さらにそれぞれの現場で活動している民間団体をつないでいこうという取り組みです。

北海道から沖縄まで、全国の団体が顔をそろえました。
ライフリンクのようなNPO法人、ボランティア団体、学生団体、当事者グループのほか、「自死遺族支援弁護団」や「自殺対策に取り組む僧侶の会」など専門家で組織された団体も参加しました。
それぞれの団体が受け持つ分野も、「法律」「医療」「政策立案」「経営」「教育」「グリーフケア」と幅広く網羅する形になりました。

事業形態も、「電話や面接、手紙による相談」から「分かち合いの会や当事者グループの営み」「自殺リスク地での危機介入」「社会への啓発」と多岐にわたりました。
それまで個別に活動してきた団体が「民間ネット」の下に集結したのでした。

2011年3月の東日本大震災の後には、ライフリンクが事務局になり、民間ネットの10団体が参加して、被災者遺族に向けた「死別・離別の悲しみ相談ダイヤル」が設けられました。
相談員には、阪神淡路大震災で遺族の相談電話の経験者の加わりました。弁護士や精神科医、僧侶らも対応にあたり、実務的な問題にも対処しました。

さらに、ライフリンクが中心になって進める「つながりの強化」は、自治体同士の連携も実現していきました。
2011年7月には、「自殺のない社会づくり市区町村会」が結成されました。正式名称は「いのちささえる真心あふれる社会づくり市区町村連絡協議会‐自殺のない社会を目指して‐」といい、長い名前に自治体の覚悟がこめられました。

会は設立趣旨の中で「広く自治体が連携して相互に施策のネットを結び重ねていくことにより、思わぬ裂け目や抜け穴のないより十全なセーフティネットの構築も可能になる」と指摘しています。
会員数は2022年現在、320を数えています。これとは別に12府県が特別会員に名を連ねています。幹事自治体は京丹後市、世話役自治体は福島県郡山市、茨城県取手市、長野県佐久市がそれぞれ自治体間の連携を密にしています。

=続く 次回は2012年8月編「明記された異例の文言」です。

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