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おじいちゃんと女。と僕。


2022.02.15

生保レディ88歳のお客さま宅へ訪問した時の話。

には一つの葛藤があった。


今回のアポ内容


相手は88歳のおじいちゃん。

同じく80代後半のおばあちゃんと暮らしている。

今入っている保険は古く、そろそろ更新のタイミングであった。

更新後の保険料は2倍近くなってしまう。


そんなお客さまに対して、契約内容の確認今後のプランを提示するアポイントで訪問した。


2番手の同行とは



2番手としてアポに行くのは生保レディの同行の他ない。

自分自身の数字のノルマもなければ、そこでの契約が給料に関わることもない。

いわば、『生保レディ』と『顧客』間の存在である。

同行の際にやることは、商品説明の補足や手続きの手助け。

新人との同行時は、お手本を見せるためにも全てやって見せたりもする。

お客さまとの関係性もなければその場限りの同行だって少なくない。

とにかくその1回で生保レディとお客さまの双方に何かを与えなければならないのである。


数字が金になる生保レディ


生保レディの生活は数字によって大きく左右される。

その月の数字で給料が決まる

だから同行の際は結果をだすこと大きな数字を生むことを意識している。

でも、自分のことしか考えていない女もいる。

その女というのは、お客さまのことを思ったら考えのつかないようなプランを提示するのだ。

保険の知識のない人はその内容が普通だと思い加入してしまう。

その女は金になるから喜ぶが、第三者から見ると考えられない契約内容である。

ただお客さまとの関係性を知らないからこそ、事前に要望があったり、何か他の想いがあったりを考えると、口出すことはできない。


自社の商品を愛せているか



保険を販売する立場なのに、未だにこの問いはなくならない。

営業の世界において、1番必要なことは

自社の商品を好きになること

この考えがないと、無理矢理騙しているといった考えが心境のどこかに残る。

営業する立場の者は皆、『それは自分が胸を張って販売できる商品か』が最も大切であるのだ。

好きな商品と嫌いな商品だと販売側の熱量は自然と変わっている。

僕自身もお客さまのニーズや環境を聞いた上でドンピシャな商品であれば前向きに説明する


ただ意向に合わなければ、どこか強く説明できていないのが本音だ。

それは数字が自分には関係ないからなのかもしれない。


保険の価値を伝えた女

88歳のおじいちゃんに対して、現在加入の保障は90歳でなくなる

新しくするには2倍以上の保険料が必要。

この説明をした時、お客さまは悩んだ。

『続けるか』or『解約するか』

ここで生保レディの考えとしては、続けてもらうこと(保険を新しくすること)で大きな数字が生まれる。

自身の金になるとは考える。

2番手として、この気持ちもわかる。

近くで見ているからこそ、生活がかかっていたり、いろいろの苦悩を考えると尚更だ。

お客さまは悩んだ上で、「やめる」と言った。

それに対して生保レディの女は「やめたらもったいない」と抵抗した。

結果、お客さまは保険の大切さを理解し継続する判断に至った。

この会話を見て、生保レディの女がとった行動は善か悪か。

答えがわからなかった。

これからリスクが上がるタイミングでの解約は、お客さまのことを考えると決して薦めてはいけない。

だから生保レディのとった対応は適切である。

ただ保険料を考えたら高すぎないか

おじいちゃんにとって良い形で終わったが、の心は葛藤していた。


高齢者に保険は必要ない

葛藤の原因。この考えはなくならない。

そもそも、高齢者だからこそ内容の詳細までは理解できていない。

その場ではわかっていても、明日には忘れている現実がある。

そして、もし何かあったとしても国の制度である程度は補うことができる


そんな人に対して2倍の保険料を契約して申し訳ないと思う自分がいたのだ。


自社の商品を愛することができていない自分。
保険の価値を提示しきれていない自分。
高齢者と保険の自己概念を変えられない自分。
お客さまを騙していないかと思ってしまう自分。

生保レディの女がとった行動は正しいのかもしれない。

間違っているのは僕なのかもしれない。

ただおじいちゃんの考えた時に感じた葛藤。



まもなく入社して丸4年経つが未だに抱える悩みがここにはあるのだ。

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