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初デートの思い出

休日の美術館に誘われた。

人気の展示だったみたいで、着いてみると2時間待ち。

どうする?と聞いたら「待とう」と言うので、列に並んだ。

列に並んでいる途中、しきりに汗を拭うなあと思っていた。

付き合い出してしばらく経って、ある時行列のできるお店に行こうと提案したら、「違うお店に行こう」「実は同じところに立っていることがとても難しいんだ」「歩くことよりも、バランスを取っていることが難しいから」と打ち明けられた。

え?美術館で2時間並んだのは??

「あの時は嫌われたくないと思って必死だったから」

今は一緒に出かけると、座れる場所を見つけてはちょこちょこ休憩する。2時間立ちっぱなしのことはまずないし、歩きっぱなしのこともない。旦那の膝下は発達不全で、かつ麻痺しており感覚がないので、歩く時は上半身と太ももの筋肉を使って脚全体を前に出して歩く。ちょうど竹馬に乗っているみたいな感じ。でも当時はそんな細かいことは知らないので、歩けているんだし、としか思っていなかった。

ちょこちょこ座ることぐらいで別に嫌いになんてならないのにな。「強くないといけない」という男性が囚われた鎖に、今でもちょっと切なくなる。


ご関心を持っていただきありがとうございます。サポートは、旦那と同じ障害を持っている方々を支援する団体に寄付させていただきます。