脱皮しないヘビは滅ぶのだ。

今ここにいて、そこが居心地がいい。
別に不満もないが、最高潮の喜びもない。

これくらいでいい。
ちょうど自分には良さそうだ。

体が大きくなると、次に行かなくてはいけない。
小学校が終わると中学校。

中学校が終わると高校。
大学、就職。

そうやってレールに乗ってきた。
それぞれに節目があり、この年までなんとなくやってきた。

就職してからというもの、毎日が必死で。
目の前のことをいかにやり過ごすかを考えてきた。

日向に車を置くと暑くなるからなるべく日陰に。
コンビニの入り口に少しでも近い駐車場に。

こんなことばかりを考えていた。
そうやって月日が流れた。

ある時ふと思った。

あれ?
こんなことのために生きているのか。

生きるために仕事して金を稼いでいるのか。
生きて、何になるのか。

そう考えると怖くなってきた。
これまで一体自分は何をしてきたのか。

そして、これから何をするのか。
このままが続くと何もない。

一生車の駐車場所を探している人生。

このままでいいのか。
これまでの学校生活とは違う。

学校生活はタイムリミットが決まっていて選択を迫られた。
強制的に。

就職すると区切りなんてない。
だからルーティンを繰り返しているだけ。

そうやってここまできた。

変えないといけない。
そんな気がしてきた。

まずは駐車場所を思い切ってコンビニの入り口から一番遠いところにしてみよう。

こんなところに停める人なんて、何を考えているのか。
今までは全くわからなかった。

車を停めてドアを開けた。
ふと地面のコンクリートに何かが落ちている。

蛇の抜け殻だった。

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