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角野隼斗ツアー2023"Reimagine"石川県立音楽堂3.5

一体何から書けばいいだろう…。

公演が終わってから放心状態になり、
本当に物凄いものを見せて下さった事への強い感謝の気持ちから、角野さんのこの日の演奏を何とか私なりに残したいと思って書き始めている。

とは言え、私が主観的に書くので素晴らしさの1000分の1も書ききれないと思う。
けれどなるべくシンプルになるように角野さんの演奏と私の印象に絞って書く。

演奏やMCの間違いや記憶違いがありましたらどうかご了承下さい。

またツアーファイナルは配信もありますので、楽しみにされてる方はここで読むのをストップお願い致します。


ここから公演の内容を書きます。



今回のツアーファイナル直前の金沢公演。
この日を迎えるまでに色々起こりすぎて、精神的に不安が連続していた。

そして何よりも角野さんの奏でて下さる音楽を私はちゃんと受け止められるのか、それが心配だったし自信がなかった。

裏を返せばそれくらい、絶対その場でその耳で聴きたい今日の公演だった。

今回は娘と初めてコンサートを体験するという友人とそのお嬢さんもお誘いした。

そして開場の直前に機材トラブルがあり、公演時間が30分押してしまう。会場までくれば後は楽しむだけと思っていたが…。

しかしその待っている時の皆さんが誰ひとり騒ぐことなく焦ることもなく、その空気に随分と救われた。
そして頼りになるフォロワーさんと一緒に待てたこと、SNSで情報を上げて下さった方がいたこと、子供たちも大人しく待っていてくれたこと、そしてきっと舞台上では待っているお客様のためにトラブルを改修して下さっているであろう角野さんと全スタッフの方に思いを馳せた。

その甲斐あって、無事会場の扉が開く。

一気に空気が安心に包まれ、公演への期待感が上がっていくのを感じた。
ここで空気が壊れなかったのが本当に素晴らしかったと思う。

ベルが鳴り響き、いよいよその幕が開く。

颯爽と角野さんが登場され拍手が沸き起こる。

グランドピアノの前に座り最初の曲が始まった。

真っ直ぐな、そして優雅なトーンで角野さんが奏でるバッハ「インヴェンションNo.1 」。

最初から心地よすぎて息を飲む。

迷いも淀みも全くない落ち着いた素敵なインヴェンションにトラブルの事は一切消えてしまった始まりだった。

最後の手が鍵盤から離されるまで丁寧に弾かれる音に耳を傾けた。

前評判で耳にした会場の響きもとても素晴らしく。ピアノの音がくっきり鮮明に感じる。

そしてそのまま角野さんがアップライトピアノへ向かう。

アップライトの、グランドピアノより親しみがある暖かさを含んだ音色。
だんだんその旋律に引き込まれていくと、まるでオルゴールを聴いているかのような音がしてくる。鍵盤を押される度に木が動くカタカタの音、あとちょっとだけおもちゃのピアノみたいな不思議な音。

たくさんの拍手に包まれた角野さんが一旦舞台から下がられ再び登場される。

マイクを持たれて、最初に開始前にトラブルでお客様が待った事をお詫びされた。
そして金沢は昨年9月のショパンコンチェルト以来だと言うこと、今日はツアーのファイナルの直前だということを告げられた。
時間が経つのはあっという間ですと感慨深くお話しして下さった。

しんと静まる会場の空気の中、2曲目のこの日のラモーの「雌鶏」は本当に優しく歌われた。

何と言ってもトリルが素晴らしくて…ラボの角野さんのお話によればトリルは「装飾のため」であり、元は音が伸びないチェンバロの響きをカバーするためだそうなのだけど、その意味が感覚的に完璧に伝わってくるような、音と音の切れ目を完全に繋ぐトリルだった。
そしてもう既に角野さんはご自身の演奏に入り込まれていると感じた。
今日は背中側から鑑賞していたがその背中もとても余裕を感じる。

情感たっぷりにまるで歌うように弾かれる「雌鶏」に、ユニークな曲であるのにも関わらず感動すら覚えてしまった。
そしてそうでありながら直感的な演奏に私の耳は更に引き込まれる一方だ。

「未開人」も完璧に角野さんの手の中だった。

丁度よい力加減で弾かれる「未開人」。
そのまま心地よい音符の連打とテンポに任せて聴き入っていくと短調なのにどこかメロディの暖かさみたいなものに気づく。。

今日の角野さんの演奏は命が吹き込まれている!!!

そう感じると俄然楽しくなって、角野さんのピアノに身を任せることにした。

グルダの「プレリュードとフーガ」が始まる。
凄く軽やかなプレリュード。
角野さんの指鳴らしも俄然多く感じる。
ぞくぞくする低音部。ノリノリの角野さんの背中。
フーガが始まるとそこに角野さん特有の上品な色気が乗る。
また角野さんが凄いのはビートがジャズなのだけど音色がクラシックで。
退廃的な錆びた感じがなくジャズの心地よいリズム。凄く洗練されているからビートがより際立つ。
(そして私は改めて確信した。
これは角野さんのとても大きな武器だと。。

またこのラモーさんとグルダさんの並びは対比でもあるのですよね…?)

ここで角野さんのお話が入る。

今回のテーマ「Reimagine」を打ち立てた角野さんの思いと、ショパンとの思い出を詰め込んだ「追憶」の紹介。

会場のライトが消され、真っ暗の闇の中に角野さんの影だけが浮かび上がる。
アップライトから流れる「追憶」の望洋とした旋律。
さざ波のようだった音がだんだん大きくなって会場の空間に溢れだす。
終盤で闇に切り裂かれた後の冷たい静寂が、角野さん自身の手の優しい小さな音の響きで回収されてやっと私も胸を撫で下ろす…。

角野さんの大きな慈しみの心がそのまま音楽になったような「主よ、人の望みの喜びよ」。
ライトがパイプオルガンを照らして暗闇から皆を救い出した。
いつの間にか角野さんご自身のオリジナル曲と感じながら聴いていた事に後で気付く。
その曲中隣の席に座る娘の手を繋いで聴いていたのだけどその優しい音色が娘の心により伝わればいいなと思った。

そして前半のクライマックス、バッハ「パルティータ 第2番 ハ短調 BWV826」だ。

前回(2/5多治見公演)しっかり自分の中に残せなくて、このパルティータ 2番を少し自分なりに調べてみた。

パルティータのバッハの音符が数珠繋ぎに展開していく旋律は演奏時に縦で聴かせるのはとても難しいそうで。。
それを読んだ時はなるほど思った。
正に予習で聴いたグールドのような「パラパラ」とした演奏がやはり主となってしまうのではと。

そしてこの事を角野さんの演奏を聴いて思い出してハッとしたのだ。

あくまでも私の主観なのだけど角野さんはとことん音符を横に繋げて繋げて…そうすることで演奏に厚みが生まれ、抑揚の少ないバッハの旋律にドラマを生んでいた気がする。
そしてそのお陰か今日は特にパルティータのメロディーが体の芯にまではっきり届いてきた。

「Allemande アルマンド」は温かい血が巡ってくるようだった。
そして旋律には絶妙な抑揚が付けられ、白黒の楽譜に鮮やかな音の色が吹き込まれたようだった。

余談なのだけど更にじっと背中を見つめながらその音色を聴いていると途中からまるでショパンがバッハを弾いているかのように思えた。
それは角野さんが外見とか持っておられるものがショパンに似ているからという事ではなく。(角野さんの中にショパン様が住んでおられることは起因しているかもしれない)

メロディーを作る天才と呼ばれたショパンがバッハを弾いたらこんな感じに歌い上げるのではと思えて物凄く興奮してしまったのだ。

そして曲を追う毎に角野さんの情熱が増して…こんなに鍵盤に心を込めようとして、込めていける事があるのというくらい、角野さんとピアノの音は一体だった。

もう完全に角野さんのバッハでありパルティータ。

「Courante クーラント」はアップライトのとにかく優しい響き。。音が多治見よりはっきり近くに聴こえた為、目の前で演奏して下さってるようなより親密な感じで聴けた。
「Sarabande サラバンド」では仕掛けが外されより柔らかい音で奏でられる。アップライトの背面の向こう側のハンマーがカタカタ動くのも妄想しながらその旋律に耳を任せる。

「Rondeaux ロンドー」は力強く、舞曲のリズムを刻む。角野さんの体や指は独立した鍵盤のひとつひとつを自然に繋げるためだけに動いていた。
また真剣に弾かれつつも時折角野さんがまるでピアノと遊んでいるような感じも受ける。角野さんが意のままにピアノを操っている。芯から鳴る音のうねりが凄い。

「Capriccio カプリッチョ」はよりテンポにのって、最後の最後まで角野さんの魂が込められた素晴らしい演奏だった。
心からBravo!!!だった。
1音1音しっかり弾き込んで下さった感覚から受ける快感や充足感が今も体に残っている。

弾き終わるとあたたかな空気で満たされた空気が会場を包み、角野さんはお辞儀をされて前半が終わった。

(ここでまた少しハプニング。館内放送の方の生理現象にて会場に笑いが…笑 これもひとつのいい思い出。)

※開場前も勿論そうだったのですが、休憩中の間、調律師按田さんの綿密な調律が行われていました。
皆さんとても興味がありステージ前が大盛況だった事に驚き、この角野さんの多彩な音色のステージが創られるのにその役目がとても大切なのだと改めて感じました。追記して記させて頂きます。

後半が始まる。

インのシャツが黒に替わられ表れる角野さん。
館内放送のハプニングに触れて空気をまた角野さん色に染める。
こういうところの角野さんの立ち回りが本当に素敵だ。

後半最初の曲は何度聴いても飽きないし、飽きさせない角野さんの「胎動」。
人は生きていると時に不安になり本当に心細いのだけど、この曲が与えてくれるとてつもない安心感。。
宇宙ってひたすら広大で孤独なんだけど実はいつも私達を守ってくれているらしい。そんなイメージを今日は持てた。
そして連続するアルペジオは最後まで力強く、皆を包み込み止まることなく前へ進んで行くような印象だった。

更に角野さんが小さい頃から好きだった宇宙と脳の関係のお話から「Human Universe」。

神聖な旋律から始まる角野さんのオリジナル曲。前回では難しくて入り込めなかったこの曲に身構える私。。
最近特に想像力の衰えを感じるが自分なりに宇宙を懸命に頭に描きながらその世界に足を踏み入れてみた。

暗闇の中に不思議な音の小さなゆらぎから生まれた「何か」がだんだん大きくなって…それが切ないメロディーやジャズのビートの塊に包まれながら変容していく。

そして例え孤独でもその世界は無音ではなく、何かに包まれているような、誰か…それは自分自身かも知れない…に見つめられているような、そんな感覚を覚えた。
そして最後は宇宙と一体となって広大な暗闇に溶け込んで行くように感じた。
(曲の頭文字から連想されるピアニストは今日はちゃんとその音楽の中に聴き取れた)

ここで4つのライトで表される2進法が説明される。(後で聞いたが同行して下さった友人もなるほど!と感心して下さった。)

いよいよカプースチン8つの曲の演奏会用のエチュードとバッハのインヴェンション。
カプースチンのエチュードの間にインヴェンションを演奏するプログラム。

始まる前からわくわくしてしまう。

(因みにカプースチンはジャズのリズムでありながら全て楽譜に起こされていてあくまでもクラシック音楽としての作曲であること、インヴェンションは元々バッハが作曲のベースとして練習用に作った作品とのこと。
この対比が素人にも感慨深くまた面白く感じる。)

カプースチン「Prelude プレリュード」が色鮮やかに始まる。
前回から私も更にカプースチンを聴き込んでみたが角野さんの演奏は素晴らしいと仰っていたカプースチン御本人の演奏を角野さんらしくブラッシュアップされている。
リズムはより軽やかに、音の粒はより鮮明に。
先日上げて下さったショート動画の長めのトリルがやっぱり私にはアクセントで。
チャーミング過ぎてふふっと思わず笑いがこぼれる。

「Reverie 夢」はロマンチックに…ベルが鳴らされるようなあの響きがただただ美しく。

そしてグッとテンション上がったのは「夢」の最後の1音に被せるように始まった「Toccatina トッカティーナ」。
溢れる気持ちをそのまま音に乗せて、走り抜けるような疾走感と思いっきり歌い上げる中間部の展開に興奮が込み上げる。
フィンガースナップさえ今日はその流れの中により自然に埋め込まれていた。

そしてもう何よりも今日1番の圧巻だったのがインヴェンション13番!!!

実は冒頭からワクワクする空気が流れてきたのだけど、本当にもうそれは立派なひとつの"変奏曲"だった。

短調の主題が音楽が進むにつれ怪しさを増し、よりメロディアスにそして沸き立つビートのなかで繰り返される。
絶妙な響きの和声がもうめちゃくちゃエクスタシー過ぎて…
これで私はもう完全に心を持っていかれてしまった。(何度目)

しかもこれだけじゃなくて更には右手の和音(フォロワーさんによればオクターブ)を連打しながら高速下降してくるのが最っっっっ高にカッコよくて未だに目と耳にその動きと音が焼き付いている。
途中のトリルなんて何て言うか高速で滑らか過ぎて曲の中に溶け込んでる感じ。

初めて見たし聴きましたあんな演奏…。。
(多治見でもされていたらすみません。。)
即興なのかなと思うのですけど、こんなギリギリながらも完成度が凄い即興って。。

勢いが勢いだけじゃなくて、全ての音がコントロールされ力強く鳴り響く。
止まない音がうねりを生み更にはそれが束となって最終的に力強い音圧となってこちらを襲ってくる。
ゾーンに入ってその更に奥から出てきたような今現在の彼だから出せる力強く躍動する凄味。
それはもう心臓を鷲掴みにされるしかなかった。

和声も左手のとのハーモニーも絶妙過ぎて素晴らし過ぎて、目の前の演奏はずっと流れているのだけど、時が止まっているような、自分が永遠の中にいるような錯覚にさえおちた。

圧倒されてる間に始まる「Remebarance 追憶」のノスタルジックな感じに、動きが止まらない角野さんの両手の映像が重なってどんどん没入感が増してくる。

「Rillery 冗談」のビート感では角野さんのギアが入ってノリノリ。ブギウギするところなんて色気がマシマシで!!!
只でさえかっこいいのに何でしょうもうこのかっこよすぎるSumino'sカプースチン。

そしてその内に始まったパルティータ4番はザクザクした演奏が面白くて。
これは…パルティータでは横の連続だったけど、明らかに縦のリズムと、演奏を感じる。。(これって凄いことじゃないのでしょうか…。)

しかも角野さんはそれをさらりと弾き終わられふと聴き慣れない旋律が耳に入る。

おや?と思うと、「Pastorale パストラール」の前に長めのアレンジを入れてこられたのだ。
そしてその後に「パストラール」の旋律が入ってくるのがとてもお洒落だった。
可愛らしく弾む音に揺れる背中。。

インヴェンション14番はシンプルに優しく繊細に…だけど何故か角野さんらしいいたずらっぽさも感じて物凄く魅力的だった。

アップライトで弾く「Intermezzo  間奏曲」では爽やかな風が吹いてくる。音がより近くに立体的に聴こえ、音符の形でみえるんじゃないかっていうくらい音楽が生き生きとされていた。

終盤でグランドピアノに移った「間奏曲」が終わりライトの右から4番目が灯る。

終わって欲しくないけどいよいよ「Finalle  フィナーレ」。

振り返れば全部がそうなのだけど、ちゃんとその曲その曲に角野さんの歌い方があって、それがもの凄く嵌まっていて…その上で更に彼の魂が乗るのだからその楽しさ凄さといったら!!!!!

ずっとノンストップで弾き続けてきた2本の腕がよりダイナミックな世界観でフィナーレを奏でる。ひとつひとつの音、フレーズがはっきりと聞き取れ、角野さんの鍛練が、何よりも楽曲への、作曲家、音楽への思いが溢れる。スピード感がありつつ尚も自然にリズミカルに、最後まで流れは止まらない。

最終フレーズ、消え行く泡のように高音部の和音が響きその後低音で「ダダダダダダン」が鳴らされ彼の腕が下ろされた時、もうここで気分はスタンディングオベーションだった。(思わず周りを見渡す私。。)

金沢という地域性が少し躊躇してしまったのか、ここではスタンディングオベーションにはならず、それでもたくさんの拍手を浴びながら角野さんは深々とお辞儀され舞台を後にした。

ずっと鳴り止まない拍手の中登場され、間髪入れず座って弾いたアンコールにまさかのあの音階が鳴らされる。

「英雄ポロネーズ」だ。

えっ、ちょっと待って、何の心の準備も出来ていない。

そんな多分大多数のお客様の心の声はお構いなしに、角野さんの代名詞と言える曲のフレーズが高らかに鳴り響く。

私の印象では、これまでは楽譜の解釈の中で鮮やかに弾かれていた「英ポロ」が、今回は角野さんが思うままに弾かれる「英雄ポロネーズ」だと感じた。
凄すぎて驚きすぎて無感情になっていたところに角野さんの華やかで鮮やかで力強い音色がどんどん迫り来る。
その度に胸の奥から何かが込み上げてきつつも呆気に取られている。

ファンにとってはもう伝説と呼んでいいのではという「英ポロ」を最後まで渾身の力を込めて弾き切って下さった。

角野さんの今の全てを出しきって下さったような演奏に、感謝と、そして少し切ない気持ちで胸が一杯になった。
観客席は終わるやいなやスタンディングオベーション。
勿論カプースチン×バッハの素晴らしい演奏への気持ちも込みだ。

その後もカーテンコールに出てきて下さり、2階席3階席のお客様にも感慨深げにご挨拶された。

最後には撮影OKの「きらきら星変奏曲」を弾いて下さった。(やはり撮影が苦手な私には最後まで撮る根性がなく…)
上手く撮ってくれた友人が動画を送ってくれ、それが本当に素敵な響きでこの日のお揃いの宝物になった。
(また友人の感想については、初めてのクラシックコンサートと言うことでかなり緊張されておられたとの事だったが、「クラシックというかジャズというか…曲の移り変わりも凄く分かりやすかったし、よかったです…(ため息…)」と帰りの列車の中でしみじみうっとり話して下さっていた。)


今日は更に最初から最後まで集中力が途切れず、トラブルによるピンチを角野さんの手で全て解決するような"快演"だった。

そして何より常によりよい音楽をという角野さんの意志とアイデアが積み重ねられた15公演目の完成度。圧倒された。

全ての楽曲が、その世界観が角野さんの手の中だった。


レポートはここまでになるけれど、角野さんが表現して下さった"Reimagine"とは。

クラシック音楽の「再構築」とは、きっと色んな考え方やアプローチがあるし、角野さんご自身が意図されたところをこの私がちゃんと汲み取れたとは思えない。

しかしアートに詳しいフォロワーさんとやり取りしていて以前教えて頂いた事があるのだけど、それを生演奏で体験出来たこととして実感を持って書ける事がある。

それは角野さんはクラシック音楽を「再構築」して、更には角野さんがその曲達を生き生きと演奏されることでクラシック音楽に「命」を吹き込んだ事。

ただ譜面の中の過去の音楽を過去のものとして演奏するのでなくて、「今ここに流れる音楽」として生き返らせる。

これが正に「再構築」だと。

そしてかつての音楽家達が伝えたかった「音楽は自由だ」という事…しかし一方で組み立てられた緻密さの上にありながら…を角野さんご自身が体現して下さり、その事を正に角野さんの演奏そのものから受け取ることが出来て本当に本当に嬉しく幸せでしかない。

そしてもうひとつ。。

これは本当に勝手に思ったこと。

これから更に道深く進んでいかれるであろう、角野さんご自身の「再構築」も意味しているのではと…。

またこれから角野さんが音楽で伝えようとされること。
そしてその為の計り知れないたくさんの努力。。
そこに私も少しでも参加出来るように、これからも音楽を楽しんで行きたい。

今日の炎の演奏はきっとずっと心に残ると思います。
またこの素晴らしい公演を実現するため力を尽くして下さっている調律師の按田さんを始めとする全スタッフの方々に心から感謝したいです。

本当に本当にありがとうございました!!!

追記:一緒に行ってくださった友人は無事ファンになったようです。
また娘は曲の感想ひとつひとつは難しくて言えないけれど、玄関に着いて座るなりけたけた笑いだし「楽しかったぁ!」と申しておりました。