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龍戦記ドラグーンソール

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特撮大好き少年の巽川龍介が、見ていた特撮ヒーロー「ドラグーンソール」になって、闘う。好きな人の桂優香を守る為。少年は、闘いの運命に呑まれていく。全24話 完結済み
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2016年12月の記事一覧

「小説」龍戦記 ドラグーンソール 第8話

龍戦記ドラグーンソール第8話 風と電気と破壊の影  荒川美奈子は、携帯電話を取り出してユニオン機関の同僚、紀野みなみに電話をかけた。 「はい。美奈子ね?」 「ええ。みなみに探して欲しい人がいるの。この間の日曜日に、ハイエルフのリーシと一緒にいた人間が見つかったわ」 「それで? 名前ぐらいはわかっているんでしょうね?」 「つよしといっていたわ。背の高さが170センチ前後、そしてもう1人、背の小さい男の子でりゅうすけと呼ばれていた子がいたわ」 「……なるほど。私が行く

龍戦記ドラグーンソール 第9話

嘆きの雨 龍戦記:ドラグーンソール 第9話:嘆きの雨 好きと……言いたい。  桂優香は、病院の廊下で泣いていた。 大好きな人が、ずっと守ってくれていたことに。そのことに気づかないで、護られていたことに。そして―彼の命が尽きかけようとしていたことの現実を認められないでいた。 出来事は、今から数時間前に遡る。  ドラグーンシルフと破壊の龍。ドラグーンシュテールンクとの闘いが激化していた。いや、戦いというよりも、一方的な暴虐といったほうがいい。 シュティールンクの攻撃

龍戦記ドラグーンソール 第10話

龍戦記 ドラグーンソール  第10話:時を超えて   虹色のトンネルを抜けると森林が見えた。彼らは森の真上に放り出された。 「優香さん?! 豪!! 優香さんを頼む!」 「わかっている! ジョグレスアウト!」  ドラグーンソールとドラグーンシルフに分離して、ドラグーンシルフは優香の手を握ろうと手を伸ばした。 「桂さん!」 「犬飼君!」  2人は手を握り締めて抱き寄せた。 「ウインディリーフ!」  緑色の翼を展開して滑空する。融合進化の影響で、翼を展開すること

龍戦記ドラグーンソール 第11話

第11話:迫る時、未来へのプレリュード 時空を超えて2  犬飼豪は、絶句する。 「どうして? どうして、どちらかの存在が消えることになるんだ?!」 「俺から説明しよう」  風の龍戦士。ドラグーンシルフが浴衣の袖を両腕に入れたまま腕を組んで答える。 「過去から未来への出来事はある一定の流れに沿っている。そこはいいな?」  豪は頷いて答える。 「今回の試練は、ある意味においては「正しい流れといえる」だろう。 何故ならば、お前たちがこの時代に流れてこないと、ドラグー

龍戦記ドラグーンソール 第12話

ドラグーンソール第12話 沈みゆく太陽龍  茶色の短髪の男性が、激を飛ばす。西洋風の鎧を身にまとい。整備を急がせる。この男性こそが司令官であり、侵略者であるクラウスだ。彼が指揮し。ロベルガーの投入の最終調整に入る。 「急げ。この世界を我が手にするために。そして、別世界の移住を急ぐのだ。すべては、奴を倒すために……!」  神秘的な羽衣を纏ったエッダの巫女が、クラウスに進言する。 「失礼します。クラウス様」  クラウスは、エッダの巫女の方に体を向けて、頷く。 「どうし

龍戦記ドラグーンソール 第13話 終幕

戦記ドラグーンソール 第13話 君の果てしない情熱と夢に賭けよう クラウスは、牢屋に入れた巽川龍介の処に来た。 彼は気になったのだ。倒すだけなら、あの場でできる少年が何故、理解しようとする気概を持って言葉を投げかけてきたのか。そして、迷う。 ――自分自身のエゴだけで、世界を壊してもいいものか 「私としても、どうかしている。異世界の人間と出会い。しかも年端もいかぬ少年が、戦いとは無縁の世界で、あのように戦っていたと」  取り上げた携帯電話の映像で、ドラグーンソールに変身