龍村仁の旅立ち

2023年1月2日午後3時。
夫が、静かに、本当に静かに息を引き取った。
彼と過ごした30有余年の歳月には、あまりにもたくさんのことがあって、
振り返る時間などないくらい、どの瞬間も濃密で、そして、10年くらい前からは夫の気性の激しさについていけず、心身ともに疲れ果て、一緒にいると、私の心も体も壊れてゆくということがあり、そこから私は私の苦しみの根源に深く深く潜りこんでゆく旅路が始まった。
彼にとっては、それを謀反と受け取ったに違いない。ますます関係性が複雑になってゆく。
いつか、この関係に終止符が打たれたら、私はもっと軽やかに生きられるのではないかと苦しみのなかでもがいたこともある。

それでも、なにか、見えない力が私たちをつなぎとめてゆく。

そのことに抗えない、抗うことはできないと覚悟し、関係性の修復と正面から向き合い続けた。何年かかったことだろう、ようやく私の中に夫への愛情がまた芽吹きはじめた。
でなかったら、本当に脳が次第に収縮してゆく夫のそばにいることはできなかっただろう。
あれだけ、夫の元から逃げたかったのに、今は夫とのことを思い出すだけで、喪失感と寂寥感に押しつぶされそうになる。

こんな私も、全部お祝いしたいから、私の心の旅路、気持ちを書き綴っていこう。いつかこれも、私へのギフトになることを願って。

それでも、なにか、見えない力が私たちをつなぎとめてゆく。

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