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旧耐震マンション肯定派の私の自論。

こんにちは。涼香です。
東京都内で自宅マンション購入のサポートをしています。

※今日書いていくのは、木造戸建ではなく、鉄筋コンクリートのマンションについての内容です※

私が家探しのお手伝いをする中で、旧耐震のマンションは避けたいという方はとても多いです。
世の中を見渡してみても、「避けるべきマンション○選!」の中に、必ず旧耐震マンションが入ってきます。

避けるべきとされる理由は2つ。

①地震のときに倒壊して命の危険があるから
②住宅ローン控除などの税制優遇が使えないから

でも実際は新耐震でも被害を受けたマンションはあります。
税制優遇は受けられたら嬉しいけど、住宅ローン控除は最大で140万円です。旧耐震マンションを選べば、そもそも物件価格の相場が140万円以上は安くなることが多いです。

前置きしておきたいのは、私は旧耐震だけを激推ししているのではありません。
建物は立地の良いところから建てられるので、古いマンションの方が立地が良いことが多いし、金額も安くて、値下がり幅も少ないから再販して買い替えもしやすい、築古のマンションにはそういうメリットもあります。

だから、家は自分がどんな暮らしがしたいか、将来はどんなライフプランか、などによって総合的に判断して選ぶべきで、耐震基準で全てをばっさり切ってしまうと、選択の幅が狭くなってしまうということ。

旧耐震物件は地震で倒壊するのか

1970年築の旧耐震マンション

旧耐震基準
・1950年から1981年5月まで30年にわたって運用
・中規模の地震(震度5強程度)で家屋が倒壊・崩壊しないこと
・震度5強より強い地震は想定されていない

新耐震基準
・1981年6月から施行
・中規模の地震(震度5強程度)で、家屋がほとんど損傷しないこと
・大規模の地震(震度6強〜7程度)で、家屋が倒壊・崩壊しないこと

今年1月の石川県能登地方地震は、戸建の多い地域でマンションのデータがまだ出ていないため、東日本大震災のデータで見ていきます。
(東京カンテイのデータを参考にしています)

東日本大震災で大破したマンション(もう住めない状態)は何件?

東京カンテイより

答えは「1件」です。分譲マンションとして唯一「大破」認定されたのは仙台市宮城野区福室にある「サニーハイツ高砂」で旧耐震の物件でした。
この物件は、その後全額国庫負担で解体工事が行われました。

中破(大規模な補修・補強が必要)認定については、宮城県全域で「15件」です。15件の内訳は、新耐震基準が12件、旧耐震基準が3件です。

「あれ、新耐震の方が多い」と気づいたと思いますが、これはなぜなのでしょうか。※そもそも旧耐震が少ないというのもある
調査結果を読み進めていくと、地盤にポイントがありそうです。

例えば、青葉区などは、なだらかな高台にあり地盤が強固なエリアで、ここは旧耐震基準の建物の割合が31.8%と、仙台市の旧耐震の割合16.4%よりも高いにも関わらず、被害が少なく、耐震基準による被災度にも差が表れていません。

反対に、泉区などの川や湖沼が数多く存在する地盤が弱いエリアは、被災度が高くなっています。泉区で被災した15棟は全て新耐震基準であることからも、耐震基準より地盤の良し悪しが被災度に対する影響が大きいことが分かります。

東京カンテイの結論はこうです。

“東日本大震災においては、新耐震と旧耐震の耐震性能の差よりも、その土地の地盤や地質の良し悪しがマンションの被害の度合いを決定したことは本稿の分析から明らかである。地盤や地質、地形の問題は最も注意を払うべき問題であると言えるだろう”

地震の揺れ方や建物の形状など、その他の要素もあるようなので一概にいえないのですが(阪神大震災での大破・中破は旧耐震の方が多い)、旧耐震だからダメ、新耐震だから大丈夫と一刀両断するのではなく、地盤や地形、地質を含めた総合的な判断が大切です。

耐震基準よりもこだわるべきところ

秀和第二神宮前レジデンス

耐震基準、地盤、建物形状も大切な要素ですが、私がマンションを見る時にもっとも大切だと思っているのは、「管理面」です。

| マンションは管理を買え

管理のよいマンションというと、秀和レジデンスが思い浮かびます。
個性的な模様の白い壁に、青い屋根の建物。
東京に住んだことがある人は見かけたことのある外観だと思いますが、それが「秀和レジデンスシリーズ」です。
(個人的には外苑前にある秀和が大好きです。)

秀和レジデンスシリーズの建設初期、マンションを買うという事が一般的ではない世の中、「マンション買うなら管理を買え」というのが当時秀和レジデンスの広告の打ち出し文句でした。その頃ならではの徹底した管理の良さが、今も保たれています。

なかなかどんな意味か分かりにくい部分もありますが、この言葉を理解することができれば、将来的に欠陥が発生しにくく、資産価値も落ちにくいマンションを購入することができると私は思っています。


| 具体的には


大切なのは、「修繕のためのお金があって、マンションの維持に必要なことをしてきているどうか」です。

人に例えてみると、貯金もぜずファーストフードだけ食べてダラダラと過ごす17歳と、若い頃からコツコツ貯金をして健康にいいものを食べ運動し、定期的に健康診断を受けて生きてきた40歳と、どちらが長生きできそうですか?

私だったら、40歳の方が今後も安心かなと思います。17歳はまだ若くて、本当にしっかりした人なのかの判断がまだつきません。今後変わってくれる期待もありますが、今後も変わらない可能性だって同じようにあります。
だったら、もうすでにしっかりしている40歳の方が安心な気がします。

日本には、地震だけではなく台風や水害などもありますし、災害よりももっと小さな日々の問題の方がはるかに多いです。

そんな時、もしマンションに何かあったら、ちゃんと貯金ができているマンションの方が安心ですよね。
定期的に状態をチェックして、メンテナンスを行なっていれば、そもそも被害が少なかったり、修繕費用も最低限で済むかもしれません。

まとめ


そもそも耐震基準というのは、建築基準法の中の1つの規定でしかありません。
もちろんとても重要なのですが、耐震基準だけをチェックするのではなく、地盤や建物の形状などを総合的に判断することが大切だと思います。

そして、旧耐震・新耐震それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、自分の生活やこれからのライフプランを考えて、どちらがより理想の暮らしができるかという判断基準で選ぶことをおすすめします。

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想いの数だけ、暮らしは十人十色。
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