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十全なす

私の出身地は新潟だ。米と雪と酒がパブリックイメージだと思う。知られざる銘品と言っていいのかわからないけど、夏は十全なすの漬け物が定番。いまぐらいの時期から出回る。

母の実家が大きめの農家で、5月に行われる地域の祭りに合わせて親戚を集めていた。いつもナスの浅漬けをお土産に持たされていた。こちらは普通のナスで、出荷出来ない小さいものを漬けていたんだと思うけど、噛むとプスッと音がして、空気が抜けるようにしゅわしゅわと口の中で溶けていく感触が大好きだった。ナスが好きなんですわ。

話は戻して十全なす。十全なすは普通のナスと比べて大きく丸っこい。最近、浅漬けを通販できると知って購入し、毎日のように食べている。やっぱりおいしい、故郷の味。皮が青くて涼しそうなところも善き。

ふと「十全なす」って全国的なものなのか気になった。子どもの頃から当たり前のように「十全なす」と言っていたけど。

教えて、Google先生!

元は十全村(現・五泉市の一部)で作られていたものが、新潟市や長岡市に広がり、品種改良を重ねていまに至っているらしい(超ざっくり)。その名前が地名から来ていたことに驚いた。へー。

通販サイトを改めて読んだら「美味しすぎて、県外にはあまり流通していません」とあった。その現象知ってる!!枝豆と同じだね!!

テレビ番組の「ケンミンショー」は、一部地域のものを県全体のものと大袈裟に演出していることがあるけど、新潟の枝豆消費量は本当。枝豆も県内で食べ尽くしていると言われている。実家では夏になったらザル一杯に毎日食卓に上がっていても平気。

私は「黒埼茶豆」が世界一だと思っているけど、東京の人たちには「枝豆?だだちゃ豆(山形)でしょ?」と言われる。洋梨の「ル レクチエ」も世界一だと思っているけど、「洋梨? ラフランス(山形)でしょ?」と言われる。ル レクチエは贈答品になることのほうが多いかもだけど。

十全なすもその系統とは知らなかった。美味しいものを出し惜しみするのは、新潟県人の癖なのか。だけど、ナスもナスの浅漬けもどこにでもありすぎて、「ナスといえば…?」。これは「ナスの浅漬けといえば十全なす!」と言ってもらえるチャンスなのでは。

…なんて、言ってもらわなくてもいいから県外に出回らないんだよね。そういう県民性だった。

ちなみにネギといえば、Negiccoです。

早く、コロナが明けないかなあ。新潟に帰りたひ。

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