もうすぐ4月

目にしたことを淡々と書き連ねたくなった。

私の活動時間は一般的なサラリーマンより半日ズレている。

夜12時前後に帰宅、3時に寝るまでが夜の自由時間。昼前ぐらいにのそりと起きて午後2時ぐらいには出勤のために家を出る。

ご近所さんが寝静まってから帰宅、私の目が覚める時にはご近所さんの平均的な出勤時間は過ぎているから、私の周囲に人の気配はありゃしない。

気ままな生活なわけだけど去年の夏ぐらいに、上の階からテレビの音が響いていると苦情が届いた。郵便受けにお手紙が入っていて血の気が引いた。

でもふと思う。
顔を合わせないとはいえ、直接来るかなあ。ご近所トラブルの元だから、大家を通すもんじゃないかなあ。

私もお詫びのお手紙を郵便受けに入れることにした。2階に上がってみると、引っ掛けられるところにたくさん傘を引っ掛けているのが見えた。小窓のサンやガス給湯器と家を繋ぐ筒の折れ曲がったところとか。2人ぐらしのはず。片割れの女性とは一度顔を合わせていて、軽めのゴスロリっぽい黒いお洋服を着ていた。

あの女性から、このお手紙を受けることはイメージできる。でもこの玄関のイメージは、あの女性にない。

なんかチグハグしている印象を受けた。ズボラと神経質が同居しているような。

お手紙を郵便受けに入れ、出勤のために家を出て2階を見上げると、小雨だというのに洗濯物が干しっぱなしになっていた。

自分の中の危険信号が働き出す。心がざわついてくる。

ある晴れた日。私は休みで窓を開けた。私の部屋は大きい通りに面していて、同じアパートの住人が駐車場にバイクを停めている。なかなかのエンジン音を響かせてどこかへ出掛けるのだが、一瞬のことなのと、私にはまだ眠る時間なのですぐ寝落ちる。その日は珍しく早く目が覚めたのだ。

ブロロロロロ…ボォンボォン！バイクのエンジン音。私が窓を開けたタイミングで「うるさい！」と2階から女性の声が響いた。

2階の人…ヤバい人かも…。

それから数カ月。2階の窓にカーテンがないことに気付いた。引っ越したのかなあ。

去年の年末から、2階からゴトゴト音がするようになった。昼の12時、夜の12時ぐらい。私への嫌がらせかなと思ったけど、普段私がいない時間にも音がするので、そういうわけじゃないだろうと自分に言い聞かせた。3カ月ぐらい、ゴトゴトしていた。

3月の始め、アパートのゴミ集積所がいっぱいになっていた。月1回の燃えないゴミの日は過ぎているのに、半分ぐらいは燃えないゴミ。燃えるゴミ、ダンボール、分別はされているけど、雑多に詰め込まれていた。なんじゃこりゃあ…。

次の日は、その集積所の脇に粗大ゴミが出ていた。粗大ゴミのシールに書かれた回収日は2日後の日付だった。マットレスを眺めながら、雨降ったらどうするんだ、これと呆れた。名前は男性だったので、神経質な女性が先に出て行ってしまったのだろう。

粗大ゴミを置いて、2階の人は完全に引っ越ししたっぽい。

我が家が本当にうるさかったのか、イマイチ判然としない。夜に一度テレビを付けたまま、部屋の周りを巡ってみたけど、苦情を受けるレベルとは思えなかった。

なんとなく気になることがある。もともとその2階の部屋に入るつもりで私は内覧していた。窓を開けても、ひとつは殺風景、もうひとつは隣の建物と近接し過ぎていて圧迫感があった。だからなのか少し暗く感じた。決定打が足りず、その真下の階を選んだのだ。

リノベーション物件で、全世帯がほぼ同時期に入居した。契約2年のところを早々に退去してしまったのは…。

ズボラな彼氏が神経質な彼女を怒らせちゃったんだろうね！！ 傘を持たずに出掛けて、ビニール傘を買って帰るを繰り返すような人は、物を大切にしないし、金銭感覚もおかしいから、別れて正解だよ！！

（そういう人と付き合っていたことあるよ！）

燃えないゴミの日がまだ来ないので、底の方で溜まっているゴミを見ると、怒りが込み上がってくるが、見て見ぬ振りをしている。

回収日に間に合わせられなかったゴミって、新居で捨てるよね…。