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母と過ごす2日間

ゴ●ブリを殺す夢を見た。縦にスパッと切れていて、側面からピンク色の内臓みたいなものを見ながら「潰すと卵を飛ばすっていうんだよなあ。ティッシュに丸めてトイレに流すか…」と悩んでいた。

ゴ●ブリの内臓なんて見たことないけど、ピンクってことはないだろう。明らかに夢。

(実家は汚いくせにゴ●ブリは出ない不思議な家だったので、見慣れていない虫を駆除するのは全然平気なんだけど、文字を見るだけでもつらい人がいるらしいので、伏せてみました。平気とはいえ気持ち悪い夢だし)

寝て起きてから、夢占いを検索したらコンプレックスが解消されるとあったので、ひと安心。

母の命日イブはそんな感じで始まった。

人間の魂が、虫に乗ってやってくるという話を聞いたことがある。葬式の時にチョウチョが寄ってきたとかそんなエピソードを聞いたことはないだろうか。母が亡くなって病院から家に帰って来たときも、大きな蛾がいた。

去年の命日は何していたかなと記憶を探ってみた。そうそう。そういえば。

朝起きて、キッチンで水道を流している時に、なんとなく振り向いたら、色素の薄いゴ●ブリが天井近くにいた。

静かに近づいて、新聞で叩いたらあっけなく駆除できた。ゴ●ブリにしてはどんくせーなと思った。

あれは母親だったのだろうか。「お母さま、ゴ●ブリに乗って来られても困ります。アボは躊躇なく潰してしまいますよ。もっと別の虫にしてください」とドン引きした記憶。

だからといって、夢でもゴ●ブリはないだろうよ、お母さま。

去年の思い出は以上。

お花が好きだった母のために、アレンジメントを買って、ワインも用意した。

母ものんべで、ワインをよく飲んでいたけど、実際のところどんなアルコールが好きだったのかよくわからない。

ワインが、というより、息子や娘が自分のために買ってきたワインがうれしくて飲んでいたのかもしれない。

なんとなく、命日みたいな日は電波(母の好み)を受信できないかと、気になったワインを買ってみた。

わが家は浄土真宗。新潟は特に多いらしい。お盆に迎え火とか送り火とか、キュウリの馬とナスの牛を用意しない。あれは架空の話だと本気で思っていた。わが家はただ家族が集まってどんちゃん騒ぎ。

そんな文化の違いがあることを知らず、避難してきた福島の人たちに、肩身の狭い思いをさせてしまったらしい。

死ねばみんな仏さま。冥福を祈る必要はない。特別に祈らなくったって、極楽浄土にいけるのだ。本来は葬式も●回忌とか必要ないけど、それは亡くなった人のためでなく、亡くなった人を思い出す生者のためにやっている、というスタンスがいいと思っている。

(昔の宗教ってお金持ちの道楽だったんだろうね。お金持ちからお金を引き出すために、あれやこれやとイベントを作っただけで。それに反抗したのが親鸞聖人なんだろうけど、それでは浄土真宗のお坊さんが干あがっちゃうから、後付けで「生者のため」という解釈なんだろうね。そういう緩さもいいと思う。いつでも生きている人のために宗教はあるべきだ)

だから毎年、私のために仕事を休むし、心の中の母が喜んでくれそうなことをする。全ては私のため。確かに、少しずつコンプレックスが和らいでいるのかもしれない。

でも、ゴ●ブリを使って教えてくれなくていいんだよ、お母さま。

(というか、私の深層心理か)

今年も楽しく、お酒を飲んで映画を観て過ごしている。

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