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行ったり来たり

「羽男と石子」というドラマをTVerで観るのが最近の楽しみ。中村倫也と有村架純が主演。

井之脇海演じる通好みの映画監督のファンが、ファスト映画を作ってネット配信し、著作権法違反で逮捕されるんだけど、まったく悪びれる様子がなく、弁護士である中村倫也たちを困らせるという話があった。

最近の若者の中には、映画を2時間ゆっくり観ることができない層があるらしい。ちょっと理解が出来てないんだけど、自分で咀嚼すればいいものを他人にやってもらって見た気になる感じかな。

名作小説を漫画や映画、ドラマで触れて、知った気になっている状態の延長線上にあるのではないかと思うんだけど、著作権は侵害しちゃいかん。

このドラマでの被告は、その映画監督のファンで魅力を知ってもらいたいという意図があった。だから、たくさんの人に見てもらって「映画を観たいと思いました」という感想をもらって満足し、悪気がない。

最後はその編集技術を買われて、映画監督と和解するような着地点かな、お互い歩み寄って世代間のギャップを埋めるような感じかなと思って見ていたら、でんでん映画監督が現代っ子井之脇海を全く許さず、バッサリ切り捨てていて笑った。

なかなか硬派な作り方をするんだなーと思った。若者に対し迎合するだけでなく、ダメなものはダメ、というアプローチが必要な時もあるよねえ。現実は甘くない。私は甘かった。

で、次の回。今度は高齢者同士の恋愛がポイントになっていた。私自身、あんまり縁がないけど、何歳になっても恋愛をしていいと思っている。別に恥ずかしがる必要ないよと思ってはいる。不倫はいかんけど。

ドラマを観ていてあれって思った。中村梅雀さんと風吹ジュンが2人で観に行った「カサブランカ」とか、めっちゃ高齢者が好きそう。「君の瞳に乾杯」という日本語訳のセリフが有名な作品だけど、そのことには触れない。映画好きな人がくすぐられそう。若い中村倫也と有村架純のセリフも妙に高齢者に肩持つ感じに聞こえる。

あれ、このドラマって、もしかして高齢者がターゲットになっている? 中村倫也も有村架純も人気俳優で、万人受けっぽい作りに見えるけど、テレビは高齢者しか見てない、視聴率を稼ぐなら…と思えば、なんとなく納得。

人生80年と思えば私は中間層。若者びいきにも高齢者びいきにもなれない。

でんでんに切り捨てられ、愕然とする井之脇海の姿を見て溜飲を下げているお年寄りを想像してしまい、あら硬派な作りとか思った私が急に恥ずかしくなってきた。中間層、若者側と高齢者側、感想が行ったり来たり。

私がそう思うのは、私が若いころのドラマは若者に優しかったからなのかもしれない。制作者はいつも子供や若者の視線を気にしていたように思う。最近の若者は大人に優しくしてもらえていないことがとても気になっている。というか、大人がいなくなっているのか。

今後も文化の分断が進むのかもしれない。20年後はまた違う風景を見ることになるのだろう。楽しみなような怖いような。

視聴率に貢献できないけど、また来週を楽しみにしている。

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