地元長崎でライフセービングクラブを立ち上げたい。21歳の女子大生の原動力とは
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地元長崎でライフセービングクラブを立ち上げたい。21歳の女子大生の原動力とは

ライフセービング新聞online

ライフセーバー名鑑No.10 桝屋桃花

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九十九里ライフセービングクラブ、淡路島ライフセービングクラブを経て、地元長崎でのライフセービングクラブ立ち上げに奮闘中。
21歳とは思えない行動力の源とは?


生まれ育った度島


地元は長崎県平戸市の度島(たくしま)。
人口660人(2020年12月時点)の小さな島で生まれ育った。
島民のことはお互い、ほとんどみんな知っている。

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高校生のころ、友人の兄が島の外の海上で行方不明になった。
1週間ほど捜索の期間は、県外とはいえ自分事に感じられた。
身近な人がいないことへの焦燥感と、何もすることができない無力感に圧倒されている中、海で亡くなっているのが見つかった。

そもそも海に囲まれた小さな島である。
海での事故は身近にあった。
海運や漁業関係者の人も多い。
船の転覆や釣りでの事故なども多かったが、いわゆる「海水浴」での事故はほとんどなかった。

さらに、自分と歳の近い人が亡くなることなんて経験したことがなかった。

“何もできなかったな・・・
海で人を助けるにはどうしたらいいんだろう?
海保・・・個人を助けるわけではないだろうな。
そもそも事故が起こってから動くのでは遅いな。
事故を起こさないためにはどうしたらいいんだろう?
・・・ライフセーバーという人がいるんだ!“

上京し、始めたライフセービング

進学した大学にはライフセービングクラブはなかったが、早稲田にインカレサークル(他大学も受け入れているサークル)があったので自分から連絡をした。
実際に湘南や千葉の海で活動する姿を見て、「こんなに波のある海にはいって波乗りするの?!」と衝撃だった。
度島ではほとんど波がなく、ポイントがないためサーフィンをする人もほとんどいないのだとか。

資格講習会の中で教本を読み、長崎県にライフセービングクラブがないことを知った。
(桃花さん曰く)長崎には何もないので、
ライフセービングもないのか、そんなもんだな。いつか長崎でもやれたらいいな。
と思ったそう。

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九十九里LSCで1年間活動したあと、いったんライフセービングから離れて休もう、と思う時期があった。

そんな折にインスタで流れてきた「淡路島ライフセービングクラブの立ち上げメンバー募集!」の文字。
離れようと思っていたはずなのに、気づいたら連絡していた。

淡路島での出会い

淡路島ライフセービングクラブは和田賢一さんを中心に2019年に創設された。
何もないところからの立ち上げ。
桃花さんも初めてのことばかり。
わからないことばかりで困る・・・というより、
やることがこんなにたくさんあるんだ!と感じた。
監視活動中やその準備期間、またその後も、こんな風に動いているんだな・・・

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当時、長崎での立ち上げはぼんやり考えていたものの、なかなか動き出すには至らなかった。
その夏淡路島での活動中、和田さんに「実は・・・」と思いを打ち明けた。

「それめっちゃいいじゃん!!」

今まで立ち上げことのを人に話すことも積極的ではなかった桃花さんにとって、和田さんのように肯定的で、理解してくれる人がいるということも気づかなかったそう。
ようやく、「本格的に動き出そう」と思えた瞬間だった。

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長崎ライフセービングクラブ立ち上げまでの道のり

まずは一人だけでは動けない。という思いから、
インスタやFaceBookで「こんなことに協力してくれる人はいませんか」と投稿した。
そこで、実際にクラブの立ち上げをされた何人かに相談することができた。
すこしずつ進んでいく中で、長崎県平戸市長とお話することに。
きっかけはFaceBookのメッセンジャー。
いきなりメッセンジャーで市長に連絡したそう。
市長は初めから「興味深いお話だ」と言ってくださったのだとか。
その後電話をしてアポイントを取り、日程を決めた。

アポイントに向けて事業案、予算案の作成に奔走した。
色々な方に資料を添削してもらい、当日。
一人で市長とのアポイントに向かい、一つ一つ丁寧に説明をした。

長崎県内の海では現状、資格を持ったライフセーバーはいない。
地元の人のボランティアで、事故があった時に通報をしてくれる形だそう。

その後何度かアポイントを重ね、2021年の夏からライフセーバーの設置に向け動き出すことに。

自分とライフセービングを繋ぎとめる手段

ところで桃花さんが、海でよくライフセーバーの練習風景を撮っているのはご存じだろうか?

写真を通してライフセーバーとのつながりが増えたという。
ここ1年、湘南界隈で練習している人であれば一度は桃花さんのカメラに収まったことがあるのではないだろうか。

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写真を撮り始めたきっかけを聞いてみた。

“今は、ボードやスイムの練習の前にやるべきことがあると思ったんです。
トレーニングを始めると、続けなきゃという気持ちが前に出て、クラブ立ち上げのことが進まなくなる。
時間と体力を考え、海に入るのは我慢すると決めました。
でも、そうすると自分とライフセービングをつなぐものがなくなってしまう。
だから写真を撮り始めたんです。
写真なら、ぱっと行って帰ってこられる。体力も奪われない。
本当ははやくトレーニングしたいけど、我慢。
でも、実は一回だけ波乗りしました。すみません・・・笑“

写真を通して人と話し、桃花さんの考えを肯定し応援してくれる人を身近に感じることができたのも、ここまで立ち上げに力を注げた要因の一つだという。
人と対話するたびに「やれるんだ。大丈夫。」と確認することができた。

クラウドファンディングへの想い

そんな彼女が3月頭にクラウドファンディングを立ち上げた。

ライフセービングクラブ設立プロジェクト IN 長崎県

法人登記、ライフセービング協会への登録費、レスキュー器材の購入など約40万円をこれまで貯めたバイト代で賄っているそう。

目標金額は250万円だが、これは手数料やリターンのためのグッズ製作費も含まれる。

現状だと「ギリギリ、海水浴場の監視活動が最低限できる」程度。
今回のクラウドファンディングプロジェクトを成功させて、講習会やジュニアイベントの開催、サインフラッグ、双眼鏡やAEDトレーナーなどのより充実した器材準備や人件費、コロナ対策備品に使いたいとのこと。

このクラウドファンディングを通じて、まだライフセービングを知らない地元の学生が監視活動に携わりたいと連絡も来ているそう。
まだライフセービング文化のない土地で、このようにたくさんの人に影響を与えて突き進もうとしている姿に心が動いた。

地元長崎の海の安全、人々の命を守るための必要な資金である。
1000円から応援できるため、ライフセーバーはもちろん、周りの友達にも勧めてみてはどうだろうか?


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