新田義貞

ライフレコード004「妻のご先祖様?」新田義貞

歴史に全く興味がなかった妻が、自分のルーツについて興味を持ち、親におじいちゃんおばあちゃんはどんな人だったのか、ひいおじいちゃんは?ひいおばあちゃんは?と尋ねたところ、最終的に出てきたのが「あなたはね、新田義貞の子孫なのよ」という言葉でした。新田氏と言えば清和源氏!清和天皇まで繋がる超名家ではないか!僕はかなり驚きました。
ところが、歴史に疎い妻は「新田義貞って誰?」という状態。とても悲しいので、新田義貞をライフレコードにまとめ、妻に説明することにしました。

ライフレコードは人生を一周として円に描いたものです。中心に人物の顔があり、大きく三層に分かれています。一番内側の層が内面に影響を与えた成功体験や失敗体験、出会いや別れなど。真ん中の層は、学歴や職歴、昇進移動など、言わば履歴書のような多くの人が知ることのできる人物の外殻。そして一番外側の層は当時起こった社会的な事件や災害など、世相を表すような事柄を記しています。ライフレコードでは、この3つの層の相関関係で新田義貞の人生模様を俯瞰していきます。


新田義貞の人生のコアタイム

中世の人物はやはり情報が少なく、特に活躍していない幼少期の資料がほとんどありません。さらに言えば、プライベートな情報もほとんどありません。新田義貞に至っては生年不詳で諸説あり、生まれたのは恐らく1300年頃ではないかと言われています。
新田義貞が世に出始めるのは1331年に起こった後醍醐天皇二度目の反乱「元弘の乱」以後です。当初鎌倉側だった義貞は、1333年に挙兵し後醍醐天皇サイドに付きます。ここから義貞の行動について怒涛のような資料が出てきます。そして亡くなる1338年までの8年間が新田義貞の人生のコアタイムと言えそうです。意外と人生短かったんですね。


新田義貞と足利尊氏、どちらが優秀?

1333年の挙兵以降、義貞は数々の戦に出陣しています。生涯戦績は17戦10勝6敗1分と大きく勝ち越しています。しかし昔の戦績を見ただけでは優劣を判断しづらいので、ライバルの足利尊氏と比較してみましょう。

尊氏の戦績は7戦5勝2敗で、義貞と比べると総数が明らかに少ないですね。さらに、2つの黒星はいずれも義貞につけられています。ところが、二人の直接対決では尊氏が3勝2敗とわずかに勝ち越しており、その差が二人の明暗を分ける大きな差のように思えます。

尊氏の勝利の中には鎌倉幕府を滅ぼした中先代の乱の鎮圧や、楠木正成を討ち取った湊川の合戦という重要な戦が含まれています。つまり、尊氏は普段は後方で指示を飛ばし、重要な仕事のみに出陣する経営者タイプ。義貞は常に自分で現場に出て行く現場監督タイプという違いがあったと思われます。事実、朝廷での役職は常に尊氏が上であり、周囲の人に好かれていたのも尊氏でした。義貞は仲間であるはずの楠木正成からも「あいつ、やっちゃいましょう」と上司(天皇)に告げ口されるほど、人付き合いはうまくなかったようです。
尊氏が室町幕府を築いたのに対し、義貞は担いでいた神輿(後醍醐天皇)の裏切りにあい志半ばで倒れてしまったのは、実践的な能力というよりも人間力の差だったのかもしれません。


ちなみに写真の人物はかつては教科書でも足利尊氏像と書かれていましたが、今は尊氏家臣の高師直もしくはその子孫であると言われており、「騎馬武者像」というなんともファジーな表現がされています。


妻は本当に新田義貞の子孫なのか

ついに本題です。妻は本当に新田義貞の子孫なのでしょうか?妻の母方の旧姓は金谷氏といい、福島県の霊山あたりにいたそうです。姓と土地を頼りに調べていくことにします。


室町幕府の敵となった新田義貞の子どもたちは当然処罰の対象となりました。義貞には4人の男子がいましたが、直系はいずれも室町時代に断絶しています。新田系の子孫として続いていったのは義貞の三男・義宗の庶子たちでした。横瀬氏、岩松氏、中村氏、堀江氏という支族が派生しています。中でも中村氏は奥州に行き、伊達氏に仕えたとか。これは可能性がありそうです。また、岩松氏はその支族に金井氏がいました。「金井」から「金谷」これもなくはなさそうですね。

さらに調べていくと、金谷氏は新田一族にいました。新田義貞の三代前の政氏の弟に大舘氏という一族がおり、その氏族に金谷氏がいました。大舘氏は群馬県が本拠地でしたので、群馬から福島への移動はそれほど遠くありません。金谷氏は厳密に言えば義貞の子孫ではないのですが、新田一族であることは確かです。

しかし、系譜や家紋など信ぴょう性のある資料がなく、言い伝えで残るのみ。現時点で新田氏末裔かどうか断定はできませんが、もしかしたら実家に帰ったときに探して見ると何か出てくるかもしれません。次の帰省が楽しみです。

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