慈からのミッションインポッシブル

島牧村で2日間行われた、小さな町の小さなマルシェも終わり、
まったりとしていた月曜日の朝メシ前。

「ちょっと海水を採ってきて」
と妻。
何に使うかわからんが、「ペットボトルあったでしょ」とのことだ。
娘もお散歩がてら行くか、と気軽に引き受けた。
お世話になっている島牧ユースホステルのすぐ裏には海があるのだ。

海からの冷たい風。
「だいて」とせがむ娘。
片手には2Lのペットボトル。

波打ち際から少し離れたところに娘を降ろす。
「やだーーーー!」
と泣き叫ぶ。
「ほら、海だよ、海」
「うーみー、いや!や!や!」
娘は抱っこしていてもらいたいようだ。
しかし、彼女を抱いたまま海水を汲むことはできない。

仕方なく泣き叫ぶ娘を置いて、波打ち際へと向かう。
波が少し荒い。
ペットボトルを海へ。
ざっぱーん!
おっとっと、スニーカーが濡れてしまう。
背後で娘は泣いている。
ペットボトルを海へ。
ざっぱーん!
おっとっと、スニーカーが濡れてしまう。
背後で娘はギャン泣き。
ペットボトルを海へ。
ざっぱーん!
おっとっと。
「ぎゃーーーー!だいてぇーーー!!」
ペットボトルを・・・。

・・・・やってられるかーーーー!!

背後で娘が泣いていて、
海に入ったら濡れるスニーカーを履いていて、
波打ち際の浅いところで、口の小さなペットボトルに海水入れれるわけねえだろ!
何も考えずに気軽に引き受けた僕も僕だが、
なんつう無茶なことを人に頼むもんだ。

結局、2Lのペットボトルにおおさじ一杯分の海水を入れて、
「汲んできたぞ」
と苦労話とともに渡してやった。

※この内容は2015/10/19に書いたものです。

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