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空港が好き

この3年ほど、誇張抜きで空港の景色は親の顔より見ている。実家よりも空港に行っている。もはや実家よりも諸々の勝手がわかっているので、実家よりもくつろげる空間かもしれない。

飛行機に乗ることも好きだが、私は搭乗前の空港で過ごす時間も好きなのである。

普通の人であれば、例えば「搭乗時刻の2時間前までにチェックインを済ませてください」と指示があれば、だいたいそれを目安に空港に行くだろう。だが、私はたいてい搭乗時刻の3時間以上前に空港にいて、チェックインができる場合にはさっさと済ませて荷物を預け、身軽に空港をぶらついている。

そんなに早く行って何をしてるのか。せっかく空港というめったに行かない場所に行くのだから、目一杯楽しみたいのである。展望デッキで飛行機を眺めたり、シャトルバスに乗って別のターミナルに行ってみたり、はたまたカフェでこれからの旅程を考えたりもする。空港からすでに旅は始まっている。

あるいは、空港を行き交う人々を眺めるのも好きである。自分と同じようにこれからどこかへ旅立つ人たち。旅行か、仕事か、留学か、これから旅立つ人か、家へ帰る人か。様々な目的をもった人が集まる。緊張した顔、ワクワクした顔、リラックスした顔、その表情は様々だ。

たとえ同じ便とは限らなくても、これから飛行機に乗るという点では同じであるから、なんだか仲間のように思えてくる。心の中で「あなたも良いフライトを」なんて言って見送りながら、私も自分の目的地へ向かう準備をする。

だいたいひとり旅なので、私には見送る人も出迎える人もいないけれど、空港はいつだって温かく送り出し、そして帰りを待ってくれている。


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