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握り返す祈り 12/17の短歌

待機する 期待、緊張
掬い取り 食む
やわらかく震えるプリン

青赤(えすえむ)を
心構えのないままに 
素っ頓狂な声で答える

君が来た すぐにわかった 
前よりも スッと背筋の伸びた顔つき


強張ったまま 渡された かたまりは 
血肉のままの 暖かい紙


縋り付く うさぎの腹の縄の目を
焼き付けるよう 躙る靴底

人波をぬって 冷やかす
君の背のかすかな震え 焼けてる瞳


渡された手書きのメモは 
はらわたで
涙は、獣の涎なのです

赤縄は小指の糸より絆する
逆さの君を絡め取り抱く

貰ってないと 駄々をこねても 
あのひとの小説なんて 呪いなのにな


電車内 いけないものを立って読む
ぬかるんでゆく 指がもつれる


はらわたの温度の涙 紙束へ
同じ温度に 惹かれて落ちる



あのときに 伸ばしてくれた
てのひらの祈る震えに
指を絡めた

言祝ぎと欲のはざまで
君に刺す
どうか、次また、会えますように


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