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巣ごもり中に大量の音楽を聴いて新たに637曲お気に入りが見つかったけど全部紹介してると死ぬので特に「これマジでめっちゃ好き!!」ってなった、とにかくわかりやすくポップでキャッチーなやつだけ20曲選んで紹介する記事

「とにかくシンプルでわかりやすい、めっちゃポップでキャッチーな曲だけをいっぱい聴きたい!!」そんな歪んだ殺人願望を常に抱えているポップミュージックフリークの皆さんこんにちは、リコライスです。

今回ツイッターから半年離れて色々やっていた間にたくさんカッコいい曲が見つかったので「おい!ご主人!お宝があったぞ!」と何か咥えて持ってくる大型犬のマインドで音楽を紹介するやつを久々にやりたいと思います。

■ゲームのルール
・対象は2000年以降のインディポップ全般(なるべく2010年以降)
・BPMは速め~ミドルで印象に残る強いサビ/フックがある
・文脈や前提などを必要とせずに単純にサウンドだけで最高になれる
・流行、ジャンル、玄人筋による評価等、批評的な価値は一切無視

では前置きはこの位にしておいて早速はじめていきましょう。何か一曲でもあなたのプレイリストに新しいお気に入りが見つかれば幸いです。

■Swimming Pool Blues/Miniature Tigers

「はいじゃあ今から最高のやつやりまーす」くらいのノリではじまる軽快な8ビートと陽気なカントリー風ギターに「お?これは?」という期待を抱かずにはいられない最高で最高なサマーポップアンセムです。夏だ!!

兎にも角にも0:36から始まる本当にリゾートプールに飛び込んだかのような清涼感のある鬼キャッチーなサビ、そしてその勢いのまま畳みかける約束された勝利のぶち上がりライン「yeah yeah yeah yeah yeah!!」完璧です。

まずは景気がいい曲を!ということで選んだのですが近年はこの手のサウンドがあんまり流行ってなくて中々「これだ!」という曲が見つからないので似たような曲知ってるよ~!という方がいらっしゃればぜひ教えてください...切にお願いします…夏なので…

記事の最後に載せたプレイリスト内の「Lavender Boombox」という楽曲も無茶苦茶カッコいいので気になった方は是非聴いてみてください!

■Kelly/The Pains Of Being Pure At Heart

バンド名からして淡い青春の波動がすごいThe Pains Of Being Pure At Heartさん。ジブリ映画か?このバンド、名曲が多すぎて1曲に絞るのが大変なのですが個人的に完成度が頂点に達してると思うこの曲"Kelly"を紹介します。

思わず身体が動いてしまうノリの良いモータウン調のシャッフルビートに乗せたロマンティックでキラキラしたメロディが次から次へと溢れてくる魔法のようなイントロから徐々に徐々にテンションが高まっていき0:57から始まる個人的インディポップ史上No1素敵サビである"Kelly tell me all you like~"

「ねぇケリー?あなたが好きなもの全部教えて。たとえそれがゴミとしか思えないようなものでも(※超意訳)」

恋じゃん…恋の一番美しい瞬間を完璧に切り取ったやつじゃん…このラインでときめかなかったら人は一体何でときめくの?のやつじゃん…

メロディの譜割りも楽器のアレンジも言うことなし、すべてが一体となったロマンティックの塊として殴り掛かってくる聴いてる間はこの世界のどこにも存在しなくなれる最高のポップミュージックだと思います。完璧!

この曲が収録されているアルバムはかなりモダンなミックスがされてて非常に聴きやすいのですが1stアルバムのザラっとしたまさにインディといった佇まいのサウンドも最高なのでこのバンドの空気感が気になった人はぜひ聴いてみて下さい。特に"Young Adult Friction""A teenager in love”は絶品です!

■Right Side of My Neck/Faye Webster

ニョワァァァ~ン...という蕩けるような可愛いペダルスティールの浮遊感に対して割とガッツリ低音を出してる太いビートの組み合わせがクセになるアトランタのSSWフェイ・ウェブスターさんの個人的好き曲です。

ペダルスティールみたいに特徴的な音色があって、ジャンルとの紐づけ(ブルーグラスとかハワイアンとか)が強い楽器を使うと逆にイメージが縛られがちなんですけど、彼女はそれを自分のサウンドのシグネチャーとしつつもあくまで書きたい曲に必要なサウンドとして自由に使いこなしてて素晴らしいです。ビートの組み方もあんまりアーティストアーティストしてない良い意味でのラフさがあって個人的には好きです。

フックでの気だるげな声とペダルとエレピが混ざり合う瞬間に一瞬立ち上るメロウネスな溜息感は、ベッドルームポップ好きは勿論、ローファイヒップホップファン、なんならAORファンも「おお…」となること請け合い。キャッチーなトラックですけどサラっと聴けるので、お休みの日の朝とかに聴くと気持ちが良くておすすめです!

■Without You/ALPACA SPORTS

「名曲しか書けない」でおなじみ現代のネオアコ職人最高峰ALPACA SPORTSさんの個人的ベストトラックです。冒頭1分にすべてが詰まっているので、とりあえず1分だけでも聴いてみてください。僕は10秒で泣いちゃいます。

全体的には明るいんだけど同時にどこか過去への未練的な切なさも漂う印象的なイントロから"i can't be without you"のコーラス。思わず「わかるよ…」と言いたくなる恋に破れた情けない男の子の歌です。わかるよ…

とにかく耳に残るキャッチーなメロディが作れる人なのでどうしても音階の方に意識が行きがちですけど、この曲の本体は絶対的な法律として曲を支配してる「ターンタターン、タンタンタタッタ」というリズムです。

これがベタっとしたリズムだったらこの曲たぶん聴けたもんじゃないというか「暗い…かわいそう...w」ってなっちゃうんですけど、聴いての通りリズムがもうウッキウキなのでメロディの切なさがいいアクセントになって奇跡のポップ感を出すのに成功しています。スイカに塩かけると逆に甘くなる理論です。えっちな絵の隣に私服姿が書いてあるとより興奮する理論です。

他の曲でも「ネオアコ」という基本マナーはしっかり踏襲しつつも一部の好事家だけが喜ぶのではなく誰が聴いても「良いね」と思える普遍的なポップミュージックを展開してる素晴らしいミュージシャンだと思います。

過去に別記事でも紹介した"summer days"中毒性の高い歌メロが癖になる"just like them"これまた切なさ全開の"a new boyfriend""I love you"等々この手のサウンドが好きな人だったらよだれが出る名曲だらけなので気になる方はプレイリストに入れてる曲も是非チェックしてみてください!

■Imaginary Hill/Darryl Wezy

イントロが始まった瞬間に世界がパっと華やいで思わず「うわぁ良い!」と声が出たダリル・ウェジーさんによる大傑作サニーデイポップスです。

インドネシア出身のシンガーソングライターということらしく、恥ずかしながら全く知らなかったんですけど、いやぁ良い。まぁ良い。何が良いって正攻法で良いのが良いです。60年代、70年代、90年代、00年代の良質な音楽のエッセンスがこれでもかと散りばめられた上で、どの時代でも勝負できる普遍的な歌ものポップスとして綺麗にまとめられる素晴らしいセンスの持ち主だと思います。これ作った当時22歳ですって。引きますよね。引くのが正しいリアクションだと思います。「天才はいる。悔しいが。」案件です。

どの曲も真正面から正々堂々と殴ってくる超王道のポップソングで正直ぜんぶオススメなんですけど、特にこの曲の爽やかで心地よいメロディは頭一つ抜けてキャッチーなので推し曲です。完璧!

■Wishing Well/Dylan Mondegreen

ノルウェーの天才シンガーソングライター、Dylan Mondegreenさんです。

この曲に関しては悔しいけどあまりにも完成度が高すぎて僕の貧相な感受性と語彙力では言葉にできないです…料亭の美味しいお吸い物を飲んで「味...味が…すごい…」みたいな。

聴いての通りドーン!うぉー!みたいな派手さは皆無なので「良い曲だとは思うけど...言うほどか…?」って思うかもしれないんですけど、妙な話、はじめて聴いたときはまぁ良いねくらいの感想だったのが後日「なんか...あの曲めっちゃ良かった気がする...」つって記憶から攻撃してくるんですよ。

それで気になって聴き直すと「良いな…」つってまた後日「あれめっちゃ良かったな…」つってまた聴き直しての繰り返しで、いつのまにかずっと聴いてる…怖い…!みたいな。実は覚せい剤なのかもしれないですね!!

この曲以外にも"you make it easy""Girl in grass""sunless summer""life as a father"辺りはめったに聴けないレベルの高品質なポップソングだと思うのでぜひ聴いてみてください。こういうのをサラッと消化できる胃が欲しいです

■Work it Out/Knox Hamilton

まるで大型旅客機が徐々に加速して大空に飛び立っていくかのような解放感がある、スケールの大きなイントロから始まる大傑作ホープビートです。

テイクオフを思わせるイントロで大空に一気に駆け上ったと思えば一転、安定飛行に入った機内から眺める穏やかな景色のように胸躍る小気味よい譜割りが癖になるボーカルとアコギの響きが心地よい風通しの良いシンプルな8ビートゾーン、そして再び全楽器隊ぶっぱなしのサビに乗せて歌われる「I know I know」×3からの「I know we can work it out!!」の爽快感たるや!これはもう完全に聴くタイプの海外旅行です!褒めています!

「俺たち色々あったけど何とかなるっしょ!!」という具体性のない前向きな歌詞もサウンドの爽快感と相まって最高。ジョギングするときやドライブ、イマイチやる気が出ない朝なんかに聴くとパワーが出る素敵な曲だと思います。完璧!

■Kimmy/Antarctigo Vespucci

まるで玉置浩二の"田園"みたいなイントロ(暴論)からはじまるAntarctigo Vespucciさんの大傑作パワーポップです。ちなみに玉置浩二の田園は歴史的なJPOPアンセムなので知らない方はぜひ聴きましょう。

0:24辺りからはじまる「when I see you later~」の時点でもう強フックなのでこれを単純に繰り返すだけでも全然カッコいいんですけど0:53辺りからの二回目のフックの後に本サビというかフックの発展形が差し込まれてきて「おお!超カッコいい!」って感動した後に楽器隊による短いフィルを挟んでさらに必殺の歌メロを叩き込むという贅沢山盛り丼みたいな構成にもう「参りました!」といった具合です。ライブで大合唱間違いなし。

曲終わり直前の「Yeah!」っていうシャウトも「仮にダメと言われててもこの流れなら叫んじゃうよね」という可愛げがあって微笑ましいです。完璧!

この曲以外にもイントロから終わりまでずっと強パンチで殴り続ける”Freakin' U Out”(多分この曲の方が世間的には人気がある)や一撃必殺のフックを持つキラキラしたドリーミンパンクアンセム"I Drew You Once In Art Class“などカッコ良い曲がたくさんあるので気になった方はプレイリスト覗いてみてください!

■ためいきの銀河/Terry&Francisco

「なんか曲名がいい曲っぽい」くらいの軽い気持ちで聴いて、しばらく動けなくなったくらい個人的には日本語ポップスの歴史博物館があったら当たり前に収蔵されてしかるべきレベルの大傑作だと思います。

言うまでもなく大滝詠一であり山下達郎であり数多いるシティポップ/ウエストコーストサウンドの信奉者だと思うんですけど、完成度がエグ過ぎます。

慎ましくも印象的なエレピからはじまるグルーヴィなミドルテンポに彩を添える気の利いたギター、まるで一冊の恋愛小説のように叙情的な歌詞を丁寧に歌い上げていく伸びやかで艶のあるボーカルと歩調を合わせ徐々に徐々に高揚していく演奏、そして恐らくどの世代の人間が聴いても「素敵...」となるであろう皆が共通して心に持っている存在しない架空の原風景をめった刺しにしてくる浪漫と多幸感で満たされた強烈に強いサビ…いやぁもう...ゆら帝の"空洞です"とぶつけて対消滅させたい...完璧です。

2:58~「夜をつづれ織り、恋に落ちてゆく、ねぇ明日もまた会えるかい?」のくだりなんかもう...もうね…

ちなみにyoutubeに上げられているのはショート版なのでいいじゃんと思った方は是非フル版を聴いてみてください。本当に一生ものの曲だと思います

■だいよげん/ころん

お?急にどうした?と思われるかもしれませんがVtuberさんのキャラクターソングでもギャルサーの流行歌でも家電が発するノイズでも動物の鳴き声でも音が良ければ全部優れたポップミュージックなのです。文脈は文脈。音は音。俺たちは情報を食べてるんじゃない...ラーメンを食べてるんだ...

現代人を茶目っ気たっぷりに皮肉っていく言及対象がAメロ→Bメロ→サビと進行するにつれて社会全般→人の生活→魂の領域へと潜っていく構造がとても巧みで、サウンドもそれにつれてリッチになっていく作りが面白いです。

皮肉とは言いましたがサビの歌詞は当人もそう思っていなければ出てこない言葉でもあると思うので実は自白めいた祈りなのかもしれません。

何よりそのサビの作りがめちゃくちゃ良くて"関係なーい 関係なーい"の掛け合いを支えるアルペジオのさじ加減が絶妙。言うなれば「麺にソースがよく絡んだ美味しいパスタ」的な職人の味。この部分シューゲイザー的なギターで色を濃くしたりドリームポップっぽいシンセで音像を広げたり「わかりやすい足し算」で行くのも全然ありだと思うんですけど、ベースのパターン変化とシンプルなアルペジオを配置するだけで素材の旨味を完全に引き出してるのが地味だけどとても理性的で素敵な判断だと思います。完璧!

余談ですが3:30の"後悔ない人生"の「じ」で一瞬だけ感情がグッと入って聴こえる所も個人的な泣きポイントです。

■ここまでで10曲なので小休止しましょう

お花をプレゼントしてくれるナマケモノの赤ちゃんでも見ながら耳を休めて下さい。可愛い…可愛い過ぎる…これはもう完全にポップミュージックだ…

ここまでの10曲で1曲でもあなたのお気に入りが増えていたら幸いですが、いかがでしょう?無いとしたら連絡下さい。暴力を振るいにいきます。
では後半戦スタート~!

■Loosie/Tribe Friday 

別記事で2019年リリースの”sixteen minutes”という曲を紹介したのですが当時はいかにもガレージリヴァイバルの延長線上のインディポップ的な佇まいで「キャッチーな曲を書く能力は申し分ないので後はどうやって似たようなバンドだらけの状況から頭一つ抜け出すか」的なことを書いたんですけど去年リリースのこの曲を聴いてたまげました。そうきたか~!!

ドラムをドコドコやりながらギターをポローンって弾くのを聴いて「好きだけどまぁ…」なんて思ってたんですけど0:31からのサビで仰天。エモい!!ネットミームのエモいではなくジャンルとしてのエモ!!ていうかもう半分アニソン!!いやぁこれは良い!化けましたね!夏休み明けの高校生か!?

ロボットアニメのオープニング的な疾走感と厨二感あふれる”カッコいい”メロディ...こういうので良いんスよ…と思わず本人たちのツイッターを見に行ったらプロフィールに「swedish bubblegum emo」って書いてありました。スウェディッシュ・バブルガム・エモ。何だかわからないけど良いね!自ら名乗っていくの超大事!僕もjapanese bubblegum ero を名乗ります。

元々すごく期待していた若手バンドだったのですが、このキャラ変によってさらに気になる存在になりました。現在絶賛ブレイク中のblack midiみたいに音楽的な偏差値高めのバンドも大好きですが、一方でこういうキッズ大歓喜!みたいなわかりやすいバンドがちゃんと売れることも大切だと思うので陰ながら引き続き応援していこうと思います。

■RADIO PUNK/BAD NERVES

リリース直後くらいに一度ツイッターで「これ好き」って騒いだ記憶があるんですけど当時は「まぁよく出来たポップパンクだな」くらいの温度感だったんですけど久しぶりに聴いたら何かこの曲には謎の魔力があるぞ、と。

ポップパンクって一般的にはサビが来てドーン!大きい音が鳴った!一番美味しいメロディが鳴った!カッコいい!っていうシーケンスの進行に沿った強弱の起伏で楽しむタイプの音楽だと思ってるんですけど

この曲は何と言えばいいか聴いてる内にサーキットを周回してるレースみたいな大きい循環による「あれ?今何周目だっけ?まぁいっか?気持ち良いし」っていうある種のトランス感というか周回と加速を繰り返してる内に速度に麻痺してきて壁にぶつかって死ぬ直前のふわふわした感じになるのが醍醐味に思えてきて。この曲30分くらいリピートしてるとマジで何やってるかわかんなくなってくる謎のパワーがあるんですよ。何言ってるのか分からない方は試しに30分くらいリピートしてみて下さい。30分時間が過ぎます。

まぁそんな個人的な感覚はさておき今日日なかなかお目にかかれない160キロど直球の潔い8ビートのキレも最高ですし低域をがっつりカットしたボーカルとコーラスと楽器隊が同時にアクセルを踏み込んだ瞬間の「来た来た来たぁ!!」というドライブ感は言うまでもなく最高なので最高です。完璧!

■We're Gonna Save the Summer/The Pearlfishers

音楽の話をするときの定型表現として"エヴァーグリーン"という言葉がありまして、正確な定義は知らないんですけどイメージとしては”永遠に色褪せないどの時代に聴いても素晴らしい”的な、ジャンルとしてはブライアン・ウィルソンの遺伝子を持ったソフトロック方面で多用される言葉があるんですけど、僕も含めてその手のジャンルが好きな人々みんなエヴァーグリーン好き過ぎて発信する側もとりあえずエヴァーグリーンって言っておけば「なるほど、エヴァーグリーン。了解!」みたいになっててもう何が一体エヴァーグリーンなのかわからんくなってるので、あんまりエヴァーグリーンって言いたくないんですけど、文句なしにエヴァーグリーンな超絶大名曲です!!

ブライアン・ウィルソン、ポール・マッカートニー、トッド・ラングレン、バート・バカラックetc...と挙げたらキリがないポップミュージックの巨匠達の一子相伝の秘術みたいなものを全部ひとりで継承しました!!みたいな異常なクオリティーの作品を時代の空気感とかセールスとか自身の年齢とかガン無視でひたすら作り続けてるデヴィッド・スコットさん初期のアルバムの中でもとびきりキャッチーなこの曲で夏を守っていきたいと思います。

オススメは?と聞かれると本当に「全部のアルバムの全部の曲」という回答になるのですが、強いて言うならシンプルでわかりやすい曲が多い"Young Picnickers"個人的には"Open Up Your Colouring Book"というアルバムがオススメです。一生聴き続ける人生のトラックリスト入りのアルバムです。

■I Know You're Wrong/Another Michael 

個人的2021年上半期ベストアルバム、個人的MVのユーモアレベルが高すぎてわからない大賞、個人的ボーカルの声が好き大賞など今年上半期かなり気になった存在のAnother Michaelさん会心のアコースティックポップです

90年代のミスチルか!?と思わず突っ込んでしまったダイナミックなイントロ一発で持っていかれました。アコースティック主体なんですけど自然にサラっと弾き語るんじゃなくてちゃんと形がはっきりした編曲がなされているので、僕のような子供舌でも食べやすいのがありがたいです。

なんと言ってもボーカルの透き通った瑞々しい声が圧倒的に素晴らしくそれを最大限引き出すような楽曲の展開も聴きごたえ十分、世の中のトレンド一切関係ない地平で自由に鳴らされる純粋無垢なポップミュージックとして時節を問わず、ずっと聴き続けられていく傑作だと思います。完璧!

この他にも美しい音に美しい音を重ねるとクソ美しくなるということがわかる"New Music"一番ポップで普遍的な魅力に溢れる"Big Pop"など良曲がたくさんありますので是非聴いてみてください!

それにしてもMVで遊んでるゲーム(?)滅茶苦茶つまらなさそうで興奮します

■Some Faith/Hello Forever 

聴いた瞬間に今が西暦何年なのか一瞬でわからなくなるマジカルでタイムレスで眩暈がするほどカラフルなサイケデリックハーモニーポップです

ビートルズやビーチボーイズは言うまでもなく西海岸のジャズやらパンクやらソウルやら何やら過去の偉大な先人達の膨大な遺産を極めて現代的な視点とセンスで再構成した一言でいうと異常な量のスパイスを煮込んだ異常に旨いカレーみたいな音楽です。これだけスパイスをぶち込んでちゃんとカレーの味になってるのがすごい。失敗すると漢方薬みたいな味になるんですよ。

この短い一曲の中ですら「あ、あの味」「あ、今度はあの味」と目まぐるしく色んな味が駆け巡るんですけどアルバムを通して聴くとまぁアメリカという国が持つ音楽的資源の豊かさ奥深さにクラクラします。音楽に精通してる人が聴いたらノイローゼになるんじゃないかと思うのであんまり詳しくなくてよかったです。MVのサイケ感もまさにといった具合で最高です。完璧!

■Some Days I'm Golden All Night/Josh Rouse

まったく知らなかったのですがイントロの軽快なギターに乗せた優しい弾き語りに「おっ?良さげでは?」となりウッドベースやヴィブラフォンのフォーキーだけど土臭過ぎないポップな音が差し込まれていく展開に「いいじゃん、いいじゃん」となり1:00~からのドラムとストリングス投入でもうメロメロ。めでたく「めっちゃ好きリスト」送りに至った次第です。

フォーキーなアコースティックサウンド自体はとても好きなのですが、なにぶん子供舌なのであんまり本格的なアメリカーナとか土着的な濃いブルースをやられると「ちょっとまだ僕には味の深みがわからないので、もうちょっと味の素とかウェイパーとか入れてもらっていいスか…?」ってなっちゃうんですけどこの曲はまさに好みというか、聴いてて楽しい気持ちになるカバンに入れて持ち歩きたいタイプの大好きなポップミュージックです。

■The Best Jewel Thief in the World/Prefab Sprout

音楽情報のインプットに偏りがある人間なので聴いた瞬間に「え?プリファブって2000年以降もアルバム出してたの!?」つって思わず叫びました。知らなかった…すみません…生き方が…適当なので…

Prefab Sproutというバンドについて軽く触れると、ファンの耳元で「プリファブ...」って囁くと軽く勃起するくらい好きな人は強烈に好きな80年代UKロックのある意味では裏番長的な(?)バンドで、とにかくポップなメロディ書かせたら右に出る者はいない最高のバンド...だけど日本ではスミスやスタカンに比べると知名度はちょっとだけ低い的な。The1975辺りが好きな人はもう絶対好きです。メンバーはもうパディ・マクアルーン一人らしいですがリリース当時56歳でこのサウンドですよ!還暦間近でキラキラしたポップソングを作ろうという気概がもう凄い!魂は老けない。素晴らしいです。

そりゃ黄金期のバンドサウンドと比べたらあれですけど、聴いての通りイントロから全開で繰り出される独特の切ないけど爽やかな和声感や高揚感、耳に残るキャッチーなメロディは間違いなくパディ・マクアルーンそのもの。身体に気を付けていつまでも素敵な作品を作り続けてほしいものです。

「そんなに凄いバンドか…?」と思った方は騙されたと思って"Bonny"という曲のイントロ30秒聴いてみて下さい。ここまで読んでる人なら絶対好きです

■Air Supply/Sweet Trip

先日、ネットラジオを流しながらお昼寝してたら宇宙大爆発みたいな衝撃的な音が流れてきて「何だ!?テロか!?」つってパニックに陥ったんですけどそれが下の曲"Tiny Houses"なんですけど(本当に宇宙大爆発なので聴いて)

宇宙大爆発からの、ドリームポップあり、グリッチポップあり、ハイパーポップあり、シューゲイズありのとにかく展開と情報量が多い狂った幕の内弁当みたいな曲で「すげぇな…」となったのですが、よく聞けば歌メロ自体は極めてスウィートというかめっちゃセンスの良い良質なポップスでして「このメロディだけを全面に打ち出したシンプルなやつないかな~」と思って過去の音源探してたら見つけたのがこの"Air Supply"という曲

物憂げな雰囲気のアルペジエーターの音色が印象的なイントロからグシャっと潰した初期マイブラ風味のギターが重なり既に名曲の気配。イントロ開けて透明感のある女性ボーカルが歌い始めた瞬間もう確信「めっちゃ良い…」あの宇宙大爆発がなければこんな名曲に出会えなかったと思うと良い音楽との出会いは本当に一期一会なのだなと…ありがとう宇宙大爆発…

調べたところ、以前から一部の音楽マニアの間ではかなり高評価されていたのがサブスク上で再評価の流れが生まれて近年また盛り上がってきてるらしいです。こうやって埋もれていた才能が日の目を見る流れは素晴らしいですね。ネットの本当に数少ないポジティブな機能だと思います。

■Post Humorous/Gus Dapperton

Z世代のポップアイコン的な取り上げ方をされることが多いので何となく「not for meなんだろうな...」とスルーしてしまう方もいると思うんですけど、世代とか関係なくこの曲マジでめっっっちゃ良いっス。

とにかくMVの1:34からはじまる”But as a, a reminder Ready when you find her/I repress the iridescence of a fire~"の歌メロが持つノスタルジックかつ遊び歌っぽいフローの気持ち良さがとても中毒性高くてlightspeed championとか初期Phoenixの楽曲が持っていた鬱病一歩手前のメッチャお洒落なイケメンの独り言みたいな雰囲気に弱い僕は一時期この部分だけ永久にリピートしてました。この手のメロディには「いーけないんだーいけないんだーせーんせーいにーいってやろー」的な日本人の琴線に触れる何かがあります。

音の分離感や後半の歌メロとユニゾンするピアノ単音フレーズの連打とか急にぐわっとシャウトする感じとかはトラップ以降の感性といった具合で、新旧のポップミュージック良いとこ取りでとても素晴らしい作品だと思います

■One That Suits Me/Hop Along

この曲に関してはスタジオレコーディングの音源も素晴らしいんですけど、ライブでの演奏が超絶に良いので是非こちらを見て頂きたいです。

ボーカルのFrances Quinlanさんの、さっきまで愛くるしい甘い声で歌ってたと思ったら急に「獣だ...殺される…」と戦慄してしまうスリリングな声になった…と思ったら今度は少年のような人懐っこさを見せてきたり、とコロコロとまるで猫のように表情を変える歌声は唯一無二というか半分麻薬です。

例えば、0:57~サビ前のパートで楽器隊が引いて静かになる展開では、まるで子守歌を歌うかのように穏やかで優しい歌声ですが、1:22~”one that suits me”と喉の奥から血反吐を吐く勢いで振り絞る声の鮮烈さは長く慣れ親しんでいるはずのギタリストが「こいつマジか…」みたいな驚きの表情で思わず彼女に目を向けてしまう姿でも伝わると思います。

楽曲がドライブしていく二番以降はもう圧巻で、3:14~の"one that suits me"を繰り返す声の圧倒的な切実さに心臓を鷲掴みにされるような感覚に陥ります。そして次がこのバンドの本当に恐ろしいところなんですけど、その直後に今までタイトな演奏で彼女を支えてきた楽器隊が一気に前に出てくるんですよ。

そう、このバンドはボーカルだけじゃないんです!ピザが好きそうなただの気のいい兄ちゃん達じゃないんです!彼女のむき出しの熱量を憑依させたかのような激アツの楽器隊パートにもうテンションは最高潮です。普段ギターソロめちゃくちゃ嫌い(殆どにおいて意味がないので)なんですけど、このパートには必然が感じられるし極めて有機的に機能していると思います。

そして誰かの旅立ちを見送るかのような優しい歌声の短いCパートを挟んで以降2分弱の激エモ楽器隊タイム。このボーカルと楽器隊の緊張感と信頼と権利と責任が平等に同居する関係性こそがこのバンドの魅力なんスよ… 5:22~完全にトランス状態に入ってるメンバーを見ながらリラックスモードでギターを弾いてる彼女の満面の笑顔を見て...ついさっきまであんな切実な声でシャウトしてメンバーに二度見されてた人が「馬鹿だねぇ」みたいな優しい顔で笑ってるの。この極めてフェアであり健康的な光景こそ我々の社会であってほしい、なんてことを思いませんか?…思いませんか...はい…わかりました…One That Suits Me~!!

■まとめ&他のオススメ曲も含めたプレイリスト

というわけで以上、とにかくポップだと思う20曲でした。
一部冒頭のルールから外れてる曲もありますがまぁご愛敬ということで。

まだまだ紹介したいミラクルなポップミュージックが山ほどあるのですが一度に1000曲やると、どれだけ趣味が合ったとしても多分「この人バカなのかな...?」ってげんなりすると思うので厳選して常識の範疇に収めました。ここまで読んでくれてる人なら「何かポップで良い曲ないかな~」なんて気分の時にでも、ザーっと漁ってみると何かお宝が見つかるかもしれません。なかったら一緒に笑いましょう。

ではではクソ長い記事になりましたがご覧頂きありがとうございました~!またね~


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