デジタルデータの整理術を考える
デジタルデータ整理術!このテーマ、ずーっと前から書きたいと思ってはいるんですけども、対象範囲が広すぎてなかなかテーマを絞りきれずにいます。というのもデジタルっていまや仕事だけじゃなくって、わたしたちの身の回りに溢れていて、それでいて「扱いに不慣れ」。だから仕事術とかそういうことではなくって、もっと広く一般的な理解を目的としてまとめられないか考えています。
お片付けの仕方
ほとんどの人はリアルの世界で「お片付け」や「お掃除」を学んで(ときにはお母さんに叱られてw)育ちますよね。でも、いま日々触れているデジタルの世界では、若手はもちろん中堅の社会人ですら、それがどのように整理されるべきかを教えてもらったことがないのではないかと思います。そのことが、わたし10年ほど前からめちゃくちゃ気になっておりまして。。。
デスクトップがアイコンだらけの人。共有フォルダをゴミ溜めのように扱う人、「こないだの資料」が、いつも迷子になってしてしまう人。。。いません?
これ、でも、、、考えてみれば、誰も教わってないんだから仕方ないんですよね。
データ整理の基本は「整頓しない/できない」
わたしの個人的な見解になっちゃうんですけども、デジタルデータは基本的に整頓してはいけない(整頓できない)という前提に立つのが非常に大事だと思います。
昔はよくわたしも好きなページのURLなんかをブックマークして、それをカテゴリ毎に分類整理してたりしたんです。ところが、好きなページは日に日に増えていき、似たようなサイトが増え、カテゴリまたぎが発生し、カテゴリ重複が発生し、、、で、いざ必要になったら、結局Googleで検索して済ませてしまう。みたいなことが起こります。
デジタルデータというのは日々無尽蔵に増殖していて、そのボリュームはわたしたち人間の認知できる許容を大幅に凌駕しています。整理っていうのはわたしたちの脳みそが把握できる範囲でのみ可能な行為。。。なんですね。12カテゴリくらいだったら管理できるけど、576カテゴリあったら、それってもう管理っていわないよね?みたいな世界w
データは消さずに「残す」のが基本
少し本題からそれますが、このような膨大なデジタルの世界にも良いところはあります。データがどれだけ増殖しても物理的には困りません。(厳密にはハードディスクの容量の壁はありますが)紙のファイルと違って、10万個のファイルをコピーしたらといってパソコンの重量が10Kg重くなったとか、サイズが10cm大きくなった!みたいなことは起こりませんwww
ですから、デジタルの世界では基本的に容量がゆるす限り、あらゆるデータを残しておきます。議事録や資料だけでなく、やりかけの作業ファイル、データの処理ログなどなど。完成したらその過程でできた作業ファイルを消すなんてこともしません。それを残して置くことで、問題があったときにその手順を辿れる可能性があるからです。無理に消さずに残しておく。その方が安全なのです。
つまり現実世界では、整理の一環は「捨てる」ことだと思いますが、デジタルの世界では消さずに「残す」ことのメリットが大きい。デジタルの世界では、現実世界と真逆に「整頓しない」「捨てない」が原則になります。この感覚の違いが、デジタル整理を難しくしている一端にあると思います。
「アーカイブ」を意識する
さて、いよいよ本題です。これ新人のころに言われたことなんですけども、わたしがせっせとファイル整理をしているのを見て先輩が一言。
「結局さ、記憶に一番残りやすいのって時間なんだよね」
これ、どういうことか、いっしょに想像してみてください。先日の会議で顧客からもらった説明資料を探しているとします。
あれ?あの資料って「議事録」フォルダに入れたっけ?それとも「資料」フォルダだっけ?はたまた「受領ファイル」フォルダだったっけ?っていう探し方と。
こないだ業務の説明資料もらったのって、「いつ」ごろだったっけ?まだ肌寒さが残っていたから「春先」じゃなかった?あのときはまだ「戦略会議」の前だったっけ?あのあと「花見」の話題になったよね?っていう探し方。
これをそれぞれファイル構成にした場合の違いを絵にしてみました。
どうでしょう?一見するとフォルダー分けされた「イメージ①」の方がきれいに整頓されていて、ファイルが探しやすいように思えます。ところが実際にやってみると結局すべてのフォルダを開いて行ったり来たり、フォルダの中にも大量のファイルで埋まっていて、更に階層構造になっていたりするともう掘り起こすのは至難の業だったりします。
ところが、時系列にならんでいる「イメージ②」のファイル構成ならどうでしょう?花見ってことは4月前後で、さらに春の戦略会議の前、、、ってことは、あーこの鈴木さんからもらった資料かな?と、推測が立ちます。
増えすぎた分類から探すよりも、時期や季節感、そしてそれらが起こった時系列の記憶をたどるほうがはるかに簡単ではないですか?先輩が言うには中途半端にカテゴリ分けするくらいなら、何も考えずに日付順にひとつのフォルダに放り込んでおくほうが人間の記憶の持ち方に近いんだよ、ということです。これわたし的にかなり衝撃的な一言だったww
当時はこのような管理ってあまりされていなかったのですが、最近では「アーカイブ」と言った呼ばれ方をしたりします。身近なところだとGmailにもありますね。実際にやってみると、本当に放り込んでおくだけw むしろ、リアルの片付けなんかよりよっぽど楽なんです!デスクトップをアイコンだらけにしておく理由もないし、むしろ大量のカテゴリを整理するよりもファイルは見つけやすくなります。
ファイル名のルールを決めておく
ちょっと補足しますが、ぱっと見て何の資料かわかるようにファイル名をしっかり命名する(場合によってはファイル名の命名ルールを作っておく)のが肝になります。
ファイルの並び順が整うように、ファイル名の先頭に8桁の日付、そしてぱっとみて中身が何かわかるような名前をつけておくのがオススメです。
デスクトップにアイコンを散在させておくくらいなら、ファイル名に日付をつけてアーカイブフォルダにそのまま放り込んで置けばよいのです!!これでデスクトップの作業スペースも確保できるし、先週作ってた資料どこにいったっけ?なんて探す手間もだいぶ短縮できると思います。
「アーカイブ」と「カテゴライズ」で管理する
何でもかんでも時系列でぶち込んでおけばいいと言うことでもありませんが、わたしの経験上ほとんどのファイルは時系列でアーカイブしておく方だけで相当マシなファイル整理ができるのは確かだと思います。
とは言え、よく使う「お決まりの資料」とか、頻度は低いけど「必ず必要になる書類」が確定している場合はカテゴリ分けされたフォルダで管理するのが良いです。例えば、毎回みんなで更新しなければならない課題管理表だとか、年度末に必ず必要になる確定申告関連の書類だとか、契約関連のドキュメントなんかも同様ですね。こう言ったものは瞬時にどこに格納されているか誰がみてもわかるように、限定的なカテゴリ構成にしておくべきでしょう。
誰がみても直感的にわかる、というのが重要です。判断に迷うような汎用的なカテゴリ構成は避けるべきです。これがあいまいだと結局カテゴリ跨ぎ(どこに保存したかわからない)が起きます。また、お決まりだからといって、カテゴリ数が増大していったらこれも本末転倒です。数も5〜10程度のカテゴリに抑えて、誰が見ても直感的に間違いようのないカテゴリを作成するのがコツです。
つまり、デジタル整理術というのは、全体の業務内容や、個人であればあなた自身の生活を俯瞰した上で何を「カテゴライズ(分類する)」し、何を「アーカイブ(分類しない)」するのかを明確にすることだと思います。
契約関連(カテゴリ)
全体概要(カテゴリ)
課題管理表(カテゴリ)
その他資料(アーカイブ)
作業メモ(アーカイブ)
例えば、こんな具合です。プロジェクトの規模やファイルの管理方法。個人のデータなのか、メンバーみんなで管理する共有スペースなのか、会社単位で機密情報が分離される必要はないか、データの最大容量はあるのか、などによってこの構成は変わってくるでしょう。
アーカイブフォルダは「ひとつ」が理想だと思いますが、場合によってはアーカイブフォルダ自体を状況に応じて分けてもいいかもしれません。
デジタルのお片付け
おさらいしますが、物理的なお片付けは「整頓して」いらないものは「捨てる」が基本だと思いますが、デジタルの世界では往々にして逆の事が起こります。データは「整頓しない/できない」そして「捨てない」という前提に立つことがとても大切です。
具体的には、「お決まり」のデータはカテゴリファイルに選り分けること。← 言っても、これはそんなに多くないはず。
「その他」の大量のファイルは、分類したり削除するべきかを判断するだけ無駄なので、日付をつけてアーカイブする(書庫に放り込んでおけば良い)ということです。大事なのは日付で追えることと、ファイルを開かずとも中身がわかるような名前をつけることだけ。
削除ルールを決めておく
ファイルを削除しないと書きましたが、削除ルールを決めておくのは意外と大事です。特にチームで共有フォルダを管理するような場合、大抵フォルダ内は必要なのか不要なのかわからないファイルで溢れます。
これも、もちろん残しといてもいいんですけど、やってみるとわかると思いますが、そもそも時系列と関係ない命名ルールであったり、中身が何かわからない「ああああ.txt」ファイルだったり。明らかにファイルの受け渡しのためだけに暫定的にトップ階層に置きっぱなしになってるやつだったり。。。結局、適切にアーカイブされていないデータは残しておいたところでゴミにしかならないわけです。。。
わたしはチームで共有フォルダを管理していたときは、このカテゴライズにもアーカイブにも当てはまらない「ゴミファイル」は、問答無用で強制削除する(実際には30日ほど猶予を設けていたけど)ということをチームで共有してました。
それに加えて、ネットドライブなどを使うと、容量によって課金されたりするので、潤沢な資金があるのであれば課金していただけばよいのですが、大抵どこかのタイミングで不要ファイルの消し込みを迫られることになります。この時、すごく大雑把な感想で言えば消してはいけないファイルってのは大抵決まってる(カテゴライズされている)ことが多い。逆にアーカイブされたファイルっていうのはメモであったり暫定的に準備された資料であったりすることが多い。
そこで、カテゴライズされたファイルは残す必要のあるもの。アーカイブされたものは状況に応じて例えば3年経ったら古いものから順に削除する、といったルールはとても有効だと思います。日付順に並んでいるので時系列でのファイル削除でよければファイルの中身をわざわざ確認する必要もなく、一発の作業で完了します。
このようにカテゴライズ、アーカイブの構成を考える時に、ファイルの削除ルールを念頭に置いておくと更にもう一歩進んだデジタル管理ができるようになるでしょう。
あとがき
さて、どうだったでしょう。対象者がエンジニアなのか一般の学生なのか、管理職の社会人なのかによって、具体的な構成はだいぶ変わってくるという前提にはなりますが、デジタル整理の考え方について一考いただける機会になったら光栄です。
最後に、わたしが使っている/使っていたツールを紹介して終わります。ファイルをまとめてアイコン上にドラッグ&ドロップすると、ファイル名の先頭に8桁の今日の日付をつけてくれます。
1日の最後にデスクトップに溜まったファイルをまとめて日付付与して、適切なフォルダにアーカイブして(放り込んで)しまいましょう!
Windows
わたしが実際に自作して数年前まで使っていたもの。Windows上で動くシンプルなスクリプトです。最近はMacで仕事をする機会が増えてしまったので使っておらず最新のOSで動くのかよくわからない。。。あと、海外言語版のOSだと環境によっては文字コードの関係で動かないかもしれないです。もし動かなかったらスミマセン。
zipファイルを解凍して、archieve.swf をいうファイルをデスクトップなどに配置してください。このアイコンにファイルをドラッグすると先頭に日付が入ります。
直接ダウンロード(zipファイル)
Mac
Macの場合は、標準アプリでAutomatorというパソコン操作の自動化ツールがあります。
以下の設定内容を参考にAutomatorを作ってみてください。できあがったアイコンにファイルをドラッグ&ドロップすると、ファイル名の先頭に8桁の今日の日付が入ります。
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