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白の世界

もし、世界に色が「白」しかなかったら。。。色は存在できるだろうか?

想像してみてほしい。

もし見渡す限りの世界が白一色であったなら、目の前にある机はどう見えるだろう?白一色というのはとっても奇妙な世界だ。絵描きならわかると思うけど、同色の物体を描くときには影が必要だ。机の表面をまずは白で塗り、そして、机の側面に薄い影を塗る。そうすることで立体感が生まれ机が浮かび上がってくる。ところが、もし白一色しかなかったとしたら、影すらも白くなる。昼であれ夜であれ、目を開けていようと閉じていようとも、目の前にある机は白一色だ。

すると、そこには机があるのだけれど、視覚的に机があることを認識できない。

白しか存在しない(=白しかみえない)ということは、何も見えないことと変わらない。盲目であることと変わらない。そこには白があることが見えているけれど、それが白だということすらわからないのだから。白しかない世界ではそもそも物体を視覚として認識することができない。

色という概念が消えてしまう。

つまり、白が白であるためには、そこに「白でないもの」が必ず必要になる。何色でも構わない。そこに1滴の赤いシミが存在しさえすれば、初めて「色」という概念が生まれる。

色だけに限らない。

人間は「それそのもの」では、それそのものを認識することができない。白と黒、光と影、幸せと不幸せ、正義と悪、戦争と平和。。。

わたしはわたしのみでは、わたしであることができない。わたしはあなたがいて初めてわたしの存在を知覚できる。

実存はそれそのものでは存在を認識できない。

わたしたちの認知できる事物には相対がある。世界はどこまでも二元的な相対の連なりなのだ。

だから、そこにある一元性を得たとたんわたしという自己は消えてしまう。ひとつであるということは、その全体性のなかに無になってしまう。



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