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脱会のステップ【第1章③相談できる場所】

宗教を辞めたいけれども辞められない人に贈るシリーズ。

私自身のエホバの証人という宗教団体での経験を元に、
どのようにして教団を辞めていくか
という手順を解説しております。


ある程度、自分の置かれている状況を冷静に分析し、
経済的な状況を立て直すための対策を講じることができたのであれば、
次のステップに移りましょう。


次にすべきことは、
「この状況を相談できる人や場所を見つける」
ということです。


もちろん、前回までの記事が書いている経済面での安定と同時進行でも構いません。

以下、具体的に説明していきます。


閉鎖されたコミュニティの危険性


私の所属していたエホバの証人では、
「信者ではない人との交友に注意せよ」
という教えがありました。

神エホバを愛していない人と不必要に関わることで、
悪い影響を受けるというわけです。

故にエホバの証人で会社に勤めている人は
仕事の飲み会などに参加するということはあまりありませんし、
あったとしても、その機会を通して、
職場の人と仲良くなっておき、
宣教するための機会を探るためという思惑があることが多いです。

なので、職場の同僚から「飲みに行かない?」と言われても、
行かない信者の方が多いでしょう。

(まあ、実際のところ、飲みにいくためのお金がない、という理由だったりするんですけどね。。)

念の為ですが、真面目にエホバの証人をやっている人にとっては、
これは大した問題ではありません。

なぜなら、一般の人とあまり親しくしてはいけないという指示の前に、
そもそも信者同士での交わりが楽しいので、一般の人とそこまで
親密になりたくないと思っている
ためです。


これ、けっこう大事です。

なんだか、そもそもの話になってしまうのですが、
組織から出される方針や指示の大部分は、
このコミュニティでそこそこ楽しい生活を送っている人に対しては、
あまり辛くないと言いますか、受け入れ可能なものなんです。

確かに、信者サイドから見ても不思議な?納得できない指示みたいなことが
出されることはあります。
しかし、ある程度その土地に親しみ、コミュニティに居心地の良さを感じている人にとっては、それを投げ捨ててまで自分の信念に従おうという人はほとんどいないに等しいといっていいでしょう。


ゆえに、
あなたが今、組織に対して疑問を抱いており、
それが原因で、今の仲間を離れてでも、あるいは配偶者と別れることになったとしても、そうすべきなのかもしれないと思うのであれば、
すでにあなたの進むべき道は決まっているのかもしれません。

このコミュニティを切り捨てることを検討している時点で、
あなたにとって大事なのは、そこに所属することではなく、
自分の信念だったり、仕事だったり、自由だったり、
別のものだからです。


その場合、
できるだけ早い段階で、教団外部の人と定期的に関わる場所を見つけましょう。

自分の本音を誰にも言えないという状況は想像以上にストレスがかかります。

私自身も感じたことですが、
たった一人で世界を敵に回しているような感覚に襲われます。

周りの人が全て教団関係者であり、
それ以外の人との交流がほとんど断たれているためです。

エホバの証人の日常生活は、信者同士との関わりで完結し、
それが繰り返されることによって、
気づけば親しく関わる外部の人が全くいなくなってしまうことになるのです。

とりわけ、
宗教2世と呼ばれる、生まれながらにして教団のコミュニティで育った人にとっては、その閉鎖性たるや想像を絶するものがあります。

たまに、エホバの証人をカルトだと言う方がいますが、
おそらくこのような閉鎖的コミュニティであるということがその理由の一つでしょう。


第三者視点を獲得せよ


なぜ、教団関係者以外に相談しなければならないのか、
言うまでもない気もしますが、
冷静に自分の陥っている状況を見てもらえるということが非常に大切だからです。


日々、教団の教えに触れる環境にいると、
自然とその教えに染まっていきます。

これはどんなに抵抗しても避けられません。

なので、あなたもおそらく、自分の思っている以上に教団の教えにどっぷりと浸かっています。

だからこそ、今のあなたの状況を冷静に分析し、伝えてくれる第三者の存在が欠かせません。

では、どういった人がその第三者たりえるのか。
順番に挙げていきます。

1、職場の同僚

あなたが、現在一般の会社で働いているのであれば、
まずは職場の人と仲良くなってください。

あるいは、仕事をがんばってください。
あなたの頑張りが認められ、交友の輪が広がっていきます。

その中で、この人なら話しても大丈夫かもしれない
と信頼できる人がいれば、
関係性を築いた上で打ち明けてみてください。
きっと親身になって相談に乗ってくれるはずです。


2、未信者の家族・親戚

家族の中で、まだ信者になっていない人がいるのであれば、
その人に勇気を出して打ち明けてみるのはおすすめです。

もしかすると、信者になる時に反対された家族に
そんなことを相談するなんて、恥ずかしいし、
なんか自分の負けを認めるようで悔しいと思うかもしれませんし、
あるいは、ある種の罪悪感を感じたりするかもしれません。

しかし、大丈夫です。

未信者の家族は、あなたがそうやって
自分の意思で戻ってくることを待っている可能性が高いからです。

宗教にハマった人を力ずくで戻すことが難しいというのは、
もはや周知の事実になりつつあります。
だから、未信者の側にできることは、
いつでも帰って来れるような場所、体勢を整えておくことであり、
あなたのその一言をずっと待っているかもしれません。

思い切って打ち明けてみてください。
そして、まだ迷っているということもしっかりと伝えましょう。

未信者の家族にとっては、その言葉をずっと待っていたので、
すぐにでもその環境から抜け出させてあげたいと思ってしまうものです。

しかし、今後のことを考えて、
この組織を離れるという決定は自分でする必要があります

そうでなければ、たとえこの教団を辞めることができたとしても、
結局誰かに決められた人生を歩むことになってしまうからです。


3、カウンセラー

家族や親戚が皆信者であり、相談できない。
という方もいるでしょう。
先述の宗教2世はまさにこの状況にある方が多いかと思います。

そして、こういった方は職場も信者だらけというケースがけっこうあります。

(ここまで、信者だらけの環境で、果たして辞めたいと思うのか、
という疑問がちょっとありますが、
今の組織の現状を見るに、いつそういう人が現れるか分からないので、そうした方のためにも書いておきます。)

多少、お金はかかりますが、カウンセリングに行ってください

先ほども書きましたが、
周りを信者に固められた環境で、本音を隠して生きるのは本当に体に悪いです。
いずれメンタルをやられ、長老にバレます。(というか精神的に苦しくて、打ち明けてしまうと思います。)
そして、「慰め」という名の再教育を施され、辞めたいとすら思わないようになります。

もしあなたが、自由を手にしたいのであれば、
カウンセリングは必要なサポートです。

思っていること、不安に感じていることをありのまま話してきてください。

私も、定期的にカウンセリングに通ったことが大きな助けになりました。


カウンセラーは話を聞くプロであり、
直接解決策を提示してくれることはありませんが、
きっと気持ちが楽になるはずです。
また、その場で話したことは守秘義務によって、外部に漏れることはありません。

「こんなことで、カウンセリングに通ってもいいのかな?
大げさじゃないかな?」

そんなことはありません。

この状況は、立派にカウンセリングに通うべき状況です

まずは、一度行ってみてください。


4、相談してはいけない人

さて、ここまで相談できる外部の環境について説明してきましたが、
最後に相談してはいけない人を書きます。


長老などの組織内での権力者
・信者である親
・信者である友人

つまり、信者サイドに相談することはお勧めしません。

まあ、当然と言えば当然ですが、絶対に止められます。


もし、辞めてもいいというのであれば、
その人はもはや信者ではない可能性が高いです。笑

何がまずいのかと言えば、
止められることではありません。


ある程度、経験を積んだ長老や理解のある友人などであれば、
辞めたいという意思を否定せず、
なだめる形で組織にとどめようとすることがあります。

こうした対応をされると、
「やっぱりこの組織にとどまっていても大丈夫なんだ」
と思い、なんだかんだで辞めようという意思がなくなります。

その結果、幸せな日々が戻ってくるのであれば、
それでいいのかもしれません。

しかし、あなたはなぜ辞めたいと思ったのでしょうか?

あなたの人生の目的は何ですか?
あなたが大切にしたいことは何ですか?

こうしたあなたの信じるものがうやむやにされ、
とりあえずの居心地の良さで信者生活を続けることになるかもしれません。

そして、これはぜひ覚えておいてほしいのですが、
一度やめたいと言い出したら、
しばらくはマークされると思った方がいいでしょう。

私も教団の教えに疑問があり、そのことについて長老に相談したことがあります。
その次の巡回訪問(中央から派遣される視察。年に2度やってきて、1週間滞在し、宣教の様子や会衆の様子などをチェックする。)で、しっかり呼び出され、話を聞かれました。


まとめ


以上、長くなりましたが、
要するに、信者ではない人で、
誰かに今の状況を相談できるようにしておきましょう。
ということでした。

あらかじめ言っておくと、

多分、
最初に相談しようとする時は
尋常でない恐怖が襲ってくると思います。

・自分はいけないことをしようとしているのではないか
・これが自分の破滅の第一歩になってしまうのではないか
・神に背いてしまったのではないか

こうした思いから、恐怖にかられると思います。

しかし、断言しておきます。
その恐怖こそが、あなたの行くべき道を示しています


人は誰でも、慣れ親しんだ環境から抜け出そうとする時に恐怖を感じます。
あなたが感じている恐怖は間違っているからではありません。
新たな道に踏み出しはじめたサインです。


恐怖こそが人生の道標である。


私の尊敬する人が言っていた言葉であり、
私も本当にそう思います。

ぜひ、その先に足を踏み出してください。
いつか、恐怖は喜びに変わるはずです。

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