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生理用品は必ずしも必要なものなのか

生理貧困というワードを最近ネットでよく目にする。

生理用品を買えず、ビニールやトイレットペーパーなど適当な代替え品や同じナプキンを長くつけ続けることで不衛生になってしまう。そしてそれを望んでではなく、購入する金銭がない故にそうなってしまうというものである。

ネットの記事についたコメントなどを見ると、「数百円で〜」や「メイクや美容院には行ってるのに〜」という言葉を散見する。

言いたいことはよく分かる。

いままともな美容院へ行けばカットだけでも4000円はするのだから、そちらをあてれば良いじゃないかというもの。
普通の日用ナプキンも1パック400円程度なのでそれで済む人はそうできるかもしれない。美容院やメイクはできなくても死にはしないし、不衛生で病気になるくらいならちゃんと買いなさいという話だ。

これは最もな意見であり、間違いなく正の言葉だ。


それを念頭に、アラサーの私が月に使う生理用品の話をしよう。

私の場合生理不順でいつ生理がくるか殆ど分からない。基礎体温も一応測っているが寝起きが悪すぎるせいで毎回は正しく測れない。因みに定期的に婦人科へ行っているのと年に一度人間ドックにも行っていて何も問題なしと言われているので病気でもない。

その上で、生理が重い。
血はじゃぶじゃぶ出る。足を一歩前に出すとビヤッと出るので10歩歩くと10回ビヤッと出る。これは感覚で「あ、出たな。」と思う時と、股がじんわり温かくなって気づく時とある。普通の日用ナプキンなんて1時間程度で使い物にならない。
しょうがないので生理開始の当日〜3日目くらいまでは多い日の夜用ナプキンを使っている。

血を吸収する容量が多い下着に貼り付けるタイプのナプキンは
多い日の夜用>普通の日夜用>多い日昼用>普通の日昼用
でざっくり分けられる。
わたしはこれの多い日の夜用を、昼につけている。これで3時間持つなってところだ。この多い日夜用ナプキンにも容量が色々あるが、わたしはその中でも一番容量が多い物を使っている。

ちなみに容量が多い分1パックの値段も高く、枚数は少ない。1パック12枚程度で600円(1枚あたり50円程度)くらいだが、まず3日間で大体全部使う。


そして夜は恥ずかしながら、多い日夜用ナプキン如きではもう受け止められないので、わたしはオムツタイプのナプキンを使う。これだとお尻から伝ってはみ出してパジャマや布団も汚さずに済む。

1パック5枚で500円(1枚あたり100円程度)くらいだが枚数も少なく単価も高い。1日1枚で2日目くらいまで使うので200円だ。3日目以降の夜は夜用の貼り付けるナプキン1パック10枚で300円(1枚あたり30円程度)くらいを使っている。

4日目ともなるとだいぶ落ち着いてきているので普通の日昼用ナプキンを使う。これも衛生面を考えると4時間に1度は変えておきたい。普通の日昼用ナプキンは1パック22枚程度で700円(1枚あたり30円程度)くらいだ。

1日4枚を6日目まで使う。

7日目〜9日目くらいまではもう殆ど血も出なくなっているが時折下着が汚れるくらい少量出るのでおりものシートを使う。1パック70枚程度で300円(1枚あたり3円程度)くらいだ。これは昼に1度と夜に1度程度しか変えない。

1日目〜9日目までのナプキンは
多い日夜用1パック(12枚)…600円
オムツタイプ2枚…200円
普通の日夜用ナプキン4枚…120円
普通の日昼用ナプキン12枚…360円
おりものシート6枚…18円

計36枚のナプキンを使って
1298円かかっている。

ものすごく高いわけではないけれど、数百円ではない。

そして1日目〜3日目くらいまではお腹、頭、股関節、腰などあらゆるところが痛くなるので痛み止めも飲む。飲まないと食欲も出ない。仕事も1日くらいは休めても3日も休めないので飲むしかない。

生理が来る予兆があったり、予定日が近い時は念のため事前にナプキンをつけておいたりするので出費もかさむ。

体調が悪いと食事も作る気力がないので買って食べる。出費もかさむ。

お風呂では血だらけの股を入念に洗い流すのでお湯をたくさん出す。出費もかさむ。

お風呂から上がった途端血が出てタオルについたり、急に始まった生理のせいで下着が汚れたりして手洗いする。勿論洗剤も使うし水も出すので出費もかさむ。

生理が来るというだけでこれほどの労力と、出費を伴っている。勿論生理が軽い人もいるので、本当に数百円もない程度で済んでいる人もいるだろう。同じく、私よりも生理が重い人も沢山いるのでこれよりもっとずっとかかっている人もいる。

そして、年齢を重ねればナプキンの重要性を理解した上でナプキンを優先して購入するという選択を選ぶが、若ければ若いほどおざなりにしがちなのだ。

メイクや服、髪などの容姿は勿論外食や趣味の物などの購入に元手を費やす。それを我慢すればいい話なのかと言われると、特に若いうちはそうでも無いと思う。

私は高校の時、月のお小遣いが7000円だった。バイトは高校は禁止していなかったが両親が許さなかった。そこから服を買い、メイク品を買い、カラオケや外食をした。携帯は学校中でただ1人わたしだけ持っていなかった。18時が門限だったが電車の遅延などで公衆電話から両親に連絡するのもお小遣いからだった。

そこに月1000円程度もかかる出費をするとなったらどうなんだろう。幸い私は母も姉も同じく生理が重く理解があった事、必需品の出費は母が負担してくれていた事から気にせずすんだがそうでない人はどうなんだろう。

友人に大学の奨学金を親に使い込まれ、学費を稼ぐために休学し結果中退した子がいる。

詳細を聞いたわけではないから、その頃どんな生活していたかはわからないが生理用品を買わなくて済むならそっちのほうが良かったに違いないだろう。

学生の頃はみんな高校デビューもはたしみんな付けまつげやらアイプチやらと毎日綺麗にメイクしていた。そこでわたしだけナプキンを買うからメイク用品を買えずすっぴんのままだったら…
気にしない人も多いだろうが恥ずかしいと思う人もいるし、高校の頃の男子なんてデリカシーが無いものだから聞こえてくる程度の小声で「あいつすっぴんじゃね?」なんて言われたりする。
そしてそれは言ってる人が思うよりずっとずっと傷つくのだ。

OL時代、メイクが面倒で眉毛だけ書いている事を先輩に話したらメイクしなよ〜と言われた。
接客など年に2回程度しか無かったのでメイクの必要性を感じずその言葉はスルーしたがそうでない職種もある。

これを踏まえると、社会的にも、自分の心を守る為にもメイクは必ずしも後回しにされるべき事ではない。そしてそれは美容院だったり服だったりも同じ事だ。美容院行くぐらいなら…という人はナプキン買う金なんてお風呂我慢してその分で浮いたお金で買えという事と同意義だと思って欲しい。

男性で言えば突如尿漏れを月に1度、7日間程度起こすというような話なのでお風呂と尿漏れパッドどっちがいいんだという事だ。お風呂だって入らなくてもすぐ死にはしない。そういう意味ではメイクなどと同じだ。
どっちも叶うならそれがベストに決まっている。

そして生理用品の購入代月1000円程度を年12回、12歳から50歳までと思うと生涯で45万6千円もかかるのだ。尿漏れパッドに生涯で45万も払いたいと思う男性は1人もいないだろう。


経験しないと人の気持ちは例え同性同年齢であっても完璧に理解するのは無理だ。

でもなんでそういう状況に陥ってしまうのか、考えて欲しい。
「私ならこうする。なぜやらないの?」ではなく、「私はこうするけれど、彼女たちのできない理由や感情はどんなものなんだろう。」と考えて欲しい。


ちなみに私は国による生理用品の配布は賛成でも反対でもない。政府が予算を決め、配布の仕方を決め、それが適切であればそれに越したことは無いがそうなるとは限らない。
そして生理貧困の根本は生理についての知識不足、意識不足、親の金銭問題などがあるに他ならないからだ。

手の届く浅瀬の魚を救いながら、そこに影響を及ぼしている深海の環境を整備して欲しい。

それが1番いい。

それは生理貧困に関わらず、あらゆる事に繋がっていく。生理貧困は大木のひと枝の問題に過ぎないのだから。

だからどうか、「理解しようと努力する、考える」という行為を、年齢も性別も関係なくやめないで欲しいと思う。

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