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タバコとは何であったのか
本稿はタバコ(tabaco, tabacco, cigarette…)の作用についていくつかの成分も挙げながら説明したいと思う。そもそもタバコとは体に悪いとして何が悪いのか?それについてどのくらい読者諸氏らも知っているだろうか。本稿ではなるべく深入りまではしないようにしつつ、重要な作用についての実体を読者にお届けしたいと思う。本稿はタバコの効果の途中まで無料で読むことができる。全部読むには400円もしくは、購読する必要がある。
1. タバコの基本事項
まず驚くのが、たばこ事業法によると平仮名表記とカタカナ表記で指すものが異なるという。
日本の法令上の平仮名表記は、たばこ事業法2条1号によりタバコ属の植物を指し、その葉は「葉たばこ」(同法2条2号)である。カタカナ表記は農作物として耕作し、葉たばこを得、それを原材料として製造たばこを得る基盤となるタバコ属の植物を指す。そして、その加工製品は製造たばこで、同法2条3号によって「葉たばこを原料の全部又は一部とし、喫煙用、噛み用又は嗅ぎ用に供し得る状態に製造されたもの」と規定される。
ただ「たばこ」は平仮名の文章の中にあると読みにくいので、本稿に限っては基本的に「タバコ」で全て記述していきたいと考えている(もちろん固有名詞は除く)。
タバコ自体はNicotiana tabacumと呼ばれるナス科タバコ属の熱帯地方原産の植物の葉を加工して作られる製品である。この植物にはニコチンが多分に含まれる。タバコの原産地は南米のアンデス山脈あたりと言われている。話が多少脱線するが世界中で嗜好されているアンデス原産の物は色々あり、タバコの他にもトマトやジャガイモもそうである。
本稿はタバコの作用についてフォーカスを当てたいのでタバコ自体の歴史は簡単にしか触れないが、元々アンデス原産なのが南米で使われるように、例えば7世紀のマヤ文明の遺跡においては喫煙する神の浮彫り(レリーフ)がある。
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コロンブスが15世紀末にアメリカ大陸を発見して、その後、主にスペイン人らがタバコを運んで、ヨーロッパをはじめとする世界各国に伝番させていった。現在では世界中で愛煙家がいるのは言うまでもないが、1970年代ごろからタバコの健康における有害性が主張されるようになり、2005年には世界保健機関 (WHO) が主導するたばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(たばこ規制枠組条約)が結ばれるにいたり、現在では広告などで厳しい規制がなされている。ちなみに日本国内でタバコの製造を行っている事業者は、日本たばこ産業株式会社(JT)1社しかない(その経緯は本稿で割愛する)。またタバコ製品の卸売や輸入、およびタバコ製品の広告・宣伝活動を行っている事業者は、主に外資系のフィリップ モリス ジャパン合同会社、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン合同会社が有名である。
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タバコに様々な種類があり、葉巻きたばこ、紙巻きたばこ(cigaretteはこれを指す)、水たばこ(シーシャ)などが知られている。紙巻きたばこの構造は以下のようになる。
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では次の章でタバコを何故吸う人がいるのか、すなわち何がいいのか。喫煙により気持ちよくなれる理由について説明していきたいと思う。
2. タバコによる多幸感
この章はタバコをなぜ人が吸ってしまうのか。要はニコチンで気持ちよくなって依存症があって中毒になるという話であろうが、一体どういう機構で喫煙により気持ちよくなって何が危ういのかなどを解説していきたいと思う。まずタバコに含まれている気持ちよくなるうえで重要な物質は何かというとニコチン(nicotine)になる。これは量にもよるが、多い場合は人間には基本的に毒物である。大量時には中枢神経抑制によって呼吸停止がありえる。ニコチンは元々の生物学的意義としては昆虫に食べられることを抑制するために、タバコ植物が作り出す毒性化合物である。ナス・トマト・ジャガイモなど、ナス科ではしばしば作られている化合物であるが、タバコ以外の種ではその量は非常に少ない。ニコチンはリガンド (ligand, 英語ではライガンドと読む)として体内で作用する。ここでリガンドとは何かというと、学術的には他の生体物質(タンパク質など)と結合し、結果としてその生体物質を作動させて何らかのシグナル伝達を引き起こしたりする物質を指す。イメージは、車の鍵をイメージしてほしい。車に鍵に入れる作動して運転するようになるだろう。ここで車(鍵穴)に当たるのが受容体(receptor)と呼ばれるタンパク質である。リガンドと受容体は鍵と鍵穴の関係にあるとは言われる。
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