さくらももこ「ももこのいきもの図鑑」
2021.03.05
気楽に読めて気分転換になる本を探してたら、見つかった~!
さくらももこの本は、アハハッって笑っちゃうほど面白いんだよね。ちゃんとオチがあって、お笑い番組を見てるみたい。
「ももこのいきもの図鑑」 は、主に著者が幼少時代に触れてきた生き物にまつわるエピーソードをユーモラスに語った短編集。もともと著者は子供のころから生き物が大好きだったみたい。
私の一番のお気に入りエピソードは『ゴキブリ』。ゴキブリが大嫌いな著者は、ゴキブリの何を改善すれば好かれる昆虫になるのかをここで考える。
とにかく”汚い”、”反則並みの速さで走る”、”急にこっちに飛んでくる”という特徴があるんだから、誰もが嫌がって当然、とのこと。彼らには蛍のような発光する芸やカブトムシのような観賞価値もない。台所ですぐに見つかるから希少価値もなく、オオクワガタのように高額を払う人もいない。
つまり、ゴキブリが好かれる条件には、清潔さ・美しさ・ゆったりとした動きがある、と。そして、最後に著者はこうまとめる。「大変困難な道であるが、タマムシ等はこれをクリアしているのだ。同じ昆虫として、死に物狂いで努力していただきたい。」
必死に、しかも、丁寧語でゴキブリにお願いしている点が非常にシュールで吹いた。(笑)そこまで進化するには、一体あと何万年かかるんだろうか。そもそもゴキブリはそれを望むのか(笑)
話しが逸れるが、読了して1つハッとしたのは、著者の幼少時代では日常の中で生き物と遊び触れ合いつつ、それと同時に沢山の死に触れる機会があったということ。(著者はあとがきでこの本を別名「しにもの図鑑」と言っている)つまり、「死」というものを身近に感じるとともに、「生」の価値を感じやすい時代だったんじゃないかな~と想像したり・・・
現代の子供~大人はどうかな。特に東京では生き物と触れ合う機会が少ないし、私自身もあまり無かった。生き物だけじゃないよね。今の日本では、いろんな場面で「死」を遠ざける風潮が感じられ、「生」や「命」というものに触れるのが難しい気がする。
また笑いたくなったら、この本を手に取ろう。