都内の大学4年生です。本とJリーグが生き甲斐です。

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リチャードフラナガン『グールド魚類画帖』

 小説のなかに挿絵があると、何だか得したような気がする。挿絵を見ることで、僕のつたない読みが作り上げた想像の世界に、現実味と彩りが生まれるのだ。12の魚の絵を中心にこの物語は進んでいく。そのどれもが、躍動感とはおよそかけ離れた図鑑に載っているような絵である。しかしその目には、生に対する切迫が感じられる。まさにこの絵を描いた、数々の罪を問われ、南海の孤島に囚われた男の人生が乗り移ったかのように。        時代は近代化の真っ只中。ヨーロッパの列強は世界中で植民地を増やし、帝

    リチャードフラナガン『グールド魚類画帖』