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北米のcomiconはどうなるのか?

 新型コロナウイルスまん延の影響で、世界中で人が集まるイベントが中止・延期となっています。マンガやアニメ、ゲームのイベントであるconventionもその一つです。アメリカやカナダなどで予定されていたconventionも相次ぎ中止・延期が決まりました。(写真は2019年のNYCC)


大小合わせてほぼ毎週開催

 北米、特にアメリカではほぼ毎週どこかの都市でマンガやアニメに関連するconventionが開催されています。もちろん有名なのは夏の西海岸のイベントですが、規模を問わなければ各州のどこかの都市で行われています。

 私は「FanCons.com」というサイトをいつも参加するconventionを決めるときに参考にしています。これをみると、ニューヨークやサンフランシスコといった大都市だけでなく、幅広い都市で開催されていることがわかります。(私は以前、メリーランド州のバルチモアという都市のconventionに参加したことがあります)

 もちろん取り上げられるのは日本のマンガやゲームだけではありません。アメコミあり、ハリウッド映画あり、K-POPあり。とにかく「Popular Cultureを楽しむ場所」になっています。


3月中旬以降、中止・延期に

 新型コロナが米国で広がり始めたことから各conventionのお知らせをチェックしていました。すると3月中旬以降のものから中止・延期を決めるものが出てきました。これは米国で外出制限が広がったうえ、いくつかの州では一定の人数以上が集まることを制限したためです。

 北米、特に大都市のconventionは、地域を超えてファンやアーティスト、出展企業が集まるため、仕方がないのでしょう。以下、中止・延期になった大規模conventionです。

・Otakon 

  (7/31-8/2,ワシントンD.C.) 2020年はなし、21年に延期

・SAN DIEGO COMIC CONVENTION

  (7月,カリフォルニア州)  2020年はなし、21年に延期

・Anime Expo

  (7月、カリフォルニア州) 2020年はなし、21年に延期

・International Fan Festival Tronto

   (7月、オンタリオ州)  2020年はなし、21年に延期

などなど。もちろんほかにもたくさんあります。ニューヨーク州のアルバニーで予定されていたイベントのように、2020年秋に延期されたものもあります。

 なお、一部のイベントは中止や延期の決定が遅れ、ファンや参加予定者からは不満の声もあがっていました。

 ただ、中止・延期の判断は地域によって差が大きくなっています。カリフォルニア州サンフランシスコのイベントはすでに8月の分まで中止が決まっているものも少なくありません。(おそらく会場となるconvention centerが新型コロナ対策で使われているのだと思われます)一方で、フロリダ州は経済活動の制限の緩和を見越してか、5月末のイベントはまだ開催予定のままです。


オンライン開催模索も

 北米のconventionの多くは以下のような複数の企画で構成されています。

・Panel  ゲストを招待し、作品などについてのトーク

・Artist Alley 主に個人のクリエイターがブースを設けて自分の作品を販売

・Cosplay  コスプレお披露目

・Vendors  主に企業がブースを出し、ゲームや作品を販売

 私はPanelが好きでよく参加します。これはもちろん最先端のクリエイターが自作について話すのはもちろん、大学教授や批評家、翻訳家が登壇し、文化研究や翻訳について話すものもあるからです。

 特に日本の作品については、通信販売を除けば正規品を米国で手に入れられる場所は限られています。そうしたファンにとっては年に数回あるこうしたイベントは公式グッズを入手する貴重な機会でもあります。もちろんアーティストにとっても直接ファンとつながれる機会です。

こうした出展者への影響がどこまで出てくるのかはまだ見えてきていませんが、アーティストの収入には影響がありそうで、ファンの方からも出店予定だったアーティストから直接購入できるようにリストなどを作ってほしいという声が出ています。

 そうした中で、一部ではオンラインでの開催を模索しています。SAN DIEGO COMIC CONVENTIONの場合、「Comic-Con Museum@Home」を設け、SNSなどで作品を紹介しています。すでに「QUARANTINEDCON」というフルオンラインのイベントも立ち上がっています。(quarantine=隔離する、検疫する)

 なお、conventionではないのですが、4月下旬に「本の日」にちなんで行われた「Sant Jordi NYC」は2020年はオンラインで開催されました。


 ちょっと違うところですと、米国の講談社がfunimationというアニメ配信会社と組んで、毎週講談社の作品を紹介するという取り組みを始める予定です。

出版社がやるのかイベント会社がやるのかいろいろな主催の主体はあれども、少しずつオンライン化は進みそうです。

VRコミケの取り組み

  ちなみに日本ではすでにVRコミケである「バーチャルマーケット」が立ち上がっています。「個人や企業がブースを出してファンとクリエイターをつなぐ」というコミケをバーチャル空間でやろうというものです。1100以上のサークルだけでなく、ネットフリックスなど30社以上の企業も出店しています。

 すごく個人的にはどうぶつの森にも期待しています。私はこれ以上沼を増やせないのでやっていないのですが、SNSを見ていると一定の匿名性を維持しながら人とのやり取りができているのであの空間でのイベントもありでは?と妄想しています。(お金のやり取りをどうするかは別の問題ですが)

 

オンラインとリアルのコミュニケーションの差ってなんでしょう

 新型コロナの問題が長引くという前提に立つと、これまでリアルのやり取りを重視してきたconventionも一定レベルでオンライン化を模索しないといけないのだと思います。

 そのときおそらくハードルになるのは、「オンラインのやり取りで課金できるのか」「ファンとのつながりを強くできるのか」というところ。このあたりは少し事例を集めていきたいと思います。

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