見出し画像

アイドルオタクは新規好き?②:グループ毎の差の要因

 前回の記事の続きです。

 前回の記事をまとめると、坂道Gの3つのグループで、新規期生のミーグリ人気のグループ内での集まり方に差があり、乃木坂46が最も新規期生の人気が高く、続いて櫻坂46、日向坂46の順で低くなって行くことが分かりました。下の表のとおりです。

完売率表

 一見、乃木坂46ファンは元の推しを簡単に捨てるクソ連中だらけ、ともとれますが、そう単純には分類出来ないと思う、というのが前回の記事の結びでした。今回はその点の考察を。

・ファンの傾向?

 そもそも坂道グループのようにファンの母数が大きいグループでは、その人間性の分布も、一般的な社会集団と大きくは変わらないでしょう。
 世の中には悪意に満ちた人間、他者を見下したくて仕方のない人間、自分の欲望にしか興味がない人間は確かにいますが、そうした動機だけでミーグリにお金を費やすことは難しい。そういう奴もいますが、決して多くはなく、自然と影響力は限定されます。
 地下アイドルグループのようにファンの母数が小さければ、一部のクソ野郎が大きな影響力を持つことも有り得ますが、坂道Gではそれはあり得ません。せいぜいネットで吠えるだけです。

 あくまで私見ですが、ほとんどの人はスポーツ選手、スポーツチーム、歌手、俳優を応援するのと同じ意味での『応援』の気持ちだと、ごく狭い範囲ながらファンを見ていて感じています。
 無償の愛、とは言いませんが、双方の利益のバランスが大きく崩れていても(ファンの側の経済的持ち出しが多くても)良い、という考えがなければ、応援という行為は出来ません。スポーツチームの応援が典型例であり、見返りは勝った時の喜びぐらいしかなくても、試合に足を運ぶ人が多数いる。乃木坂46のファンのほとんども、それと同じ気持ちだと思います。

・需要と供給

 では何故、新規に流れる現象が起こるのか。
 私が考えた最大の理由は、またも同じ理由を持ち出してなんですが、ファンの人数の多さだと思います。
 コロナ禍初期にトイレットペーパーが品切れになったのは、皆が十個も二十個も多く買っていた訳ではなく、大勢の人がいつもより少し多く買っただけ、だそうです。このように、多数の人のちょっとした動向の変化が、需要と供給のバランスを大きく崩すことがあります。

 個々で見れば、以前からの推しを完全に切り捨てているわけでもない。しかし資金に限りはあるので、以前の推しのミーグリを少し減らし、新規期生を買う。
 ファンの数が少なければ、それは地滑り的な人気の変化にまでは至らないはず。しかし多くの人がそれをすれば、以前の推しの完売は一気に減少することになります。乃木坂46で起こっているのは恐らく、そうした現象なのだろうと思います。

 その逆の現象が、卒業直前には起こります。
 四期生の北川さんは、なかなか完売が出ませんでした。しかし卒業を発表した直後、残っていた10部が1回の販売で完売しています。
 別に嫌ったり捨てたり、無視している訳ではない。卒業する直前に、何らかの言葉を送りたいという気持ちはあるファンが、相当数いたことが分かります。彼らは大量買いした訳ではなく、少し買っただけのはずですが、一気に完売しました。これは北川さんに限らず、あまり握手完売がなかったメンバーでも卒業直前によく見られる現象です。
 じゃあ普段から買ってやれよ、と傍から言うのは簡単ですが、誰もが無尽蔵にお金を持っている訳ではありませんので、それは人間性とは別の問題です。

・グループの差の原因

 しかしファンの母数が多いのは、櫻坂46も日向坂46も同じ。それなのに新規期生の人気傾向に違いがあるのは、何らかの原因があるはずです。

 人間性云々はともかくとしても、原因としてのファンの気質の差は、ある程度は存在するでしょう。乃木坂46は新規メンバーを受け入れ慣れていますが、櫻坂46と日向坂46はそうでもありません。

 しかし、坂道Gの各グループのファンは複数同時に応援している人も珍しくなく、ファンの気質の傾向がくっきり分かれると断定するのも無理があり、気質の違いは漠然としたものに留まるはず。その割には、新規期生の人気の傾向の差が大き過ぎる気がします。

 となると、何か他の違いはないかと考えた時に思い当たるのが、グループの歴史の長さ。正確には、それに伴う草創期メンバーの在籍の有無、です。
 既に草創期メンバーである一、二期生が全員卒業した乃木坂46と比べて、櫻坂46、日向坂46は草創期のメンバーがまだまだ残っています。

 欅坂46からの歴史と合わせて考えれば、櫻坂46の歴史もかなり長いですが、改名後の再出発と試行錯誤の時期を考えると、二期生も草創期メンバーとしての(ファンの中での)重みを備えているのではないかと思います。

 日向坂46は、ひらがな時代からの苦難の歴史が重要なストーリーになっており、ひらがな時代が草創期。その時期に在籍したのは三期生の上村さんまでです。
 そして、日向坂46に改名してしばらくしてから加入したいわゆる新三期生の三人も、加入が遅くなっただけで、オーディション段階では『けやき坂46』への加入を視野に入れていたわけです。三期生までの全員が、草創期メンバーと言えるのではないでしょうか。

 そう考えると、草創期以降のメンバーを迎え入れるのは、櫻坂46、日向坂46共に初めて、とも解釈出来ます。

 草創期メンバーは自然と大きなストーリーを背負い、ファンの側は感情移入を自然とします。だからこそ容易には離れない。これはアイドルグループ毎のファンの気質の違いの話を超えた、一般的、普遍的な傾向のはずです。
 私には坂道Gの新規期生に対する人気の差の要因として、こうした『普遍的な傾向』の方が、イメージ先行で正確性に欠ける可能性がある『ファンの気質の差』よりも、大きな説得力を感じます

 乃木坂46では、二期生は比較的早く加入しました。しかし握手人気的には大きく伸びることはなく、選抜入りに関しては三、四期生の方が多く入る結果となっています。
 これに関しては、研修生制度が大きな足枷になって人気を伸ばす機会を逸した、と私は思って来ましたし、その面もあると思いますが、後から加入した者に対する感情移入のし難さ、が強く働いている時期だったからなのかも、とふと思いました。さすがに当時の完売表まで探す根気は無いですが。

・今後

 卒業制度がある坂道Gでは、時間が経てば、草創期メンバーは減って行きます。更に新しい期生も入り、ファンも入れ替わり、草創期に対する思い入れがあるファンも少なくなります。ここ数年の乃木坂46が、まさにそうした状態です。

 数年後にそうなった時に、今と同様の傾向が保たれていたとしたら、
「乃木坂のファンはすぐに新規に飛び付くけど、櫻坂(日向坂)は違う」
 と言えるのではないかと思います。

 要するに『結論は先送り』と言うのが私の結論です。長々と書いておいてすみませんが、グループごとに色々傾向が違うんだな、と思ってもらえれば…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?