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乃木坂46 アンダーライブのこれから

 ほどなく一期生が全員卒業し完全に三、四期生中心へとシフトした乃木坂46。どのアイドルグループにとっても世代交代は難事ですので、当然完璧とは言えませんが、ファンの立場から言えば、それなりにスムーズに進んでいるように見えます。
 しかしながら、全くスムーズでないものもあります。それがアンダーライブ、正確には『アンダーライブのファン層』のシフト、だと思っています。

・アンダーライブファンの変遷

 初期からしばらくの間アンダーライブを支えたのは、アンダーに固定されがちだったメンバーのファン達だったと思います。
 固定されなかったメンバーは、衛藤さんと飛鳥さん、井上小百合さんと伊藤万理華さんぐらいではないでしょうか。他は皆、多くの期間をアンダーとして過ごしました。
 そうしたメンバーのファン達がアンダーライブを熱狂的に支えていたのだと思います。
 しかしそうしたメンバーも卒業して行き、和田まあやさんを最後に、とうとう1人もいなくなってしまいました。

 それは時の流れがある以上仕方がないとはいえ、同時にファンも離れてしまったのではないか。それが私の推測で、それが如実に表れたのが、29thアンダーライブでしょう。ぴあアリーナの1万のキャパに対して半分の客入り、という日もありました。かつては武道館を埋めたアンダーライブが、です。客入りの低下傾向は否定出来ない事実です。

 その要因は様々でしょうが、私なりに挙げるなら、
四期生のアンダー合流の遅れによって、以前のアンダーライブのファンを次世代へと向かわせられなかったのではないか?」
 ということです。

・新規メンバーへの態度

 グループ全体を応援する人はともかく、アンダーライブを主に応援しているような人は、新規メンバーをあまり好みません。認知を広げるスタートダッシュの過程で、期別単独番組をもらい、どんどんメディアに抜擢されて行く新人達に対して、自身が推しているアンダーメンバーの出番はますます奪われているように感じるのが、人情だからです。

 三期生に対してもそれは同じだったでしょうが、三期生がアンダーライブに初参加した時には、先輩も多数いました。その中に加わった三期生達を見て、三期生に対する反感を和らげると共に、徐々に三期生達も応援するようになった人もいたのではないかと思います。この、「三期生 も」というのが大事です。
 その時点での三期生の選抜メンバーは4人。
「三期のせいで俺の推しは選抜に入れなかった!」
 という経験は少なめ(18,20枚目の2作)だったはずです。

 しかし、四期生は違います。人数的にも多く、24,26,27枚目で四期生の新規選抜が生まれ、27枚目時点では6人いました。
 『乃木坂どこへ』で始まる四期単独番組もあり、アンダーライブのファン達が
「優遇されやがって!」
 という気分になるのも無理はありません。

 そうした人達は、四期生のアンダーライブでの姿を見ることがないまま、推しの卒業と共に乃木坂から離れて行った…のではないか、という推測です。

 逆に言えば、もう少し早く四期生がアンダーライブに合流していれば、その気分を和らげることが出来たのではないか、と思います。具体的には26枚目、どんなに遅くても27枚目で合流すべきだったと思います。

 もちろん運営側もその程度のことは承知だったでしょうが、コロナ禍による活動の停滞や人数制限、何よりも遅れて加入した五人(いわゆる新四期生)と同時にアンダー合流するための判断でしょう。
 スタートの遅れとコロナ禍のダブルパンチで大きなハンデを負っている彼女達に対して更に、アンダーへの合流すら区別するという判断は出来なかったのではないかと思います。モチベーションを考えれば、それはそれで無理もないことです。

・人気復活のために

 一度断絶が出来てしまった以上、アンダーライブの客入りの復活のためには、ライブの質を上げつつ、再びコツコツと実績を積み上げて行くしかない。まずそれが大前提です。
 そして、それに加えて是非やってもらいたいのが、次作32枚目での五期生のアンダー参加です。
 次作で選抜入りする五期生の人数は、最大で6名程度でしょう。残ったメンバーはアンダーに合流した方が、グループとしては絶対に得策です。ちなみに加入4作目からのアンダー合流は、三期生と同じルートです。

 これは単純に、
「五期生のファンをアンダーライブに連れて来て客入りを改善したい」
 というだけの話ではありません。
 それもあるにしても、現状では五期生フィーバーに乗り切れていない三、四期生のファンを五期生のファンへと引き込むことも、狙いに入ります。
 その最大の利点は、ファンがグループを継続的に応援する可能性を高められる、ということ。正直、アンダーライブの客入りよりもその効果の方がずっと重要だと思います。

 もちろんこれは、都合の良いバラ色の未来図です。実際はファン全員に効果はなく、自分の推しにしか興味がない人、選抜メンバーを応援したいだけでアンダーには見向きもしない人には効果はないですし、乗り切れないまま推しの卒業と同時にファンをやめる人も、一定数いるでしょう。
 しかし、新たに五期生の魅力に気付くファンも必ずいます。大規模な宣伝や投資が必要なことでもなく、いずれは合流するのなら、やってみる価値は十分にあるはずです。

・五期生の負担

 アンダーになる五期生にとっては、嫌なことかも知れません。グループ内の人気を確立するにはスタートダッシュ次第なことは、乃木坂46の歴史が証明しています。
 三期生の現在の選抜定着度は、いかに早く初選抜入りしたか、に全面的に依存しています。21枚目までに選抜したメンバーと、それ以降とでくっきり分かれています。
 四期生はまだ歴史が浅いためにそこまで鮮明ではありませんが、その傾向は間違いなくあります。
 普通に考えれば、五期生もその道を辿るはずです。

 逆に言えばアンダーに配属されることは、
「あなたは出遅れましたよ」
 と通告されるに等しい。そう捉えるメンバーもいるでしょうし、ファンの中にもそういう人はいるでしょう。ただ、そこで簡単に離れるようなファンは、六期生が入ってくればサッサとそちらへ流れて行く連中ですので、それほど気にする必要はありません。

 実際は、選抜から漏れた瞬間に離れて行くようなファンばかりではありません。アンダーライブに応援に行く(もしくは配信で見る)ファンも、相当数います。
 それに加えて、アンダーで新たな魅力を打ち出して、新たなファンを得て選抜へ。そうした流れ、というか実例を作って行くことが、今後の乃木坂46の運営方法として重要ですし、それはアンダーライブの人気の上昇にも繋がるはずです。

 例としては、30枚目での金川さんと佐藤楓さん、31枚目での林さんと阪口さん、が挙げられるでしょう。ちなみに柴田さんと弓木さんは、アンダーでのパフォーマンスよりも、それ以前からの勢いが大きかったと私は考えています。
 アンダーと選抜を流動化し、アンダーと選抜のファンも流動化する。それは一種の活性化だと思いますし、グループを見る様々な楽しみ方を提示出来るということにもなります。
 もちろんそれは綺麗事であって、メディア露出の多い選抜入りをメンバーもファンも望むのはある意味当然ですし、完全に平等に見られることは無いでしょうが、アンダーになった時の絶望感はかなり和らぐのではないでしょうか。

 何にせよ、四期生と同じレベル(加入約3年後、6作目)までアンダー合流を遅らせることは、悪手です。
 握手売上序列による選抜制が続く限りは、選抜以外のメンバーのモチベーション向上は重要な課題です。また、パフォーマンスレベルの向上という意味でも、アンダーライブの経験は大きく、パフォーマンス重視路線をとっていると思われる昨今の乃木坂46では尚更です。
 五期生がスター誕生等で示しているパフォーマンスレベルを見れば、初回のアンダーライブこそは覚えることが多くて大変でしょうが、すぐに適応してくれるはずです。初回だけは少し曲数を減らしても良いはず。負担を軽くしながらやる方法を採れば良いだけのことです。

・今後に向けて

 いずれ来るであろうグループ人気の地盤沈下(握手会ビジネス型アイドルグループ市場自体の地盤沈下、だと私は思っていますが)の時に、頼りになるのはライブになるのは明らかです。先行のアイドルグループが、それを証明しています。
 である以上、その部分を磨き、屋台骨となり得るよう育てて行くのがアンダーライブであり、疎かにするのは愚策です。

 その程度のことは分かっていたとしても、あまりにも客入りが悪くなればビジネス的に継続が厳しくなりますし、ライブの価値自体がどんどん低下して行ってしまいます。
 それを防ぐためにも、五期生の早期合流は是非実現するべき、と声を大にして言わせて頂きます。

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