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遠くて近くのしあわせ:白石麻衣卒業コンサートを見て

 白石麻衣卒業ライブは、楽天TVの混乱のせいで、リアルタイムではなく翌朝に見ることになりましたが、そんなムカつきも吹き飛ぶぐらい、感動しました。

・ライブ全般

 配信という形式に対して、不満がある方もいるのだろうとは思いますが、私には皆で盛り上がってコールしたいとかいう欲求もないですし、じっくり聞きたい曲を、近くの頭の○○しいオタクの大騒ぎで台無しにされずに済みます。また、オッサンがボロボロ泣いているのを他人に目撃されずに済むのも、有り難いことです。

 私が見た卒業ライブはそれほど多くありませんが、毅然として芸能界そのものから去って行った橋本奈々未、穏やかに微笑んで卒業して行った西野七瀬、に比べると、白石は随分と泣いていました。
 とは言えそれも、十分に予想出来たことです。そうした情の厚さが彼女の魅力であり、周囲からの信頼を得る要因であり、これまで乃木坂46に在籍し続けた原動力でもあったのは周知のこと。こちらも存分に泣かせてもらいました。

・とにかく泣ける

 最初のMCパートで、泣く印象皆無の星野が泣いたり、序盤から曲中に松村が泣き、それに釣られて白石も泣き、という感じで、その時点から私ももらい泣きの連続でした。
 もはや一期生が集うだけで泣ける、ということもありますし、後輩達にも温かく接する態度も印象的でした。
 『逃げ水』の始まりで与田と大園を手招きしたり、立ち位置的に自分の前にしゃがむことになった後輩の肩に、必ず手を置いて目を合わせていたり、山場の『ガールズルール』なのに最後列に移動して、モニターに映るチャンスの少ないメンバーにもしっかり関わったり、というのが、何とも白石らしく思われました。

 『サヨナラの意味』では、初めはにこやかに笑って後輩達を抱き寄せていたのが、皆泣いているのが伝染したのか、後半に掛けては全く歌えないぐらいに泣いていました。ここもとても感動的だったと思います。
 この曲に関しては、後輩達への思いもさることながら、先に卒業して行った橋本奈々未を始めとする同期メンバー達のことも思っているように見えました。

 多くのユニット曲をもらっている白石ですのでいくらでも曲はあり、たくさん披露していましたが、私的にはもともと好きな曲である『渋谷ブルース』と、生田のピアノ伴奏による『きっかけ』が特に良かったと思っています。
 高山と生田は、ボロボロ泣くというよりも、目を潤ませながらも笑って見送るような様子が、印象的でした。

・乃木坂46のこれから

 白石は、歌に関して自身からアピールすることはないですが、乃木坂46の中ではかなりの実力派だと私は思っています。物凄く上手い、とは言い切れませんが、ソロ曲、少人数のユニット曲を多く歌って来た場数がそうさせるのか、度胸が満点で、それが舞台で違いを生み出しているように見えます。既に卒業した西野七瀬も、私にはそのように見えていました。
 今回、出ずっぱりで相当大変だったと思いますが、最後までしっかり歌っていたと思います(どこまで口パクなのか、私にはよく分かりません)。

 そうした歌の面やビジュアルはもちろんのこと、抜群の知名度を持つ白石が抜けて、今後の乃木坂46がどうなって行くかは、もちろん誰にも分かりません。

 世代交代に成功したアイドルグループは今までなかったと思いますが、初期メンバーと次世代のメンバーで、質的にそれほど大きな差があったかと言うと、そんなことはなかったと思います。むしろ、グループの人気が上がった頃に応募、加入しているので、ビジュアル、パフォーマンスのレベルは高かったはずです。
 それなのに、世代交代出来なかった、と少なくとも世間的に思われているのは、知名度を獲得出来なかったから、でしょう。
 熱心なファンは、きっと悔しい思いをしたと思います。先輩達に全然劣っていないのに衰退扱いされて、何も知らないくせに、と思ったかも知れません。

 乃木坂46がそうした道を辿らないとは誰にも言えませんが、こうすれば打開出来る、というズバリの解決策も、恐らくありません。
 単なる思い付きですが、総選挙やバチバチという炎上系の要素もなく、国民的なヒット曲にも恵まれないまま、いつの間にかトップアイドルグループと呼ばれるようになった乃木坂46には、劇的な打開策は必要ないのかも知れません。
 それぞれの仕事を、グループと自身のために、全力で着実に、誠実に頑張る。そうしているうちに、いつの間にか世代交代している。
 バラエティやシングルでのホームランを狙うより、その方が良いのかも知れないと、書きながら思いました。

 野次馬的な面白さはありませんが、エンターテイメントで成功する道は、一つではありません。
 仲良し女の子達が集った、バチバチ感皆無でSNSでのアピールも禁止されているアイドルグループが、AKB48以上の人気を獲得出来る、と十年前に言っていたら、鼻で笑われて終わりだったでしょう。でも今は、それが現実になっています。
 現状とあまり変わらない方法で着実に積み上げることは、見栄えもしないし非効率かも知れませんが、向う見ずに飛び回って暴れ回ることは、それ以上に非効率かも知れません。

 答えは誰にも分かりません。答えが出る頃には、私はこの記事を書いたことすら忘れている可能性も十分にあります。
 今、確かに言えるのは、私はこれからも乃木坂46を追って行くつもりであること、だけです。
 今後のライブも、極力見ます。楽天TVでは見ませんが、そのことは別記事で...

 今はとにかく、メンバー、スタッフの皆さん、お疲れ様でした。ありがとうございました。

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