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ヒット曲って作れる?

 乃木坂46の25thシングル『しあわせの保護色』は、You TubeでのMV公開から約二ヶ月が経ちました。

・『しあわせの保護色』と『I See…』

 言わずと知れた、白石麻衣の卒業シングル。
 センターを白石、一、二列目を一期生のみで占める布陣など、ファン的には表題曲の『しあわせの保護色』の注目度ももちろん高いですが、世間的には、カップリングの四期生曲『I See…』のMV再生回数がグングン伸びて、今や表題曲を上回る回数になっていること、でしょう。

 カップリング曲のMVがいつもと違ってショートVerにならず、フルVerのままにされていることもありますが、『I See…』はSMAP感がある、と世間で広く話題になったこと、が要因だそうです。
 SMAP感、と言われても、私はSMAPファンではなくロクに曲を聴いたこともないので、全くピンと来ません。ああ、世間はそうなんだなあ、という感じです。

 白石麻衣のセンター表題曲より、四期生曲が再生回数が多い、という思いがけない事態になったわけですが、白石自身は、別に何とも思っていないでしょう。彼女はもう、乃木坂46での勲章は必要としておらず、求めてもいないでしょうから。
 むしろ、四期生を通して乃木坂46に注目が集まったことを、喜ぶ気持ちの方が強いのでは、と思っています。

 まともなファンなら、これまでのグループの顔としての活躍や、もっと早く卒業出来たのにグループのために残ってくれたこと等、白石の貢献に対するリスペクトを欠かすことはないでしょう。
 そんなファンでも、『しあわせの保護色』を初めて聞いた時、最高だ!と盛り上がった人は、多くはなかったのではないでしょうか。少なくとも私は、盛り上がりませんでした。
 楽曲の分析みたいなことは出来ませんが、自分なりに考えてみると、サビになっても、曲調も音域もテンポもほとんど変わらないまま、スーッと終わってしまいます。結果、盛り上がらない。これは致命的だと思います(盛り上がらないというのは、コールが出来ない、なんて意味ではなく、精神的な高揚をもたらす力が無い、という意味です)。

・乃木坂46が求めるもの

 かねてから、乃木坂46が渇望しているものは、広く世間に認知されるヒット曲、と言われています。この点は、メンバー自身の発言からも、確かでしょう。
 『しあわせの保護色』の公開直後、『恋するフォーチュンクッキー』の二番煎じ、という意見を見ましたが、そういう意図はあったと思います。
 ダンスが簡単だからファンの皆さんも一緒に踊って欲しい、というメンバーからの発言が多くあったのも、その仕掛けの一環だったのでしょう。

AKB48『恋するフォーチュンクッキー』
星野源『恋』
Foorin『パプリカ』

 など、ダンスを突破口にして広まって行った曲は多くあります。

 そもそも、昨年の『Sing Out!』も、サビの部分に簡単な振りをつけて、お客さんも一緒にやりましょう、ということをライブでやっていました。ヒット祈願企画の一環で色々な場所にロケに行き、一般の人たちと踊って、それをMV仕立てにもしていました。
 それと同じようなダンス仕掛けで、白石麻衣卒業、という話題性と合わせて突破口にすることを狙ったのかな?というのが私の邪推です。ずっと曲調が変わらないことも、踊りがし易いという利点にもなり得ますので。
 ただ現状、国民的ヒット曲になるには至っていません。

・ヒット曲?

 普段ほとんど音楽を聞かない私のような人間からすれば、『国民的ヒット曲』を追い求めるのは、平成初期の幻影を追うようなもので、狙って作れるものではない、と思っています。運や気紛れな世論が左右する面が、あまりにも大き過ぎます。

 大ヒットした曲とそのプロモーションのやり方を見て、
「これが成功の要因だ!」
 と後になって理屈付けすることは、そんなに難しくないでしょうし、それも無駄とは思いません。

 しかし、同じやり方をしても、同じように成功するわけではありません。
逆に、『I See…』をSMAPを意識して作ったとは、私には到底思えませんが、注目を集めるのに成功しました。
 どうせ全てが結果論、とまでは言いませんが、世間がどう転ぶかを意識し過ぎるとロクなことが無い気がします。

 実際に曲の売り方を考えるのは、とても大変なことでしょう。無為無策で作り続けるのも、それはそれでどうかと思いますが、グループの特色をある程度維持しつつ、少しだけ変えて行く。そんなもので良いのではないでしょうか。
 あんまり考え過ぎずにやって欲しい気がしています。

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