見出し画像

乃木坂46四期生よ、永遠なれ③:清宮レイ

 乃木坂46四期生 清宮レイさんの卒業発表があったのは、5/25。数日前に阪口珠美さんの卒業発表があったばかり、三期生に関してはある程度覚悟していたものの、四期生はまだないだろう、と勝手に思ってしまっていたので、衝撃でした。


・遍歴

 加入直後のお見立て会でセンターを務めた一人ではありますが、その後はさほど人気(握手売上)の突出はなく、四期生曲のポジションもそれほど良くはありませんでした。
 しかし、『乃木坂どこへ』での積極性のお陰もあってか、突出とは言えないまでも、トップクラスの人気を得て、26枚目シングル『僕は僕を好きになる』で初選抜。
 ただしこの26枚目の段階での選抜入りは、少なくとも私の目には、やや抜擢気味に映りました。ミーグリ売上も含めて、早川さんや掛橋さんより明らかに優れている点は、私には分かりませんでした。ただしもちろん、劣っているとも思いませんでしたので、運営の期待度なんだろうなあ、と何となく考えていた記憶があります。


・ミーグリ

 その後は連続での選抜起用が続きました。そんな期間中に、私は清宮さんの人柄について記事を書き、清宮さんはどんな立場になろうと積極的に活動に臨んでくれるはず、というような言葉で結んだのですが、わざわざそんなことを書いたのは、この時点(29枚目シングル期間)でミーグリ完売数の雲行きが怪しかったからです。

 その少し前、『Time Flies』でも完売はなかったのですが、こちらはアルバムで単価が高く、同列には語れないと思っていたのものの、29枚目でもそれまでに比べて、明らかに完売速度が落ちていました。30枚目でも選抜入りしたものの、完売数低下の流れは止まらず、シングル期間中に一部休業となりました。

 タイミングからして、ミーグリ完売数低下に大きく影響したのは五期生の加入でしょう。新規期生の加入により先輩の完売数が減る、完売速度が鈍る、という現象は、乃木坂46ではよくあることです。しかしそれにも個人差があり、全く減らない人もいれば、大きく減らしてしまう人もいます。清宮さんの完売数減少はあまりにもあからさまで、アイドルオタクの腐った部分を見せられたようで、非常に嫌な気分でした。

 清宮さんの30枚目期間途中からの一部休業は、ミーグリ完売数の下落が影響したと私は思っていますが、根拠はありません。ただ、
「レイちゃん可愛い~」
「応援してるよ~」
 なんて言ってた連中の足があからさまに遠のくのは、普通に考えればショックであり、ファンに対する不信感が募ったとしてもおかしくないでしょう。


・アンダーへ

 その点はおくとしても、31枚目は不参加となり、32枚目はアンダーとして復帰。その後、ミーグリ完売数が回復することはなく、アンダーとして活動を終えることになりました。

 本人の前向きさとは裏腹に、ミーグリ売上で序列を決めるビジネスのやり方と、ミーグリ人気というものの不確実性に翻弄されることになってしまった。清宮さんの活動を振り返った時に最初に私の心に浮かぶのは、そのことです。
 清宮さんやそのファンの人達にしてみれば、そんな一部、一面のみを取り上げて拡大されてはたまったものではないでしょうが、その歪さは、どうしても避けては通れません。

 順調に活動し、高校卒業後は進学せずにアイドル活動一本に絞ったのに、その途端にミーグリ人気を理由にアンダーとなってメディア露出が減ってしまった。このような目に遭ったのは、私が知る限りは中田花奈さんだけです。


・私見

 ここは、私の主観が入り過ぎているので、そのつもりで読んで頂きたいのですが。
 新しいメンバーを入れてそちらに売上を移して行く、という自転車操業でしかビジネスを維持出来ない脆弱さ。
 そこで売上が低下してしまったメンバーに対して、実力不足と断じたり嘲笑して恥じない一部の害悪ファンの存在。
 歌やダンスやエンターテイメントの実力とは何の関係もない、浮薄なものでしかない握手・ミーグリ人気を極度に重視して序列を決める歪んだやり方。
 AKB48の頃から二十年以上構造が変わらない(変えようとしない?)『大人数女性アイドルグループ』というビジネスに対して、清宮さんは見切りをつけたのでないか、と私には思えます。
 もちろん、メンバー、スタッフ、まともなファンへの愛情や感謝は、きちんと持っているはずですが、それを持っていたとて、職業に見切りをつけることは有り得ます。

 卒業前の定番とも言える写真集の発売もなく(選抜経験回数の実績からして、話が無かったとは思えません)、ドレス姿ではなくスーツ姿で卒業セレモニーに臨み、ラジオや配信の最後まで湿っぽさ皆無で明るく終えたのは、乃木坂46の卒業での定型に対する違和感があったから、とも取れます。

 ミーグリ人気の上下でメンバーを格付けしているような連中は、選抜常連からいわば転落した彼女のことを嘲笑して悦に入っているかも知れませんが、視点を変えれば、そういう連中も見切られた訳です。
 もちろん、推しのミーグリ人気確保に腐心している私のようなファンも、見切られたうちの一人でしかないため、偉そうなことは言えないのですが…


・貢献

 私の憶測はさておき、清宮さんの明るく積極的な振る舞いは、グループ内で果たした役割は大きかったと思います。私の印象に残っているのは、『乃木撮2』の写真。もうかなり前の出版なので、写真を載せてしまいます。

乃木撮2 より

 『夜明けまで強がらなくていい』の選抜発表時、センターに抜擢されて動揺する遠藤さんを元気付けているうちに、「レイ、本当にありがとう」と遠藤さんに抱き付かれた時の写真、です。今とは別人のように弱っちい遠藤さんの泣き顔に対して、抱き付かれて慌てた様子の清宮さんは今とあまり変わらないのが、特に好きな写真です。

 清宮さんが遠藤さんを励ましたのは、恐らく深く考えてではなく、咄嗟にとった行動ではないでしょうか。私が思うに、人間の行動とはいちいち綿密に計算してから行うものではなく、咄嗟の感情に従うものがほとんどだろうから、です。
 そうした行動をしたのは、清宮さんがそういう人だから、ということを端的に表していると、私は思っています。


・アンダーライブにて

 35thアンダーライブ最終日。アンコールは、清宮さんの有観客での卒業セレモニーのようにもなりました。

 最後に清宮さんが語った、
「ここで流した汗と涙は、無駄ではなかったのだと願いたいです」
 という言葉。
 『革命児宣言』の時以外、一貫して堂々と座長を務めていた筒井さんが、涙で声を詰まらせて絞り出した、
「…よく頑張った。大好き!」
 という言葉。

 ああした感情的な場で出た言葉で全てを解釈してしまうのは危険なのですが、それを分かっていても、様々な想像をせずにはいられません。

 清宮さんは、こちらの想像以上に前から卒業を意識しており、真摯で前向きな態度を保ってくれていたものの、アイドルを続けることには少なからぬ苦しみが伴っていたこと。
 そうしたことを、筒井さんは知っていたか、少なくとも感じ取っていたであろうこと。だから、「よく頑張った」と言ったのだと思います。

 積極的に起用され、コンビ感全開で楽し気に選抜として活動して来た二人。しかしやがて選抜とアンダーという場にそれぞれ分かれることになりました。

 邪推に過ぎませんが、当時、二人の心境には何らかの変化はあったと思います。芸能界に身を置いている以上、メディア露出量に大きな差が生じれば、完全に無視出来るはずがありません。
 それでも、二人は共に歩んで来た。複雑な心境があったとしても、それなりに処理して、仲間への情愛へと昇華して、支え合って来たのでしょう。二人の普段の様子から想像するに、積極的に悩みを吐露し合ったとは言い切れませんが、お互いの気持ちを慮りながら、そっと寄り添って来たはずです。そうでなければ、アンダーライブの最後でのあの場面が生まれるとは思えません。
 ファンの側が勝手に美化したストーリーに過ぎない可能性は承知の上で、私はそう信じたいと思います。


・最後に

 こんなに長くやっているとは思わなかった、と振り返ったアイドル時代は、どうだったでしょうか。時には勝手に押し付けられるファンの期待や、あずかり知らぬところで形成されてしまう自分のイメージに、戸惑うこともあったと思います。
 賢明なあなたには、それすらも想定の範囲内で、諦めを持って受け入れていたのかも知れません。それとも内心では、苛立つこともあったでしょうか。

 どちらであったとしても、あなたの笑顔が好きだった人、あなたの笑顔に助けられた人がいる事実は、動きません。それが今後のあなたの人生にとって、何らかの意義があるものであって欲しいと、心から願っています。

 四期生のことを明るく照らしてくれて、ありがとうございました。

 卒業、おめでとう。
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?