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マッチングサービスのビジネスモデル 各モデルの利点・欠点

先日の記事では、多岐にわたるマッチングサービスの種別についてご紹介しました。
そちらを見ていただければ分かる通り、ひとえに『マッチングサービス』と言っても、対象者・対象物・ビジネスモデル等は様々です。

今回はその『ビジネスモデル』の部分に焦点を当て、世の中のマッチングサービスがどのような形で収益を上げているのか、各モデルを深堀りしてみたいと思います。


『掲載料型』『有料会員制』のマッチングサービス

まずはプラットフォームを作り、そこに掲載する際、料金が発生するタイプのマッチングサービスです。

登録者全員、もしくは片方のサイドの全員に毎月固定の金額を請求します。
『求人サイト』や『ビジネスマッチング』の一部はこのような形態を取っています。
また『結婚相談所』についてもこの形態が多いです。

なお基本無料で登録を行い、その後有料サービスへ案内する『フリーミアムモデル』については後ほど扱います。ここでは初回登録から料金が発生するサービスのみをご紹介します。

『掲載料型』『有料会員制』の主要なマッチングサービス事例

  • リクナビNEXT、マイナビ転職

  • Wantedly(無料期間有り)

  • 結婚相談所各社

  • 比較biz

  • アイミツ(別途成果報酬有り)

  • チラCEO

  • SUUMO

  • athome

  • gooネット中古車・gooバイク等

『掲載料型』『有料会員制』マッチングサービスの有利な点

登録した段階から費用が発生するので、安定した収益が望めます
また、登録者は皆お金を払って登録しているため『本気の登録者』だけに厳選することが可能です。
よって『質の高いマッチングサービス』として売り出すことが可能になります。

また、『掲載料型』のサービスについては、あくまで責任を負うのは『掲載すること』なので、その後の折衝については基本的に干渉しません。
コミュニケーションツールも用意しないケースが多いです。

きちんとサービスとして成立した場合は、大変強いビジネスモデルです。

『掲載料型』『有料会員制』マッチングサービスの難しい点

逆に言えば、登録者は皆お金を払っているため、確実なマッチングを望みます
よってマッチングサービスを始める時点で、ある程度の登録者が必要です。
せっかく毎月の掲載料を支払ったのに、マッチング相手が全くいなかったらどうでしょうか。そんなサービスはすぐ退会してしまうことでしょう。
なのでサービス開始時点で、相当な資金力かコネクションが必要です。
(多くの場合、雑誌刊行を行っていたブランド価値のある会社が多いです)

また、高度なサポートを要求されるケースも多くあります。
例えば『求人媒体』では、担当者が付いて原稿作成や編集等を行うサービスが多いです。
『結婚相談所』では、適切な紹介やマッチング相手の質、利用者からの相談等に乗る必要があるでしょう。
作った後は放置しておく……という形では、フリーミアム型のマッチングサービスに勝てないため、ユーザーを繋ぎ止めておくための工夫が求められます。

『フリーミアム型』のマッチングサービス

先程の項目と少し重なりますが、
こちらは『登録自体は無料で行い、その後有料プランに導入する』タイプのマッチングサービスです。

『掲載無料の求人媒体』等はここに該当します。また多くの『恋愛系マッチングサービス』もこの形態が多いです。
有料プランの事例としては『メッセージを一定以上送ることができる』『検索結果等で目立つ位置に掲載される』『一定数アポを仲介してくれる』といったプランがあります。

『フリーミアム型』の主要なマッチングサービス事例

  • 恋愛系マッチングサービス各種

  • indeed

  • 発注ナビ

  • メディアレーダー、クラウドレーダー、グローバルレーダー

  • エキテン…等

『フリーミアム型』マッチングサービスの有利な点

『フリーミアム型』の利点は、何と言っても無料なので人が集まりやすいことです。
登録しても損することは基本無いので、それなりに形が整っているのなら、広告を打つだけで多くの人・会社が登録を行ってくれるでしょう。
それだけで、マッチングサービス最大の課題である『登録者を集めること』がクリアできます。

また求人情報等、検索エンジンに公開して良い情報であれば、無料登録してくれた人の情報がそのままコンテンツとなり、検索上位を狙える形になります。
今からマッチングサービスを始める人には、基本的におすすめなビジネスモデルです。

『フリーミアム型』マッチングサービスの難しい点

まずは一番のハードルとして『どのように有料ユーザーへ転換させるか』という課題があります。
もし無料でもどんどんマッチングできるのであれば、誰も有料ユーザーになろうとはしないでしょう。かといって無料ユーザーを一切マッチングさせないのであれば、それはそれで『本当にお金を払えばマッチングできるのだろうか?』と不安にさせることとなります。このあたりはうまくバランスを取ることが必要です。

また、忘れがちな点ですが『無料ユーザーにもコストは掛かります
サーバリソースやメール発信のコスト、カスタマー対応等の人件費も必要です。
そして無料サービスでは、規約違反の投稿をしたり、不適切な書き込みをする人も出てきます。そういったユーザーへの対応にもコストがかかるでしょう。

更に無料であるがゆえに『放置ユーザー』も増えることとなります。
アクティブユーザーが放置ユーザーにコンタクトを取ったところで、返ってこない返事に時間を奪われるだけとなってしまいます。
よって『放置ユーザー相手にマッチングさせない』仕組み作り等も必要です。

『成果報酬型』のマッチングサービス

次にご紹介するのは『成果報酬型』のマッチングサービスです。

基本的に、すべての人が無料でプラットフォームを利用することが出来ます。
しかし実際にマッチングが行われた際、固定費用、もしくは取引金額の一定割合を取得する形となります。

よってこの形態を取るサービスは、物やサービス等を介在する形のマッチングが多いです。

『成果報酬型』の主要なマッチングサービス事例

  • メルカリ等のフリマアプリ

  • ヤフオク等のオークションサイト

  • Uber、Uber eats

  • ランサーズ・クラウドワークス等のクラウドソーシングサイト

  • airbnb

  • 転職エージェント各社

  • Amazonマーケットプレイス

  • ミツモア

  • M&Aサービス各社…等

『成果報酬型』マッチングサービスの有利な点

こちらもフリーミアム型マッチングサイトと同じく、登録者を比較的用意に集めることが出来ます。(注:"比較的"用意にです。プラットフォームを用意しても広告などを打たない限り登録者は集まりません)

そして継続的な報酬を得ることができるという利点もあります。
多くのマッチングサービスの形態は『マッチングしたら終了』となってしまいます。しかしこの形態のマッチングサービスでは、『継続的な取引』が行われるケースも少なく有りません。
もし毎月取引が続くような契約がなされた場合、毎月仲介手数料をプラットフォーム側が得ることになります。

更に高額手数料を取得できるケースがあるのも、このビジネスモデルの特徴です。
例えば高額の取引を仲介したとしても、『掲載料型』『フリーミアム型』のサービスでは基本的に毎月の利用料しか得ることが出来ません。
しかし『成果報酬型』のマッチングサービスで1,000万円の取引を仲介した場合は、5%~20% = 50万円~200万円程の手数料を得ることができるのです。
これは他の形態と違う大きなメリットです。

『成果報酬型』マッチングサービスの難しい点

一方で、成果報酬型にもデメリットはあります。
まず大前提として『マッチングが成立しない限り料金が発生しません』
どれだけ広告を打ち、人が集まってリソースを割いたとしても、取引が行われなければ無収入となります。

更に『サービス外での取引が行われるケースも多い』点が挙げられます。
マッチングサービス内で知り合った後、契約者は5%~20%の手数料を支払うことになりますが、気持ちよく支払う人ばかりではありません。
特に高額取引や継続的な取引が行われる場合、サービス外での取引を提案するユーザーも多少なりとも出てくることでしょう。

もちろん規約違反であり、法律違反である可能性もありますが、それを把握することも、証拠を握ることもなかなか難しいです。

またこのビジネスモデルでは『取引の完遂まで責任が発生する』という特徴もあります。
取引のすべてが上手くいくこと等ありえません。「プロジェクトが頓挫した」「報酬に見合った成果物を得られなかった」「連絡が取れなくなった」等、数々のトラブルが発生することとなります。
そういった際、中に浮いた金額をどのようにするのか。返金するのか、支払いを完遂するのか、運営側に判断が求められることとなります。
そういった事案に対する対応リソースも割かなければなりません。

『WEB広告掲載』型のマッチングサービス

最後にご紹介するのは『WEB広告掲載』型のマッチングサービスです。

この形態では、利用者へ費用を請求しません
場所を提供し、ユーザーを集めた上で、あとは自由にマッチングしてもらいます。
収益は、プラットフォーム上に掲載する広告から得ることになります。クリック報酬・アフェリエイト報酬が収益です。

『成果報酬型』の主要なマッチングサービス事例

  • ジモティー

  • オンラインゲームのコミュニティ

  • 各種掲示板サービス…等

『成果報酬型』マッチングサービスの有利な点

まずは『導入コスト・維持コストの安さ』が挙げられます。
マッチング相手同士が会話できれば成り立つので、wordpressや、無料CMS、ノーコードツール等で簡単に作ることが可能です。

また仲介するわけでも、有料会員サービスを提供するわけでもないので、決済サービスや売上受取サービス等も考える必要はありません。
ある程度コミュニティが育ったら、Google Adsense等に申し込み、広告を貼り付けるだけです。

ユーザーから相談やクレームがあった場合も、顧客という訳ではないので、対応するかどうかあなたが決めることができます。
うまく回っているのであれば、ほぼ放置することも可能です。

『WEB広告掲載型』マッチングサービスの難しい点

広告収益について時に簡単に考える人もいますが、皆さんが想像している以上にWEBの広告収益というのは少ないです。
業種やクリック率等によって違うので一概に言えませんが、毎月100万PVを記録できたとしても、得られるのは20万円~良くても50万円程度でしょう。
個人のお小遣い稼ぎとしてはいいかもしれませんが、法人の収益としては足りません。

そのように多額の収益が期待できないので、広告を打って人を集める…という手段も使いにくいです。
自分がコミュニティの先頭に立って、地道に人を集めていくか、ゲーム等別サービスに付随してサービスを育てていく必要があります。

また、『維持コストが安い』というお話をしましたが、完全に手間をかけなくていい訳では有りません
スパムや販売業者の書き込みを削除したりはもちろん、不適切な書き込み、誹謗中傷、著作権違反のコンテンツ等が上げられていないか、日々監視する必要があります。

基本的に『事業として成り立つか』と言われると、正直微妙なビジネスモデルです。オプションとして有料プランを用意する・本業への誘導につなげるといった工夫が必要になります。

ビジネスモデルについて熟考した上でのスタートを

各種マッチングサービスのマネタイズ方法について、今回はご紹介しました。
ただ、すべてのサービスがこちらに当てはまる訳では有りません。
『掲載料』を取るうえで、更に『成果報酬』を取るマッチングサービスもありますし、『広告費』をメインにして、オプションサービスとして課金させるサービスもあります。

重要なのは、『どの形で課金するのがユーザーにとって最適なのか』更に『その課金形態でサービスを持続することができるのかどうか』という点です。
マッチングサービスはマッチング相手が存在すれば成り立つサービスですが、だからこそ高度なマネタイズ方法が求められます。

今回取り上げられなかった部分を含め、ぜひ以下の点について考えてみてください。これら全てに十分な回答ができた時、初めてすばらしいマッチングサービスができるでしょう。

以下の点について確認してみよう

  • ターゲット市場と顧客ニーズ

    • 誰と誰をマッチングさせるのか?

    • そのマッチングにどのような需要があるのか?

    • 既存の解決方法では不十分な点は何か?

  • 収益モデルの選択

    • 掲載料型、有料会員制、フリーミアム型、成果報酬型のうち、どれが最適か?

    • 選択した収益モデルはターゲット市場に適しているか?

    • 複数の収益モデルを組み合わせる可能性はあるか?

  • 差別化要因

    • 既存のマッチングサービスと比べて、どのような独自性があるか?

    • その独自性は顧客にとって価値があるものか?

    • 業界大手がそのマッチングサービスを作っていない理由は?

    • 過去に撤退した同様のサービスはあるか、なぜ撤退したのか?

  • ユーザー獲得戦略

    • 初期のユーザーをどのように獲得するか?

    • 両サイド(例:求職者と企業)のユーザーをバランスよく獲得できるか?

    • ユーザー獲得にかかるコストはどの程度か?

  • プラットフォームの信頼性と安全性

    • どのようなトラブルが考えられるか?

    • 不適切なユーザーや詐欺行為にどう対処するか?

    • トラブル発生時の対応方針は?

  • マッチングについて

    • マッチングアルゴリズムの精度はどの程度必要か?

    • ユーザーにとって使いやすいインターフェースをどう設計するか?

    • アプリとWEBサービス、どちらが適しているか?

  • スケーラビリティ

    • サービスの成長に伴い、システムはどの程度拡張可能か?

    • 運営体制は拡大に対応できるか?

  • 法的リスクと規制

    • 関連する法律や規制にはどのようなものがあるか?

    • コンプライアンス遵守のためにどのような対策が必要か?

  • 長期的な収益性と持続可能性

    • 顧客生涯価値(LTV)はどの程度か?

    • 顧客獲得コスト(CAC)との関係は適切か?

    • リピート率や継続利用率を高めるための戦略は?

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