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【乳がん闘病記:56】確証バイアスから逃れる。情報との向き合い方。

今日は8月22日日曜日。
20日に放射線治療16回目を終え、残る4回はがん細胞があった乳頭付近のみの集中照射となるらしく、新たな線が幾つか書き加えられました。

ピカソの抽象画
もしくは魔界から誰かを召喚するような謎の記号が描かれた右胸。
ここまでくるとアートとして誰かに見せたくなってきます(笑)。

さて、治療は順調なので今回は予告した通りメンタル系で。

自分がなって思うのだけれど
がんほど様々な情報が出回っていて様々な考え方がある病気ってないんじゃないでしょうか。

まず病気の種類も多種多様だし、検査方法も治療方法も様々。
治療方法なんて医療系から民間療法まで幅広く存在するし、同じ治療を選択したとしても経過は人それぞれだったりする。

病院では病気や治療方法について
お医者様から沢山のメリット、デメリットを聞く。
そしてそのことについて、また更に自分で調べたり人に尋ねたり。

まぁとにかく病気の戦いとは情報との闘い、と言ってもいいんじゃないかと思うほど(笑)。

あ、でもこれは人によるかもですね。
お医者様を全面的に信じて、全てお任せ、という方もいらっしゃいますよね。

私は結構、納得がいくまで説明を聞きたいし自分でも調べたい派です。
そして何でも自分の意思で決めたい派。

でも、仕入れた情報に溺れて我を忘れないように、心掛けていたことが2つあります。
それは

・信じすぎない、疑いすぎない。
・必ず直感に問いかけて決める。

は?そんなこと?
それくらいみんなやってるでしょって思われるでしょうか?
でもこれって、意外と出来ていなかったりするんですよ。

昨年、とある方から頼まれて
本の朗読を音声ファイルにして渡すお仕事をしたことがあって
何冊か読んだ中に「バイアスの罠」という本があったんです。

バイアスとは思い込み、錯覚、偏りなどの意味がある言葉だそうです。
私達の脳は意外とバイアスに邪魔されて正確な判断が出来ていない、ということを様々な実験から立証した論文が書かれていて
正直難解な部分も多かったのですが、1つ1つのバイアスは「ソレ!思い当たることあるある!!」って思える身近な思考でなかなか面白い本でした。

その本で解説されていたバイアスの1つが「確証バイアス」
wikipediaより引用すると

確証バイアス(かくしょうバイアス、英: confirmation bias)とは、認知心理学や社会心理学における用語で、仮説や信念を検証する際にそれを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視または集めようとしない傾向のこと[1]。認知バイアスの一種。また、その結果として稀な事象の起こる確率を過大評価しがちであることも知られている[2]。

実は私、いっちばん最初にこの確証バイアスに引っ掛かりました。
最初にしこりに触れた時です。
闘病記1から2に当時のことは書いていますが
私は自分ががんであるはずがない、という思い込みから
自分のしこりは柔らかいタイプと思う、そして柔らかいしこりは良性腫瘍であるケースがほとんど、という情報ばかりを取り入れ
悪性の症状については自分の症状と違うものばかりを無意識に選んでいました。
自分の考え方を支持する情報ばかりが目に止まる、まさに確証バイアスにやられていたのです。

そんな私をバイアスから救ってくれたのはナツコ。
(ナツコについては闘病記:2をご参照下さい。)

ナツコとの対話。
度々私の闘病記の中には出て来ますが
これが私の場合の「直感に問いかける」という行為に当たります。
直感と思い込みって紙一重だったりするから線引きも難しいところですが
心の中にいる第三者と会話するイメージにしてみると分かりやすいかもです。

そして直感と偶然に任せて選んだ今お世話になっている病院のお医者様。
先生が確証バイアスに引っ掛かる方でなくて良かった。
マンモ検査で腫瘍が映らず、「恐らくは良性」と診断した上で
「でも、絶対とは言えない、滅多にないけどこういう場合も悪性だったことがあるから。」と針生検を勧めてくれたお陰で超早期発見へと繋がったんですもん。

この一件があって以降
私は益々「確証バイアス」にだけは気を付けよう、と思うようになりました。
特に情報に対する心の距離感に気を付けるようになりました。
「信じすぎない、疑いすぎない」ってヤツです。

病気について、治療について、今後の経過について
性分なので説明は聞くし、調べるし、確認します。
でも、どんな情報にも一定の距離を取るようにしています。
熱烈に支持することも、極端にシャットアウトすることも基本しない。
(ただし詐欺まがいの情報は完全シャットアウトします)

あ、だから、プロローグでも書きましたけど
私のこのマガジンも信用しすぎないで下さいね(笑)
これは私の主観がたっぷり入った、単なる闘病日記ですから。

何か情報を得たら心の中で
「・・・っていう情報もあるんだ。」と呟くようにしています。
どんな情報とも出来るだけフラットなお付き合いを。
で、最後にナツコと話す(笑)。

まぁ、あくまでも私の方法ですけどね。

ちなみによく災害時などに耳にする「正常性バイアス」
がんの発見を遅らせるバイアスとして有名です。
実はこのバイアスにも私、一番最初引っ掛かりました。
「自分ががんになるワケがない」っていうアレです。

バイアスについて興味が出て来た方は
どうだろ、このページなんか分かりやすいかな↓↓↓。

脳は意外と簡単に騙されるっぽいので(笑)
情報を取り入れる際は、こうしたバイアスがあるんだよ~ってことだけでも
心に留めておくと良いかもです。

さて、何だか哲学のコーナーみたいになってしまいましたが今回はこの辺で。
次回はそろそろ放射線治療が終了するので、放射線治療を総括でもしてみようかと思いま~す。

自分の治療や生活は何とかなるので、もしサポート頂けましたらご支援は近くの保護猫支援団体に寄付させて頂こうと思います。ネコ達に沢山生きる力をもらってきたから、せめてもの恩返しに。