電子記録債権・債務の開示基準

こんにちは。

今回のテーマは開示の中でも特に四半期決算で判断に迷う電子記録債権・債務の別掲基準について記載しようと思います。

電子記録債権・債務の処理については実務対応報告第 27 号「電子記録債権に係る会計処理及び表示についての実務上の取扱い」に定めらてれいます。

また、開示についても同取扱いに下記のように定められています。

「貸借対照表上、手形債権が指名債権とは別に区分掲記される取引1に関しては、電子記録債権についても指名債権とは別に区分掲記することとし、「電子記録債権(又は電子記録債務)」等、電子記録債権を示す科目をもって表示する2。このため、発生記録により売掛金に関連して電子記録債権を発生させた場合には、電子記録債権を示す科目に振り替え3、また、譲渡記録により当該電子記録債権を譲渡する4際に、保証記録も行っている場合には、受取手形の割引高又は裏書譲渡高と同様に、財務諸表に注記を行う。

1 例えば、売掛金や買掛金に係る取引が該当する。
2貸付金や借入金等については、現行の企業会計上、証書貸付や手形貸付等に区分掲記せずに「貸付金」「借入金」等として表示していることから、それらに関連して電子記録債権が発生しても手形債権に準じて取り扱うため、科目は振り替えないことになる。また、手形債権が指名債権とは別に区分掲記される取引であっても、重要性が乏しい場合には、電子記録債権を区分掲記ではなく手形債権に含めて表示することができる。

3 現行の企業会計上、営業取引により発生した債権及び債務(営業債権及び債務)については、貸借対照表上、「売掛金」「受取手形」のように法的な形態に沿って表示することから、その性質を示す適当な科目で表示することが適当と考えられる。しかし、重要性が乏しいときには、「受取手形」(又は「支払手形」)に含めて表示することができる(脚注 2 また書き参照)。 4消滅の認識要件(企業会計基準第 10 号「金融商品に関する会計基準」第 8 項及び第 9 項)を満たしていることを前提としている。


ここで疑問に思うこととしては、

①重要性が乏しい場合って具体的にいくらなのか?

②四半期決算では電子記録債権・債務の開示が不要なのか?

の2点があるのではないでしょうか。

それでは、これから上記2点について考察していきたいと思います!


①重要性が乏しい場合って具体的にいくらなのか?

同取扱いには「重要性が乏しい場合には、電子記録債権を区分掲記ではなく手形債権に含めて表示することができる。」以上の記載はなく、財務諸表等規則にも流動資産の範囲が記載される第15条②2等に「通常の取引に基づいて発生した電子記録債権」と記載されていますが、電子記録債権に関する別掲基準は特にございません。

そのため、金額基準としては、財務諸表等規則第19条等の「総資産の5%超」ルールで判断することになると考えます。(筆者が一部上場企業の経理部に勤務していた時も、大手監査法人から上記の基準に照らして判断するように指導されたことがあります。)

②四半期決算では電子記録債権・債務の開示が不要なのか?

四半期ではより判断に迷ってしまう理由として、四半期財務諸表等規則には電子記録債権という文言が出てこないため、「四半期では別掲不要なのか⁈」と思ってしまうためではないでしょうか。

しかし、四半期決算においても、電子記録債権・債務の重要性が高ければ別掲する必要があると考えます。

その重要性の指標としては、年度と同様、四半期財務諸表等規則第30条等の「総資産の10%超」ルールで判断することになるでしょう。


時代は令和。すっかり電子決済が普及しているため、早急に電子記録債権・債務の開示基準が明確になることを祈るばかりです。。。



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