有償支給(新収益認識編)
お疲れ様です!前回は有償支給の定義や現状の処理について記載させていただきました。収益認識の改正により有償支給を行っている会社は論点が発生します。
当改正において重要なことは「買戻義務」です。「買戻義務」とは名前の通り、会社が外注先に対して支給した加工品について買い戻す義務のことです。当該義務を有しているかどうかで会計処理が異なることが改正箇所となります。
前回と同様の例を用いて見ていきます。
ex)
<条件>
(1) 材料10千円を仕入れ、現金で支払った。
(2) 上記材料を外注先X社に対し、15千円で譲渡した。
(3) X社から上記材料全てを加工した部品を25千円で買い取った。
(4) X社に対し、買い取った金額を現金で支払った。
(5) 有償支給した際の債権を回収した。
<仕訳>(棚卸資産については勘定科目を「棚卸資産」とする。
①買戻義務を負っていない場合
(1) 棚卸資産 10 / 現金 10
(2) 未収入金 15 / 棚卸資産 10
/ 有償支給取引に係る負債 5
(3) 棚卸資産 20 / 買掛金 25
有償支給取引に係る負債 5 /
(4) 買掛金 25 / 現金 25
(5) 現金 15 / 未収入金 15
②買戻義務を負っている場合
(1) 棚卸資産 10 / 現金 10
(2) 未収入金 15 / 有償支給取引に係る負債 15
(3) 棚卸資産 10 / 買掛金 25
有償支給取引に係る負債 15 /
(4) 買掛金 25 / 現金 25
(5) 現金 15 / 未収入金 15
買戻義務を負ってない場合においては、支給品に係る在庫リスクは外注先であるX社が負っているため、材料の払出を認識し、払出額と支給額の差額については、「有償支給に係る負債」の勘定で認識を行う。
一方で、買戻義務を負っている場合、棚卸資産に対する支配は外注先X社に移転していないことから、棚卸資産の払出は認識せず、当社の棚卸資産として引き続き認識される。
有償支給取引を行われている会社は、買戻義務の有無を調査しましょう。
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