金融商品におけるIFRSの取扱い(社債について)

 お疲れ様です。期末が徐々に近づいてきましたね。
 当たり前ですが、期末が終わると同時に翌期が始まります。2021年4月からの会計年度では、ついに収益認識基準の適用が始まり、また、時価の算定に関する会計基準の適用もあります。徐々にIFRSの考え方の取り入れが進んできており、IFRS導入する会社もこのようなコロナ化の状況であれ、少なくありません。そこで今日は、金融商品におけるIFRSの取扱い、その中でも日本基準との差異として社債について紹介していきたいと思います。

 日本基準の社債の処理として、社債が割引発行もしくは打歩発行された場合には償却原価法に基づいて算定された価額をもって、貸借対照表価額とします。償却原価法の原則法は利息法ですが、簡便法である定額法での処理も認められています。
 一方IFRSでは、実効金利法を用いて償却原価を算定するとしています。実効金利法の計算方法は利息法と一部異なる点はあるものの近似していますが、IFRSでは日本基準のように簡便法は認められていない点は留意しなければならない箇所となります。

 また、実務においては割引発行や打歩発行ではなく額面金額で発行される平価発行で行われることも少なくないと思います。その際、日本基準では額面金額を貸借対照表価額とします。その際発生した社債発行費については、原則支出時に費用処理、容認規程として繰延資産計上と定義されています。
 一方、IFRSでは社債の発行に直接起因する取引コストを控除した金額を当初測定額とし、償却原価法を用いて計算する必要があります。

ex) 社債(取得金額:800,000千円 額面金額:800,000千円 社債発行費用:20,000千円 固定利率:3%(利払いは決算月の年1回払)
①日本基準
取得時: 現金預金 800,000 / 社債 800,000
     社債発行費 20,000  / 現金預金 20,000
利払時: 社債利息 24,000   / 現金預金 24,000

②IFRS
取得時: 現金預金 780,000 / 社債     780,000
利払時: 社債利息 30,413   /   現金預金   24,000
                社債        6,413
(実効利子率は、取得金額780,000千円、額面金額800,000千円と考え、利息法の計算方法を用いて算定する)

上記の仕訳のように、たとえ額面金額での発行であったとしてもGAAP差が発生することに留意しましょう。

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