~収益認識基準~ 契約資産・契約負債とは

お疲れ様です。
3月決算の会社は、今週来週が一番のピークではないでしょうか。とにかく睡眠は確保しましょう。
本日は収益認識編第3弾として、開示に関する論点の話をしたいと思います。今回取り上げるのは契約資産・契約負債に関してです。収益認識に関する基準79項に以下の記載が示されています。

「企業が履行している場合又は企業が履行する前に顧客から対価を受け取る場合には、企業の履行と顧客の支払との関係に基づき、契約資産、契約負債又は債権を適切な科目をもって貸借対照表に表示する。契約資産と債権を区分して表示しない場合は、それぞれの残高を注記する。」

上記のことから、我々は契約資産と債権を区分して把握する必要がでてきます。それでは、この2つの違いは何なのでしょうか。

基準では以下のように記されています。
「契約資産」:企業が顧客に移転した財又はサービスと交換に受け取る対価に対する企業の権利(ただし、債権を除く)をいう。(収益認識基準10項)
「債権」:企業が顧客に移転した財又はサービスと交換に受け取る対価に対する企業の権利のうち無条件のもの(すなわち、対価に対する法的な請求権)をいう。(収益認識基準10項)
 対価に対する企業の権利が無条件であるとは、当該対価を受け取る期限が到来する前に必要となるのが時の経過のみであるものをいう。(収益認識基準150項)

すでに役務提供を果たし、入金を待っている状態のものについては、期限が到来する(時の経過)のみが必要であることになるため「債権」にあたります。逆にそれ以外の要因が存在する場合には契約資産にあたることになります。

ここで一つ具体的な例を挙げておきます。

問.
×1年4月1日にX社が製品A、製品Bをそれぞれ500千円及び1,000千円で販売する契約を締結した。×1年4月30日に製品Aを引渡し、その後×1年6月30日に製品Bを引き渡す。製品Aの対価の支払いは製品Bの引き渡しが完了するまで、請求はできないものとする。

①×1年4月30日
製品Aを引き渡した段階では請求することができず、対価の支払いは留保されるため、以下の仕訳のとおり、契約資産を認識する。
     契約資産 500 / 売上高 500

②×1年6月30日
製品Bを引き渡した段階で、請求する権利を得ることができるため、顧客との契約から生じた債権として売掛金を認識し、製品Aの契約資産を減額する。
    売掛金 1,500 / 売上高  1,000
            契約資産 500

また、契約負債は基準では以下のように記されています。
「契約負債」:財又はサービスを顧客に移転する企業の義務に対して、企業が顧客から対価を受け取ったもの又は対価を受け取る期限が到来しているものをいう。すなわち、契約負債となる対象の科目として、前受金が該当することとなります。

以上より、特に資産側については、従前の処理では集計していなかったものを把握することになるため、早めに集計は現状の資料で可能であるか及び金額はどのくらいであるかなど、調査しておく必要があるかと思います。

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