挨拶
私たち「ロドスの図書館」は、アークナイツの考察を好む人たちが、互いに意見を述べ、情報を共有しながら、アークナイツを考察することを目的とするDiscordサーバーです。
今回は有志により、オペレーターのモジュールについての考察を行い、それらをまとめて記事としました。本記事では前編・後編で計5名のオペレーターのモジュールに関する考察をしています。
勿論、素人の人間の集まりのため内容に正確性を欠く、文章が読みづらい等もあるでしょうが、よろしければ前後編合わせて、お楽しみください。
モジュール考察:パッセンジャー
written by myama(https://twitter.com/Reginleif9)
皆様はじめまして、myamaと申します。今回はパッセンジャーのモジュール考察を担当させていただきます。考察記事を書くのが初めてですので至らない点も多々あると思いますが、よろしくお願いいたします。
パッセンジャーというオペレーターの性質上、モジュールの情報以外にもサイドストーリー「遺塵の道を」についても取り扱っています。またゲーム内でエリオットと記されている箇所は本考察でもエリオットとしています。※エリオットはパッセンジャーの本名です。
モジュール/基本情報について
この基本情報のテキストには、若き日のパッセンジャー(エリオット)の体験について書かれています。
要約すると、
「エリオットはサルカズ傭兵の追っ手から逃れるために、砂嵐や脱水症状に耐えながらもケルシーと共に砂漠を歩き続け、その中でエリオットは生まれて初めて砂を恨んだ。」
といった内容になっています。
せっかくですのでサイドストーリー「遺塵の道を」で語られた時系列を参考に、これはいつの出来事なのか見てみましょう。
長くなってしまったので詳細は省きますが、「遺塵の道を」を参考にするとエリオット保護/出発~砂漠で二人が上記の会話をするまでが最短でも1日、その後砂漠を歩き続け沁礁闇市へ到着するまでさらに時間がかかると考えると、基本情報で語られるのは車両襲撃から沁礁闇市到着の間だと考えられます。
また「遺塵の道を」クエスト説明文ではWD-7、8を除き、サルゴンでの出来事について書かれています。
もしエリオットが最後に見かけた一株のサボテンの先にオアシスがあったとしたら、エリオットが期待するような水のある補給場所に立ち寄れたのかもしれませんね。
モジュール本体について
続いてモジュール本体について見ていきましょう。
この画像からは、電磁調節器本体、昔のパッセンジャーの写真、サルゴンの写真、専門書、真空管のようなもの、以上5つが確認できます。
電磁調節器は言わずもがなこのモジュールの本体になるもので、パッセンジャーの立ち絵でも似たような装備が確認できます。今回バージョンアップを行ったのでしょうか、モジュールは改良版だと思われます。
続いて2枚の写真についてです。これらは最近撮ったものではないと思われ、理由としては言わずもがな1枚はパッセンジャーの若い頃の写真であること、また2枚ともモノクロ写真であることがあげられます。アークナイツの世界において現在はカラー写真がメインであると推測しており、公式サイトのギャラリーで見ることのできる写真や、オペレーターの証明写真はどちらもカラー写真となっています。
余談ですが、パッセンジャーはエリオットの人生を「滑稽な人生」と言っています。
では、20年近く前に撮ったであろう写真を今まで持ち続けていたのでしょうか。
パッセンジャーのプロファイルから分かる通り、彼はサルゴンで自身が二十数年をかけて築き上げた全てをいとも簡単に捨て去っています。
そんな彼が昔の自分の写真をロドスに来てからも捨てずに持ち続けているというのは、この写真が彼にとって重要なものであることを指していると思われます。ですが思い出の品を大事にしているのではなく、過去の自分の愚かさを忘れないためなのではないでしょうか。
また、電磁調節器の下に緑色の本のようなものが確認できます。この本には「A DYNAMICAL THEORY」と書かれており、訳すと動的理論や力学理論といった意味で、表紙に源石のシルエットがあることからおそらく源石を利用した理論の専門書と思われます。この機器を作った際に参考にした専門書かもしれません。
最後に×印のように見えるラインが入った真空管らしき物にも触れておきましょう。
「電磁調節器」の調節の役割を担っているのがこのパーツであると予想されます。真空管は構造によっては高い耐電圧を確保できるとのことで、雷のようなアーツを使用するパッセンジャーが利用していてもおかしくないと考えられます。また左上に2つのストックが用意されているのも、真空管は寿命が短いデメリットを持つゆえに替えを用意していると考えられます。
最後と言いましたがもう一つ触れ忘れていました!これが本当に最後です。画像の一番下のレイヤーにある白い文字のうち解読できたものをご紹介します。それが右端に書いてある文字ですが、「ORIGINIUMS DRIVE TUBE」と書かれています。日本語に訳すとおそらく「源石伝動管」で、ここから源石のエネルギーを伝えてアーツユニットで利用する仕組みになっていると推測できます。調節器の下部にあるオレンジ色の管がこれにあたると思われます。
「源石伝動管」を利用してエネルギーを引き出し、それを真空管によって調節、パッセンジャーが左手に持っているアーツユニット(調節器と繋がっていることが立ち絵から確認できる)から指示を出し、背後にいる自律兵器からアーツを出力している、という仕組みなのではないでしょうか。電気関係が全く分からないながらに仕組みを推測してみました。
モジュールと過去の関連について
最後に、どうしてモジュールの基本情報に過去のパッセンジャーの思い出が記されているのかについて簡単に考察してみましょう。
(モジュールと基本情報に関係があるとは限らず、また以下の考察は妄想とこじつけが多分に含まれています。ご了承ください。)
簡単に言えば、このモジュールを見て過去を思い出した、だと考えます。この電磁調節器のプロトタイプを作った、もしくは考案したのがまだサルゴンにいた頃で、写真に写っているような十代後半の頃だったのではないでしょうか。
今回モジュールとして電磁調節器の改良版を用意するにあたり、開発当時の昔のことを思い出し、過去の自分の愚かさやすべてを変えた事件のこと、エリオットの人生に大きな影響を与えたケルシーと砂漠を共にしたことを回顧したのかもしれません。
以上でパッセンジャーのモジュール考察を終了します。お読みいただきありがとうございました。
参考サイト
モジュール考察:ヴィグナ【ザ・グレイトロック】
written by Dr.CCCC (https://twitter.com/oneto4Cforone)
本記事は、ヴィグナのモジュール「ザ・グレイトロック」についての考察記事です。
先鋒オペレーターとして活躍しているヴィグナ。彼女への理解を深めるために、モジュールをベースに様々な視点からアプローチしてみましょう。
エレキギター
先ずは、ヴィジュアル面から迫っていこう。
複雑な見た目をしているモジュールも多い中、ヴィグナのモジュールはパッと見で分かりやすい。
そう、エレキギターだ。(コーデのギターと同じ)
ギター
ギターストラップ
エフェクター
バッジ&ステッカー?
自主制作したCD?
背景の文字(Vigna Rockwave?)
「Vシェイプ」と呼ばれる特徴的な形をしている。
ギブソン社のフライングVがベースになっていると思われる。高音が弾きやすい、座ったまま弾きづらいなどの特徴があるらしく、多くのアーティストに愛用されている名作のようだ。
クルビアのモチーフをアメリカ前提とした場合、アメリカ出身のギタリストでVシェイプを愛用していたギタリストに Lenny Kravits や Randy Rhoads などが挙げられる。
ヴィグナはクルビアのとあるロックバンドファンであるが、同バンドのギタリストがVシェイプギターを使用していて憧れからチョイスしたのかもしれない。
と述べてはみたものの、実際ヴィグナのモジュール(とコーデ)に採用されたのは単純な見た目のインパクト(ロック感)だけな気もしている。
ギターの左右に3台ずつ添えられているのは、エフェクター。
ギターの音色に変化を与えるものだ。
ライブで、ギタリストが上記の機材を足で踏んでいるのを見たことがある人も多いだろう。
色にこそ特徴はあるが、その他の情報は読み取れない為ここは特に考察の要素はなさそう。ギターストラップも同様。
(各エフェクターに文字が書かれているが読み取れず。左上ピンクのエフェクターに施されているロゴは、コーデブランドAMBIENCE SYNESTHESIAのロゴのようにも見える。)
バッジ&ステッカーは、バンドの物販としてお馴染みのものだ。
ファンは、これでバッグや服をカスタマイズすることも多い。
ヴィグナも、ステッカーで自身のギターをカスタマイズしている。
売れっ子の人気ミュージシャンであれば、別注のオリジナルギターである可能性もあるが、インディーズであろうバンドとなるとステッカーなどを用いた安価なカスタマイズが主だろう。
背景のピンク色で書かれた文字は、全容が掴めないがおそらく
「Vigna Rockwave」
コーデタイトルの「漆黒の熱波」の”波”とも結びつく。
左下の正方形のものは、ディスクジャケットのように見える。
コーデの説明文から、これは実際のステージ衣装且つ、初めて本番で着用した瞬間だということが分かる。
だとすると、「Rockwave」というのは、参加したフェスか箱でのライブタイトルかも知れない。
ピンク色基調だったり、モジュール名の「ザ・グレイトロック」から、UKバンドの SEX PISTOLS が連想されるが、ヴィグナがやっていたバンドはUKパンクテイストだったのだろうか?
(個人的には、ヴィグナはUSの方が好きそうだ。)
ちなみに、SEX PISTOLS のギタリスト Steve Jones が愛用していたギターは個人的にはレスポールの印象だが、FlyingVも愛用していたようだ。
性能面
・モジュール「ザ・グレイトロック」の効果
ステータス:HP+80、攻撃力+40
特性:HPが最大値の40%未満の敵を攻撃時、攻撃力が115%まで上昇
元々のステータスで高い攻撃力に加えて、素質も一緒に嚙み合えば、断続的ではあるが非常に高火力な一発をお見舞いできる内容だ。
一時的ではあるが、瞬間的に高火力が出せる素質とモジュール。
これについては、ヴィグナの逆理演算で分かりやすく述べられてるのでそのまま引用させていただく。
説明文
・前半
講師からとあるバンドマンの説明を受ける。
「ビル・ペルレイ」
ロックの第一人者のような存在だろう。
となると、こちらでいうところのジミヘンこと Jimi Hendrix がそれに近い。
彼もFlying Vのギターを愛用していた。
ビル・ペルレイは、「故郷ーかつてのカズデルに戻るのだ。」と宣言したのを最後に行方が分からなくなったようだが、ここは Jimi Hendrix の最後とは異なる。
彼はドラッグによってこの世を去った。
ただ、いくつもの陰謀論が囁かれており、一概には単純なドラッグ使用による死とも言い切れない模様。
これに照らし合わせると、ビル・ペルレイの失踪(カズデルへの帰還)も本人の意思によるところでは無いと考えることもできるかもしれないが、それでは後半のヴィグナの台詞との乖離が生じてしまうことからその可能性は低い。
この考察を伸ばすには情報が少なすぎるので割愛。
・後半
場面は変わり、ヴィグナの所属しているバンドのライブ前でのドラマーとの会話となる。ドラマーの名前は「フィノ」
ヴィグナは次の質問を向ける。
ヴィグナ:いつかカズデルに戻るって考えたことある?
このヴィグナの問いかけだが、マドロックも同じような帰属意識を口にしている。
フィノの返事はこうだ。
フィノ:なんでカズデルに戻らなきゃいけないんだ?俺はクルビア人だぜ。ここが俺の故郷だ。
ヴィグナと違い、フィノに帰属意識は無かった。
後でも述べるが、世代を重ねるごとに当時の帰属意識が薄らいでいくことは容易に考えられる。
ヴィグナやフィノの世代で帰属意識を抱えている方が珍しい可能性もあるだろう。
説明文前半の描写的に、ヴィグナの帰属意識の芽生えはビル・ペルレイの発言に影響されて、というところが大きそう。
熱狂的なロックバンドファンは時代を遡ってアーティスト掘り、その影響を受ける、ということはよくあるが、フィノはそういうタイプではないのかも知れない。
クルビアについて
帰属意識について言及していきたいところだが、先に、ヴィグナ一家が生活していたクルビアとはどのような国なのか簡単に把握しておきたい。
【組織】
・Black Steel Worldwide(BSW)
・ライン生命ラボラトリー
・レイジアン工業
【都市】
・トカロント
・バンカーヒルシティ
・アイアンフォージシティ
・ニューライバーグ
・サンソフィーシティ
・ランクウッド
【その他】
・マンスフィールド監獄
高い技術力を有した企業に巨大監獄、映画産業(娯楽)もあり、テラの中でも発展した大規模な国であることが分かる。
映画産業が盛んなランクウッド。これはハリウッドがモチーフだろう。
(※)現代では、俳優を商品扱いするのはハリウッドに留まらないが、エフイーターの ”ランクウッドじゃ” という言い方から、他の国ではまだ定着していない売り出し手法かと推測し、ハリウッド発展当初の資料を参考にした。
巨大移動監獄であるマンスフィールド監獄。このモチーフは、監獄として海上で独立している世界最大の刑務所アルカトラズ。
バンカーヒルシティは、そのままアメリカ独立戦争初期のバンカーヒルの戦いから取られたものだろう。
トカロントは、カナダはトロントがモチーフ。
国境付近ということで地理的にも合致する。
その他述べていない企業や都市がまだまだあるが、上記だけでも、前述したようにクルビアのモチーフはアメリカであると推測するに十分だろう。
カズデルについて
続いて、ビル・ペルレイが帰ると宣言した、サルカズの故郷とされるカズデルについて。
マドロックによれば、カズデルは都市の名でも国家の名でもなく、ただの地域の呼び名のようだ。都市(国)として機能していないところがほとんどなのだろう。
所謂、ゲットー地区のようなものが想像される。
地域によっては村長を設けて村として成り立っているところもあり、カズデルでもある程度の生活を機能させている地域もある模様。
また、大きな内戦が勃発した過去もある。
クルビア=アメリカに加えて、カズデル=ゲットー区域という表現をしたが、そう仮定して照らし合わせてみると、薄っすらと、サルカズ族=ユダヤ人?という印象を受ける。
サルカズ族とユダヤ人の歴史を見比べてみよう。
ユダヤ人の歴史
ユダヤ人の迫害の歴史については、当記事にてその全てを語ることは難しく、ごく一部の抜粋とさせていただく。
より詳細な内容は、引用元の資料をご覧いただきたい。
サルカズ族の歴史
その歴史的背景の重さから、引用が多くなってしまったがご容赦願いたい。
戦争、迫害によって居場所を失い、各地へ散り散りとなりながらも差別などの逆風に立ち向かいながら懸命に生きる姿、その血を背負った誇り、たどり着いた地で見せるポテンシャルの高さ、などの様子が重なって見えた。
以上から、サルカズ族=ユダヤ人がモチーフだと受け取ることも難しくないと思う。
サルカズの帰属意識については、ヴィグナ以外のサルカズ人が口にしているところも目にするが、世代が進むにつれ、その帰属意識が薄らいで行くこともまた当然だろう。
我々の世界でも自然に発生している。フィノの返答はまさにそれだ。
だが、この帰属意識。サルカズだけに限定された話ではない。
実際ロドスには、サルカズほど熾烈でなくとも感染などを理由にやむを得ず故郷を離れた他族オペレーターも多く在籍している。
彼(彼女)らが抱える気持ちも、また同様のものだと思う。
正直、これ以上に彼らの感情や思いを汲み取ることは私には難しい。
私には帰ることができる地元があり、そこに親も居る。
そして、ともに不自由ない生活を送ることが出来ている。
様々な理由で故郷を離れたオペレーター達。
帰りたい者、帰りたくない者、答えが出せない者。
一時の気休めでも良い。
ロドスが彼らの帰るべき場所、家となり、少しでも不安や葛藤を和らげられればと願う。
おわりに
ロックンロール、サルカズ、カズデル、クルビア。
ヴィグナを構成する要素からモジュール考察を述べてみた。
何事にも情熱をもって挑む、真っ直ぐなヴィグナそのままを表したモジュールだった。
これほどさっぱりしているサルカズは意外と珍しい。
もちろん、戦闘経験が1年と比較的短く、他のサルカズオペレーターよりも悲惨な戦場の経験がない(少ない)ということも要因としてあるだろう。
しかし、やはりヴィグナの性格そのものによるところが大きいように思う。
サルカズ族の歴史で載せたヴィグナのプロファイルを改めて見てみると、周りの差別された同族を守っていた様子こそあれど、ヴィグナ自身がそれを受けた描写はない。
例えば、両親が社会的に高い立場を獲得しており、そのおかげでヴィグナがそれを受けずに済んだ可能性も考えられるが、"引っ越しを繰り返し"という一文を見るに、やはりこの家族も世間から相応の扱いをされながら、クルビアにたどり着いたと考える方が自然だ。
彼女の正義感、責任感の高さは彼女のプロファイルや回想秘録から十分に読み取れる。
自身への差別経験はあえて述べなかったのではないだろうか。
フィノの言葉に対するヴィグナの返答は書かれていない。
ヴィグナはどう返答したのだろう?
帰属意識はある種の束縛でもある。
ヴィグナ自身の考えを少し整理するきっかけになったかもしれない。
まだはっきりした答えは出ていないだろう。
簡単に答えが出る問題ではないし、出るべきでもない。
どのような答えを出そうが、ヴィグナはヴィグナであり、
依然としてロックンロールを心に掲げ、持ち前の正義感と責任感で任務に臨み、真っ直ぐに生きて行くだろう。
本記事を締め括ろうとしている今、改めて思う。
彼女は魅力あふれる素晴らしい存在だと。
あとがき
はじめまして。今回ヴィグナのモジュール考察記事を執筆させていただきました。CCCCと申します。
拙い文章を最後までお読みいただきありがとうございました。
☆4らしからぬ攻撃力を持つ先鋒、ヴィグナ。今でも多くお世話になっている大好きなオペレーターです。
また、私自身もロックバンドが好きなこともあり、今回ヴィグナを選択させていただきました。
少しでも彼女へ興味を向けるきっかけとなっていれば嬉しく思います。
それでは最後に、私が大好きなヴィグナの1シーンを添えて締めとさせていただきます。
後編記事はこちらから。