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【読書感想文】郡司芽久『キリンのひづめ、ヒトの指』

キリンが大好きでキリン博士になった郡司さん。キリンへの愛は前作で存分に語っていらっしゃいましたが、今回はヒトを含む全ての動物への愛が溢れています。ダダ漏れです。

こういうガチの専門家が真面目に、あたたかさとちょっとのユーモアを交えて書いた本が割と好きです。「へ〜 そういうことだったのかぁ」とか「なるほどねぇ」なんてことから「ん? なにそれ?」「どういうこと??」ということまで色々あるけど、自分の知らないことを知れるのが楽しく、ワクワクします。

今回の『キリンのひづめ、ヒトの指』は郡司さんが大学で行った「動物解剖学」の講義をもとに執筆されたとのことで、動物の身体のいろいろな部位の仕組みや役割、進化の過程などが丁寧に解説されています。

読んでいくうちに、子どもの頃「ことばを話せる動物は人間だけ、だから人間はすごい」というようなことを言われ、とても違和感があったことを思い出しました。犬や猫、鳥などたくさんの動物が鳴き声や動作、匂いなどでコミュニケーションをとっています。仲間同士で意思伝達ができていれば用は足りているし、人間のコミュニケーション方法の方が優れているというのは、どうしても納得がいきませんでした。

郡司さんはこの本の中で繰り返し、優劣はないこと、効率的であることが素晴らしいわけではないこと、デメリットもあるかもしれないけれど、「それでもなんとかうまくやっていける」ということでいいのではないかとおっしゃっています。

自分の身体のことをよく知り自分を大切にする。いい悪いではなく、それぞれの違いを認めて尊重していくことが動物解剖学に基づいて語られていました。

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