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Vol.24 AEROSMITH

98年の映画「アルマゲドン」の主題歌「ミス・ア・シング」で有名なアメリカのバンドですが、ぼくにとっては70年代のロックヒーローであって「ああ、アルマゲドンのね。」と言われるとちょっとカチンときます(この件ではちょっとムキになってしまいます)。

デビューは73年、アメリカでもUKロック全盛の時代(ブリティッシュ・インヴェイジョン=イギリスの侵略といいます)にUKロックにインスパイアされながらもアメリカらしい「スカッと抜けた」独自のサウンドを作り上げました。
そもそもビートルズ以降のUKロックのルーツはアメリカ生まれの黒人音楽(ブルース、ソウル、R&B)ですから、本家への逆輸入といえます。カリフォルニアロールを日本の寿司職人が作るのと同じようなものです。

彼らは70年代前半に素晴らしい作品を立て続けにリリースし世界的なトップアーティストになります。この頃のアルバムはおすすめです。ぜひご一聴いただきたい。

70年代の日本でもエアロスミスはキッス、クイーンと並んで「3大洋楽ロックバンド」という扱いでした。その頃のぼくらにとって彼らのルックスはあまりにも衝撃的で(特にボーカリストのスティーブン・タイラー)、海外のスター(ガイジンといえども人間)というより怪獣や宇宙人のほうが距離が近いように感じたものです。

その後70年代後半にはお決まりのドラッグ依存もあって作品の質も初期には及ばなくなります(個人の感想です)。
それでもアルバムを出せばミリオンセールスですから、けっしてくすぶっていたわけではありませんが。

印象的だったのは86年にRun–D.M.C.が「Walk This Way」をカバーしてヒットさせたことです。
この頃はヒップホップが最先端になり始めた時期で若者にとって70年代ロックは古臭くてカッコ悪い音楽以外のなにものでもなかったはずで、いわばイロモノ的というか悪ふざけのような部分があったようにも思います。ところがこれが非常にカッコいい仕上がりになっていて(当初Run-D.M.C.も乗り気でなかったそうですが)MTVでもよく取り上げれて幅広い層にヒットしました。
オリジナルを知っているオールドタイマーなぼくは「なんだか変な奴らに引っ張り出されてエアロも落ちぶれたものだ」などと思ったものですが、いま聴くとこの新しいバージョンも好きです(もう36年前なんですが)。
ちなみにエアロスミスのオリジナルバージョンは「踊る!さんま御殿!!」のメインテーマになっています。

エアロスミスはいまでもオリジナルメンバーで活動を続けていて(デビュー47周年!)現役バリバリです。いまだにセールスも衰えていませんし、昔の曲ばかりでお茶を濁す再結成バンドとは一味違います。
これはやはりアメリカの音楽産業の骨の太さというか、ロックが幅広く市民権を得ていることが大きいと思います。

そもそもミュージシャン(クリエーター)は年齢とともにその作品が(良くも悪くも)変化するのが当たり前であって、時とともにオーディエンスが離れていくことも避けられません。つまり長く食っていくのはとてもむずかしい。
でもアメリカの音楽産業は(これまた良くも悪くも)作品を商業として成立させることに圧倒的に長けているのだと思います。
ミュージシャンにとって幸せなことですよね、たぶん。

ところで映画アルマゲドンはスティーブン・タイラーの娘リヴ・タイラーの代表作ですが、当時ぼくは「スティーブン・タイラーの娘はこんなに大きくなったのか。時の流れは早いなあ」と思ったものです。
そしていまや彼女も42歳。

時の流れは早いんですよ。本当に。


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