TM NETWROK 40周年と、私のおもいで。

私は楽器が弾けない。歌もうまくない。
だけど音楽は割と聴く方で、お金も無いのに、MacやiPhoneを所有する事にこだわるのは、アップルミュージックの音楽を、Appleのハードウェアで聴きたいからである。

音楽との出会いは、遡れば中学2年生の頃である。
機動戦士ガンダム 逆襲のシャアという映画の主題歌「TM NETWORK ー BEYOND THE TIME」である。

この映画は封切後、テレビで頻繁にCMが流れ、どうしても観たいと、両親を説得して、札幌の狸小路の映画館に連れて行ってもらった。
映画の最後のシーンが終わった時に、映画の全編を一言で語るかのようなギターの音色。
衝撃で鳥肌が立った。

それまで、私の中で歌といえば、細川たかしや、都はるみなど、完全にド演歌。
それは、祖父母や両親の影響なのだが。
しかし、この時、私の中でこれらが全部吹き飛んだ。
最近の言葉で言えば、X(トランスフォーメーション)した瞬間である。

これが、私の音楽との出会いである。
おそらく演歌は、通行人としてすれ違っていただけ、なのだと思う。

世の中で最も有名なTM NETWROKの楽曲は「GET WILD」である。
テレビアニメ「シティハンター」のエンディングテーマとして流れるこの曲は、エンドロールが流れると共に、鎮静剤でも飲んだかのように、強烈な落ち着きを心に与える曲だった。

TM NETWORKと出会い、たまたま偶然、母親がKENWOODのステレオミニコンポを購入した事をきっかけに、レンタルCDショップに通うようになる。
小遣いがもらえる度に、TM NETWORKのCDをレンタルして、カセットテープに吹き込む。
部屋に籠って、苦しい学校生活の憂さ晴らしに、1日中、歌って過ごした。

一番聴き込んだのは「CAROL」である。
高校時代当時、片想いをしていた、1つ上の先輩(結局告白する事もなく、ふざけてボディタッチ繰り返すうちに、嫌われてしまった/笑)から、このアルバムを借りたのだ。
先輩もTM NETWORKファンで、ライブを観に行っていたらしい。
残念ながら、私の当時の情報網としては、TM NETWORKのライブが終わった数か月後くらいに、軽音部の友人つてに「TM NETWORKのライブは良かった」のように、後から話を聞くような状態だし、そもそも演歌以外を音楽と認めていない父親の元に育つ私としては、仮に事前にライブの情報があったとしても、聴きに行く事はできなかっただろうな。

中学・高校・専門学校と、私の傍らには常にTM NETWROKがあった。音楽を外に持ち出したくて、親にせがんでSONYのウォークマンを買ってもらった。

だが、1994年、TM NETWORKが活動を停止して以来、再び私のところに情報が入って来なくなった。
TM NETWORKのコアなファンだった交際相手(上で書いた人とは違う)と、疎遠になったことも大きい(情報の大半は彼女から得ている状況だったから)し、今思えば、時代の変化に応じて、販売チャネルが変わってしまった為だろう。
社会に出て、駆け出しエンジニアとして徹夜休日出勤が度々繰り返される環境も拍車をかけて、か細い私の情報網では、彼等の動きはキャッチできなくなってしまった。

再びTM NETWORKと再会したのは、2007年の『SPEED WAY』というアルバムである。
この時は関東に住んでいたので、ライブにも行った。
学生時代から抱えていたカタルシスが解放された。
将来自分で稼いだお金で、TM NETWORKのライブに行く、という夢が叶った瞬間だった。
ただし、この時はアリーナで観たのだが、コアなファンと自分自身の存在感のギャップに驚いた。長年応援していたつもりだったが、何か門外漢というか、部外者のような距離感だった。
TM NETWORKのファンは、FANKSという強固な戦友同士のような連帯感の中で、新参者をファンとして認めるか否かを厳しく峻別していると思う。私はFANKSには加われなかった。
その時から、私はCDとDVDだけで応援する事に決めたのだった。

2008年に息子が生まれ、子育てに奔走するようになった。
会社をリストラされたり、東京から北海道へ移住したりするなどして、音楽を聴いていられる状態ではなかった。
きがつけば、それから15年が経過していた。

2023年、大規模な全国ツアーが始まっていた。
だが私はライブは観に行かなかった。

ゴールデンウィークから今日まで、ラジオを聴いたり、シティハンター(NETFLIX)を観たりしながら過ごした。
GET WILDの進化は、再び私の中にX(トランスフォーメーション)をもたらす事となる。
これだからTM NETWORKのファンは辞められない。
FANKSにはなれなかったのだが、これからもTM NETWORKをオーディエンスとして支持をする、1ファンであるつもりだ。

懐かしい楽曲を聞くと、少年の頃の気持ちが蘇る。
インターネットもパソコン通信すら無かった、全てがオフラインで出来上がっていた社会の歪の中で、閉鎖的な世界から必死に這い出そうとして、本能的に掴んだ一筋の光。
それはTM NETWORKの音楽だった。

今思えば、両親や昭和の時代背景に対する、中二病の私による、静かな反抗や抵抗だったのかもしれない。

TM NETWORK 40周年おめでとうございます。これからも頑張ってください。応援しています。


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