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太鼓の構え方

握り方をマスターした方は構え方に入ります。構え方の項では大きく分けて二つのアプローチをしてみます。一つは、太鼓に向き合う姿勢の話、もう一つは腕の周りの形についてです。江戸祭り囃子は元をたどると神楽、民俗、長唄、歌舞伎、伎楽、職種などの影響を受けています。このように他の文化、芸能から大きな影響を受けて現在が形成されており、一つ一つの所作にも表れています。現存する祭り囃子ももともと畑が違うものを礎としているため、祭り囃子の正解はありませんが、共通していることは観客の前で行うということです。その点をしっかりと踏まえて、構え方を見ていきましょう。

太鼓に向き合う姿勢、所作

先ほど述べたとおり、様々な影響を受けている祭囃子なので流派を越えた正解はありません。ただし座る姿勢については大きく2種に分かれます。正座とあぐらです。寿獅子を演奏する時と底抜け屋台で演奏する時は除いて、いずれかに限られます。ここでは正座をするケースについて説明します。
太鼓の正面に正座し、半纏を着用している場合は裾を踏むことなく、しっかりと太ももの両側に下ろしておきます。バチが太鼓の前に事前に置かれているときは、正座をしてから持つ事とします。持ち方も決まっており、まず2本のバチを右手で一緒に掴みます。太鼓の真ん中へ右手で持って来て、左手に1本渡します。その後、太ももの上に両手の甲を軽くのせてください。正面からみるとハの字にバチ先が広がっているように見えます。
この姿勢は太鼓を打たない時にも用います。視線は太鼓の面を見るのではなく、正座し背筋を伸ばし顔を正面にむけた状態で、静止します。なお、演奏が終わったときも逆の要領にて太鼓の前にバチを戻します。かならず右手で2本まとめて右側に握る方が、左側に先端がくるように揃えて置いてください。
話を戻しましょう。両手が太ももの上で八の字に広がった形から、いよいよ太鼓を打つ姿勢に移行します。

打つ直前の構え

ハの字の姿勢から太鼓をいよいよ打つために構えます。これは直ぐに太鼓を打つ準備が整ったということを示します。左右のバチ先を蛇の目の上であわせます。このときに親指と人差し指の間が腕の延長にあることを確認してください。演奏者の視線からは蛇の目からバチ、手、手首、腕が一直線になります。握り方でも記載した通り、握手の形になっているでしょうか。もう一つポイントがあります。それは手首です。手首が上側に折れてはいけません。親指と人差し指の間が前腕の上部と一直線になっていなければなりません。腕から手首、手、バチが稼働するいずれの部分も折れずに一直線に蛇の目に向かっている状態です。左右の手の間はほどよく空いていることとなります。もしもこの間が狭いと手首は背屈(手の甲の方向に反っている状態)していることになり、間が広すぎると掌屈(手のひら側に折れている状態)となります。つまり腕と手、さらにはバチが一直線でなくなるのです。
このときに多く見られるパターンは背屈の状態です。手首に力が入っている状態で、太鼓の達人ではほとんどの子ども達がこの形になっています。いわば太鼓を叩くと構えると自然な構えなのでしょう。しかし、前述の通り、太鼓は打たなければなりません。締太鼓の叩かない側へ音が抜けるためには腕とバチが一直線になる必要があるのです。
この直前の構えですが、太鼓の皮にバチの先がついてしまうケースが見受けられます。これは後々悪い影響を及ぼす事があります。休憩の時にはバチをつけておいていいという曲解を生み出す要因となるのです。ですので、直前の構えではバチ先は皮につけないようにしましょう。


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