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南の島も笑ってる 第8回

西表島縦断ハイク編、スタートです!
いま改めて原文を読み返してみると信じられないくらい軽装で、これで良くこれだけのコースを歩いたなというのが率直な感想でした。
でも今やれと言われたらやらないかも。
正に若さゆえ、良くも悪くも無謀でした。

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浦内川は島の西部を南から北にかけて流れている西表島一の大河である。
午前9時、我々はその川の桟橋にいた。そこから出ている遊覧船に乗るためである。この遊覧船は浦内川上流にある滝に観光客を運んでいくのが役割であるが、もう1つのあまり知られていない役割があった。
それが西表島縦断コースのハイカーを登山口に運んでいくことであった。

早朝にもかかわらず船の中には10人以上のお客さんがいた。だが彼らは一様に軽装である。手に持っているのはカメラだけでサンダルなんか履いたりしている。我々はと言えばザックにトレッキングシューズ、腰にはタオルをぶら下げている。かなり暑苦しいいで立ちであった。子供がジロジロ見ていた。
俺は水の入った2ℓ入りのペットボトルをザックの脇に括り付けていた。更に腰に巻いたウエストポーチにも水筒を刺している。これだけでもかなりの重量になるが、途中の水場は期待できそうもないので大量の水を持たざるを得なかったのである。実のところこの大量の水が原因で後で泣きを見ることになるのだが。。。

そして午前9時30分、天気晴朗、気温高し。風もなく波は穏やか。我々を乗せた遊覧船は川の上流に向かって出航した。
史上最大の作戦、西表島縦断ハイクの始まりであった。

観光案内を交えながら遊覧船はのんびりと川を遡っていく。両岸にはマングローブの林が広がっていた。昨日の川と比べると川幅も水量もたっぷりとあり、長さもある。この川をカヌーで下ったらずいぶん面白いだろうなと思った。
しばらく行くと川幅が狭くなり、濁っていた水もきれいになってきた。大きな岩が増えてくる。昨日と同じ光景を見ているようだった。
間もなく桟橋が見えてきた。ここで遊覧船は終点である。観光客もここから滝までは少し歩かなければならないが、我々にとってはここからが長い長いハイクの始まりである。

滝へのルートを示す大きな看板の横に「登山道入り口」という小さな看板が控えめに立っていた。

「林道終点まで約10キロ」
「健脚の方でも約8時間かかります」
「ハブが生息しているので足元に注意」

などと書かれている。
何やかんや言っても意外とさらっと行けるんじゃないか、そんな我々の淡い期待を見事に打ち砕く看板であった。

(続く)

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