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B青年のGo遊旅行(13)

この旅行記を書いていて思うのは、実に多くの人に会っていたんだなということ。
一学生の平凡な旅行でもこれだけの出会いがあります。

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朝起きると空は快晴だった。よく眠れた。今日は昨日知り合ったタツヤ君と市内観光をすることになっていた。
そして夜にはブリスベンを発つ。忙しい一日だが、暑くもなく観光にはもってこいの日和である。
タツヤ君とタツヤ君がここで知り合ったマツザカさん、そして俺の3人で今日は行動する。「ローン・パイン・コアラ保護区」にまず行くことにした。
マツザカさんは俺たちより年上、サラリーマンをしていたが退職し今はここオーストラリアを長期で旅行しているそうである。いわゆるバックパッカーだ。これから働き出す立場としては少々不謹慎だがちょっとカッコよく感じた。

「ローン・パイン・コアラ保護区」は街の郊外にある。ここではコアラ、カンガルー、ディンゴなどオーストラリア固有のおなじみの動物を見ることができる。
たくさんのコアラがここで飼育されていた。日本ではVIP待遇のコアラもここではニホンザルくらい気軽に飼育されているようであった。
とは言ってもコアラ山のコアラはサルのようにちょこまかと動いたりはしない。じっと木に張り付いて寝ており、動きと言えばユーカリの葉を食べているぐらいである。年取った猫ぐらい動きがない。
お金を払うとコアラを抱いて写真を撮ることができた。その時もコアラはじっとして動かずまるでぬいぐるみのようであった。
ふと見ると売店に「コアラ基金」と書かれた募金箱が置いてあった。募金をすると引き換えにバッジをくれるようなので、お土産代わりに募金をすることにした。
やはりコアラを飼育するにはそれなりのお金がかかるようである。お世辞にも働き者とは言えないのでなおさらだ。コアラはこの国でも大切にされているのであった。
それに比べカンガルーは扱いが雑なように感じた。適当な柵で囲った中に適当に放し飼いにされていた。やたら人懐こくこっちが近づいても逃げようともしないし、餌を出すとかえって群がってくる。
自由にさわることもできた。他の国には棲息していないカンガルーも、ここではまるで奈良公園のシカ、ウサギレベルの親しみやすさであった。
もっとも他にもこの動物園にはさまざまな動物がいたのだが、イグアナや名前も知らない鳥などそのほとんどは放し飼いされていた。放し飼いが基本なのかもしれない。

「ローン・パイン・コアラ保護区」を後にし、俺たちは市内に戻った。
ブリスベンはオーストラリア第三の都市と言いながらも、その規模は日本の地方の県庁所在地程度である。しかし町の中心は賑やかでビルはたくさん建っていたし、鉄道やバスなどの交通網も充実していた。
一方で伝統的な古い建物もたくさん残っている。それが近代的な建物ともマッチしていて、何とも言えないいい雰囲気を醸し出していた。
ビートルズの歌をバックに流したらすごくいいかもしれない。
そんな街中を3人でゆっくりと見て回った。特に良かったのは市庁舎で、映画「バック・トゥー・ザ・フューチャー」に出てきたような大きな時計台がシンボルであった。
この時計台にも雷が落ちたことがあったのだろうか。その時計台は展望台にもなっていて、そこからは街全体がよく見えた。
その後はお土産あさりを兼ねて観光地でもない、ゲームセンター、スポーツ店、ディスカウントなど普通の繁華街を見て回った。
ゲームセンターには日本でもおなじみのゲームがたくさん置かれていた。

最後に植物園に行った。ここの植物園は実にきれいでこんな所で昼寝をしたいとつくづく思わせる場所である。
そして3人で写真を撮った。いよいよお別れである。
お互いのこれからの旅の無事を祈って俺たちはそれぞれ散っていった。
タツヤ君はこれからゴールドコーストへ、マツザカさんはこのままブリスベンに残るそうである。
そして俺はシドニーへ向かう。夜行バスに乗るべく、泊まったホテルのそばのバスターミナルへと向かった。

バスはなぜか30分ほど遅れて出発した。「GREYHOUND PIONNER」というこちらでは有名なバス会社で、地球の歩き方でもやたらと紹介されていた。
ブリスベンからシドニーまでは15時間程かかるらしい。陸路だとかなり遠い。料金は$52¢50であった。隣には愛想のない日本人の女の人が座っていた。
外はすぐに真っ暗になって何も見えなくなった。ただ1つはっきり見えた物、それは満天の星であった。
思えばこの旅も半分を過ぎていた。いよいよ明日からシドニーである。


(続く)



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